2017年12月18日 (月)

酒が飲める話

 Twitterで「去年は余裕でタクシー拾えたが今年は飲み客のせいで午前0時ごろはタクシー全然捕まらん。」という呟きを目にしました。思わず、バブルの頃を思い出します。あの頃は、11時半くらいまでに店を出損なうと、終電逃して、タクシー拾えなくて、「仕方ない、もう1軒行って、2時頃タクシー拾うか」みたいなことがありました。銀座のタクシー乗り場なんか、大行列で1時間待っても乗れなそうなので、日比谷や新橋や京橋の方へ歩いて、そちらで流しのタクシーを拾うということもありました。24時間戦って、体も疲れるので、リゲイン飲んで・・・みたいな時代でした。それが一部回帰してるのでしょうか?
 
 法人税制の観点から考えると、バブルの頃に比べて、お酒は飲みやすくなっていると思います。平成18年度の税制改正で、「1人当たり 5,000 円以下の飲食費(社内飲食費を除きます。)」が一定の要件の下で交際費等の範囲から除外されました。従来、交際費等については、資本金の額が1億円超の企業では、全額、損金不算入だったのですが、一人5千円以下なら損金に算入する余地が出てきましたわけです。また、当時は、資本金1億円以下の中小企業でも400万円までの交際費等の額の90%しか損金算入できませんでした。そのため、400万円の交際費等を使っても、損金にできるのは、360万円。600万円使っても、360万円しか損金算入できませんでした。
 
 ところがこの中小企業の400万円の枠が平成20年4月1日以後に開始する事業年度からは、600万円に拡大され、平成25年4月以後に開始する事業年度からは800万円に拡大されただけでなく、10%の損金算入できない部分がなくなりました。
 
 また、資本金1億円超の会社でも平成26年4月1日以後に開始する事業年度では、交際費等のうち飲食その他これに類する行為のために要する費用の50%に相当する金額までは損金算入できるようになり、中小企業でも800万円とこの基準のいずれかが適用できるようになりました。
 
 これで、思う存分酒が飲める。でも、繁華街に思ったほどの活気が蘇ってこないのは、人口が最も多い団塊の世代がバブル当時は40歳だったのに、今は70歳になろうとしているからなのでしょうね。役員になっている人を除いて、交際費を使えるような地位どころか、退職しつつあるわけですから。「今の若い人たちは酒を飲まなくなった」のではなく、「酒を飲む年齢階層の人口は少ない」ということなのかもしれませんね。

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2017年12月 1日 (金)

法定相続情報証明制度

 法定相続情報証明制度がスタートしたってご存知ですか? 相続登記や被相続人の預金解約などの都度、被相続人の戸籍謄本の束を用意しなくても家系図のようにまとめた一覧図1枚で手続ができます。
 
 相続手続の書籍の改訂にあたって、私もお客さんの相続税申告の際に法定相続情報一覧図を作成し、法務局に認証してもらい、写しを5枚ほど発行してもらいました。なんと、手続に当たり手数料は、無料です。
 
 この手続に当たって、戸籍謄本の一式を提出する必要がありますが、法定相続情報一覧図写しと共に返却してもらえます。うちの事務所での相続手続では、この取得もサービスメニューの1つにしていこうと考えています。

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2017年11月26日 (日)

給与所得控除の最低額65万円の改正?

 平成30年度税制改正では、給与所得控除の最低限を少し下げて、その分、基礎控除の増加に回そうという動きが注目されていますね。もちろん、大綱が発表されるまでは、わからないのですが。個人事業者の比率増加を考えるとこの改革はあるべき改革だと思います。
 
 それで、ちょっとググってみたら、経済産業省「『雇用関係によらない働き方』について (現状と課題)」という資料が出てきました。この所得税改革って、働き方改革の一環でもあるんですね。
 
 この資料によると、日本における広義のフリーランス数は、1,064万人(昨年度比+17%) なんだそうです。副業系すきまワーカー416万人みたいなのも含んでいるので、給与所得者とも重複カウントの可能性もあるでしょうけど。アメリカでは、フリーランサーが35%なんていう数字も紹介されています。ただ、日本の場合、所得税が累進課税、法人税が一定率での課税なのと、給与所得控除が大きいため、個人事業者が儲かってくると会社にしちゃうという違いがあります。プログラマーでも八百屋さんでも株式会社といった状況、皆さんもご存知の通り。
 
 という意味では、給与所得控除を圧縮して、基礎控除を増やすという所得税改革は、「法人成り」と呼ばれる節税のための個人事業者が会社を設立する流れを逆転させるかもしれません。個人成りです。会社に対する社会保険の強制加入要請の強化もこの動きを促進しています。会社の数が増えない、減ってしまうという現象は、税理士としては寂しいものがありますが、租税の中立性が失われて不必要に会社組織が多かったのかもしれないと考えると、これもより好ましい税制への改正なのかもしれません。

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2017年11月14日 (火)

年末調整でもスキャナ保存

 これから年末調整の季節です。扶養控除異動等申告書もスキャナ保存の対象になっているという記事が出ていました(週刊税務通信No.3482、P.4)。これは、ちょっと盲点でした。記事によれば、従来、所得税基本通達で定められていた事項が平成24年度税制改正により所得税法施行規則の中に扶養控除等申告書が規定され(所規76の3)、これにより「国税に関する法律の規定により保存しなければならないこととされている書類」という電子帳簿保存法の国税関係書類の定義に当てはまることになりました。
 
 これまでは、経費精算システムがスキャナと組み合わさって、経費精算に関する証憑の電子保存、会計システムがスキャナと組み合わさって、請求書や領収書の電子保存という形が考えられましたが、今度は、給与計算システムとスキャナの組み合わせというものが登場することになりそうです。
 
 スキャナ保存もまだまだ広がるような気がしますね。ということで、拙著「国税庁Q&A対応 実践 税務書類のスマホ・スキャナ保存」(ぎょうせい刊)もご利用いただき、スキャナ保存の導入をしていただければと思います。

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2017年11月 6日 (月)

「メロンです、請求書です。」

 これは、テレビ朝日のテレビドラマ「ドクターX」で岸部一徳演ずる榊原名医紹介所の晶さんが西田敏行演ずる蛭間先生に請求書を手渡す際のセリフです。
 
 「に、に、二千万?! ぼったくりでしょ。」
 「いいえ、××を利用した日本初の術式による手術を成功させ、VIP患者の命を救い、△△先生が術例紹介の論文も書けることになったわけで、リーズナブルな料金であると思料しております。」
みたいな会話が展開するのですが、私は、このセリフが好きです。
 
 日本では、知的財産や特殊な技能、分野ごとの知識など目に見えないノウハウにお金を払わない傾向が強いと思っています。青色ダイオードの開発者だった中村教授は、学会で「スレーブ(奴隷)中村」というニックネームを持っていたそうで、ノーベル賞を受賞した後、勤務していたN化学を退職して、カルフォルニアの大学へ移ってしまいました。
 
 「私、失敗しないので」とまでは言えないし、米倉涼子演ずる医師や中村教授などには及びもつかないことは百も承知ですが、私たち税理士も一応は知的産業の1つのつもりです。帳簿の作成を請け負い、申告書を作成・提出代理するような仕事とみられることが多いですが、実は、毎月の顧問契約で社長とやり取りをする中で、社長の問題意識をくみ取ったり、他の人には話せない愚痴を聞いてあげたり、しかし、そうした話の中から、解決策のヒントにつながる会話を展開したりというところに私たちの存在意義があると思っています。
 
 「なるほど、売上が上がらないんですね。では、こんな切り口で商品をアピールするってどうでしょう」などとコンサルタント的に話をする税理士もいるでしょうし、「売上をもっと増やしたいのですね。会社の持つ資源、つまりお金、設備、人員といったもので、何かできることはありますか?」と社長に考えさせるコーチング型の税理士もいるかもしれません。そして、そんなやり取りの中から、「それをやるなら、設備投資の税額控除が取れますよ。」「雇用促進税制を適用できるようにハローワークに雇用促進計画を提出しておきましょう。」といった税制的な助言が出てくることもあります。
 
 「顧問料、×万円? ぼったくりでしょ」と言われないように、日々、税制の改正を追い、経営に関する話題や関心事をフォローして、経営者のお役に立てる存在でありたいなと考えております。

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2017年11月 2日 (木)

スキャナ保存のセミナーDVD

 エヌ・ジェイ出版販売さんが6月に開催された実務セミナーで、「経理省力化を目指す!「電子帳簿保存」導入のメリットと運用のコツ」というテーマでお話をさせていただきました。その際に収録した映像がDVDとして発売されていましたので、ご報告です。
 
 
 このセミナーでは、主として「企業実務」誌を購読されている一般企業の経理・財務や総務の方々を対象として、改正されて使いやすくなった電子帳簿保存法によるスキャナ保存・スマホ撮影保存について解説し、さらにクラウド会計などの普及とも合わせ、経理での入力方法の自動化、省力化についても触れました。
 
 平成28年のスキャナ保存の承認申請状況は、680件と大幅増加ですが、それでも、累計で1000件ほど。もっともっと普及して、ホワイトカラーの生産性アップを実現してほしいと思います。合わせて「国税庁Q&A対応 実践税務書類のスマホ・スキャナ保存」の書籍の方も、よろしくお願いいたします。

 

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2017年10月16日 (月)

スキャナ保存の承認申請状況

 2016年度の電子帳簿保存法に基づくスキャナ保存の承認申請状況が国税庁から公表されました。
2014年まで累計152件しか申請及び承認されていなかったものが、2015年のスキャナ保存の要件緩和を受けて、2015年に233件に急増。そして2016年は、スマホ撮影保存の導入を受けて、さらに増えて680件。とはいえ、すべての上場企業の数にも及ばないし、その子会社群も含めれば、まだまだです。日本企業のホワイトカラーの生産性向上は、まだまだこれからだということになります。

 税 務 統 計 「電子帳簿保存法に基づく 19-8  電磁的記録による保存等の承認状況」

 

 

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2017年10月15日 (日)

消費税の増税論議と軽減税率

 選挙のシーズンです。与党は,消費税の増税による5兆円の増収のうち一部を財政再建から教育無償化など福祉へと回したいと言っています。そうすると,財政再建が後回しになってしまうのですが,大丈夫でしょうか。ところで,増税の時期,すなわち平成31年10月に合わせて軽減税率制度がスタートします。しかし,その財源は,実施までに決める・・・という国会決議で今日に至っており,まだ,財源は未決定です。そんな状況で食料品の軽減税率など実施してよいのでしょうか。高級食材を食べるような金持ちにまで税金を軽減する必要ないわけです。

 世帯当たりの消費(政府の統計でみることができます)を所得順に並べると最下層2割の世帯は,食費に月2~3万円くらいしか回せていません。ということは,2ポイントの税率アップで負担が増えるのは,月に400円から600円。年で5~7千円を低所得世帯に配るだけでカバーできます。実際,消費税率5%から8%アップ時には,「簡素な給付」という給付措置が行われていました。今回も同じことをして,その分,お金持ちには,しっかり消費税を負担してもらえばよいとも言えます。

 その高所得世帯は,4人家族で100g1000円のステーキ肉を4枚買い,翌日は,100g1500円の本マグロの刺身を食べ,1個8000円のメロンをデザートに食べたりするわけです。そんなに高いメロンを自分で買わないかもしれませんが,お歳暮でもらっていることもある。いずれにせよ,軽減税率の恩恵を受けている。月間10万円以上の食費を使える世帯に軽減税率って必要ですか? しかも、低所得世帯には、月400~600円の恩典で、高所得世帯には、2000円の恩典なんて。

 そんなことを考えると,教育無償化などに税収を回すのであれば,同時に軽減税率のスタートを止める意思決定が必要だと思いますが,みなさんのご意見はいかがでしょうか。

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2017年9月16日 (土)

スキャナ保存で財布をすっきり

 電子帳簿保存法に関するカンファレンスの中で、コンカーという経費精算システムを販売する会社の三村真宗社長がこんなエピソードを話していたことがあります。

 三村氏がコンカーの米国本社を訪れた際に、多くの米国企業がそうであるように、コンカー本社では、ビルの1階にあるスターバックスで打ち合わせを行うのが慣例となっています。三村氏が訪れた日も、本社のエグゼクティブたちとスターバックスで打ち合わせ。打ち合わせを終えると、ひとりの社員がレジでまとめて支払いを済ませ、領収書を受け取っていました。この領収書をあとで経費精算システムに入力するんだろうと思っていたら、領収書を受け取ったその社員、スマートフォンで領収書の写真をパシャリと撮ると、その場で領収書をゴミ箱に捨ててしまったのだそうです。三村氏が驚いていると「今どき、紙の領収書で財布を膨らませているビジネスマンはいないよ」と言われたそうです。「日本ではまだ駄目なんだろ?」という憐みの目で見られたと言っておりました。

 この経験を経て、三村社長は、日本文書情報マネジメント協会など電子帳簿保存法に関する業界団体に加わって、規制緩和に向けての活動をすることになり、平成27年、28年のスキャナ保存の要件緩和、スマホ撮影保存の導入へとつながったという話です。

 ちなみに米国では、スマホで領収書の写真を撮ったら、直ちに領収書を捨ててもよいのだそうです。日本の場合には、いったん会社に提出して、チェック担当の部署が撮影画像と原紙のチェックをしてから、破棄という段取りになりますので、ご注意のほど。それでも、経費精算が楽になるし、それが領収書を財布の中に貯め込むようなことを減らすでしょうから、財布はすっきりするようになるのではないでしょうか、米国同様に。

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2017年9月 1日 (金)

スキャナ保存で企業体質の改革を

 先月、「スキャナ保存導入は、なぜ進まない」というブログを書きました。そこでは、経理マンが慎重すぎるのではないかという仮説を提示しましたが、一般にデジタルより紙の方が真正性の確保の程度が高いという誤解があるような気がします。電子保存のツールの1つである、タイムスタンプは、電子文書が存在していた日付とそれ以後の修正・訂正・改ざんがないことを保証する仕組みです。ということは、書類の作成などを絶対にバックデートできないという紙にはない真正性が確保されることになります。
 
 契約書の作成においては、双方の都合で4月3日になってから3月31日の日付で作成して、双方捺印をするといった場合がありますが、電子保存の場合だと、そういう操作ができません。4月3日にタイムスタンプを付けたら、4月3日以後は存在していたことは証明されますが、3月31日にはまだ作成されていなかったかもしれないということが明確になってしまいます。つまりバックデートの証拠が明確に残るのです。
 
 逆に言えば、融通が利かないということでもあります。しかし、融通が利くということは、それが会社全体の認識と取引相手の合意によるものであればまだ良いのですが、経営層の都合のために行われたり、経営陣の意図の外で営業部とかに不正をされる(押込み売上とか)リスクもあるわけです。つまり、書面の契約書は、融通が利く分だけ内部統制的には弱点を抱えているとも言えるのです。
 
 そういう風に考えると、電子保存を進めたくない背景には、経営の自由度が侵されると考える経営陣の発想があるのかもしれません。そのためにスキャナ保存の導入を躊躇い、自社の内部統制を脆弱のままに放置する。そういう会社でよいのか?というのは、あらためて考えるべき課題ではないでしょうか。東芝だって、経営陣の都合で「こんな利益じゃ公表できない! チャレンジしろ」などと命令して、利益を操作する「自由度」が会社の失敗につながったわけです。

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