2017年11月14日 (火)

年末調整でもスキャナ保存

 これから年末調整の季節です。扶養控除異動等申告書もスキャナ保存の対象になっているという記事が出ていました(週刊税務通信No.3482、P.4)。これは、ちょっと盲点でした。記事によれば、従来、所得税基本通達で定められていた事項が平成24年度税制改正により所得税法施行規則の中に扶養控除等申告書が規定され(所規76の3)、これにより「国税に関する法律の規定により保存しなければならないこととされている書類」という電子帳簿保存法の国税関係書類の定義に当てはまることになりました。
 
 これまでは、経費精算システムがスキャナと組み合わさって、経費精算に関する証憑の電子保存、会計システムがスキャナと組み合わさって、請求書や領収書の電子保存という形が考えられましたが、今度は、給与計算システムとスキャナの組み合わせというものが登場することになりそうです。
 
 スキャナ保存もまだまだ広がるような気がしますね。ということで、拙著「国税庁Q&A対応 実践 税務書類のスマホ・スキャナ保存」(ぎょうせい刊)もご利用いただき、スキャナ保存の導入をしていただければと思います。

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2017年11月 6日 (月)

「メロンです、請求書です。」

 これは、テレビ朝日のテレビドラマ「ドクターX」で岸部一徳演ずる榊原名医紹介所の晶さんが西田敏行演ずる蛭間先生に請求書を手渡す際のセリフです。
 
 「に、に、二千万?! ぼったくりでしょ。」
 「いいえ、××を利用した日本初の術式による手術を成功させ、VIP患者の命を救い、△△先生が術例紹介の論文も書けることになったわけで、リーズナブルな料金であると思料しております。」
みたいな会話が展開するのですが、私は、このセリフが好きです。
 
 日本では、知的財産や特殊な技能、分野ごとの知識など目に見えないノウハウにお金を払わない傾向が強いと思っています。青色ダイオードの開発者だった中村教授は、学会で「スレーブ(奴隷)中村」というニックネームを持っていたそうで、ノーベル賞を受賞した後、勤務していたN化学を退職して、カルフォルニアの大学へ移ってしまいました。
 
 「私、失敗しないので」とまでは言えないし、米倉涼子演ずる医師や中村教授などには及びもつかないことは百も承知ですが、私たち税理士も一応は知的産業の1つのつもりです。帳簿の作成を請け負い、申告書を作成・提出代理するような仕事とみられることが多いですが、実は、毎月の顧問契約で社長とやり取りをする中で、社長の問題意識をくみ取ったり、他の人には話せない愚痴を聞いてあげたり、しかし、そうした話の中から、解決策のヒントにつながる会話を展開したりというところに私たちの存在意義があると思っています。
 
 「なるほど、売上が上がらないんですね。では、こんな切り口で商品をアピールするってどうでしょう」などとコンサルタント的に話をする税理士もいるでしょうし、「売上をもっと増やしたいのですね。会社の持つ資源、つまりお金、設備、人員といったもので、何かできることはありますか?」と社長に考えさせるコーチング型の税理士もいるかもしれません。そして、そんなやり取りの中から、「それをやるなら、設備投資の税額控除が取れますよ。」「雇用促進税制を適用できるようにハローワークに雇用促進計画を提出しておきましょう。」といった税制的な助言が出てくることもあります。
 
 「顧問料、×万円? ぼったくりでしょ」と言われないように、日々、税制の改正を追い、経営に関する話題や関心事をフォローして、経営者のお役に立てる存在でありたいなと考えております。

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2017年11月 2日 (木)

スキャナ保存のセミナーDVD

 エヌ・ジェイ出版販売さんが6月に開催された実務セミナーで、「経理省力化を目指す!「電子帳簿保存」導入のメリットと運用のコツ」というテーマでお話をさせていただきました。その際に収録した映像がDVDとして発売されていましたので、ご報告です。
 
 
 このセミナーでは、主として「企業実務」誌を購読されている一般企業の経理・財務や総務の方々を対象として、改正されて使いやすくなった電子帳簿保存法によるスキャナ保存・スマホ撮影保存について解説し、さらにクラウド会計などの普及とも合わせ、経理での入力方法の自動化、省力化についても触れました。
 
 平成28年のスキャナ保存の承認申請状況は、680件と大幅増加ですが、それでも、累計で1000件ほど。もっともっと普及して、ホワイトカラーの生産性アップを実現してほしいと思います。合わせて「国税庁Q&A対応 実践税務書類のスマホ・スキャナ保存」の書籍の方も、よろしくお願いいたします。

 

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2017年10月16日 (月)

スキャナ保存の承認申請状況

 2016年度の電子帳簿保存法に基づくスキャナ保存の承認申請状況が国税庁から公表されました。
2014年まで累計152件しか申請及び承認されていなかったものが、2015年のスキャナ保存の要件緩和を受けて、2015年に233件に急増。そして2016年は、スマホ撮影保存の導入を受けて、さらに増えて680件。とはいえ、すべての上場企業の数にも及ばないし、その子会社群も含めれば、まだまだです。日本企業のホワイトカラーの生産性向上は、まだまだこれからだということになります。

 税 務 統 計 「電子帳簿保存法に基づく 19-8  電磁的記録による保存等の承認状況」

 

 

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2017年10月15日 (日)

消費税の増税論議と軽減税率

 選挙のシーズンです。与党は,消費税の増税による5兆円の増収のうち一部を財政再建から教育無償化など福祉へと回したいと言っています。そうすると,財政再建が後回しになってしまうのですが,大丈夫でしょうか。ところで,増税の時期,すなわち平成31年10月に合わせて軽減税率制度がスタートします。しかし,その財源は,実施までに決める・・・という国会決議で今日に至っており,まだ,財源は未決定です。そんな状況で食料品の軽減税率など実施してよいのでしょうか。高級食材を食べるような金持ちにまで税金を軽減する必要ないわけです。

 世帯当たりの消費(政府の統計でみることができます)を所得順に並べると最下層2割の世帯は,食費に月2~3万円くらいしか回せていません。ということは,2ポイントの税率アップで負担が増えるのは,月に400円から600円。年で5~7千円を低所得世帯に配るだけでカバーできます。実際,消費税率5%から8%アップ時には,「簡素な給付」という給付措置が行われていました。今回も同じことをして,その分,お金持ちには,しっかり消費税を負担してもらえばよいとも言えます。

 その高所得世帯は,4人家族で100g1000円のステーキ肉を4枚買い,翌日は,100g1500円の本マグロの刺身を食べ,1個8000円のメロンをデザートに食べたりするわけです。そんなに高いメロンを自分で買わないかもしれませんが,お歳暮でもらっていることもある。いずれにせよ,軽減税率の恩恵を受けている。月間10万円以上の食費を使える世帯に軽減税率って必要ですか? しかも、低所得世帯には、月400~600円の恩典で、高所得世帯には、2000円の恩典なんて。

 そんなことを考えると,教育無償化などに税収を回すのであれば,同時に軽減税率のスタートを止める意思決定が必要だと思いますが,みなさんのご意見はいかがでしょうか。

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2017年9月16日 (土)

スキャナ保存で財布をすっきり

 電子帳簿保存法に関するカンファレンスの中で、コンカーという経費精算システムを販売する会社の三村真宗社長がこんなエピソードを話していたことがあります。

 三村氏がコンカーの米国本社を訪れた際に、多くの米国企業がそうであるように、コンカー本社では、ビルの1階にあるスターバックスで打ち合わせを行うのが慣例となっています。三村氏が訪れた日も、本社のエグゼクティブたちとスターバックスで打ち合わせ。打ち合わせを終えると、ひとりの社員がレジでまとめて支払いを済ませ、領収書を受け取っていました。この領収書をあとで経費精算システムに入力するんだろうと思っていたら、領収書を受け取ったその社員、スマートフォンで領収書の写真をパシャリと撮ると、その場で領収書をゴミ箱に捨ててしまったのだそうです。三村氏が驚いていると「今どき、紙の領収書で財布を膨らませているビジネスマンはいないよ」と言われたそうです。「日本ではまだ駄目なんだろ?」という憐みの目で見られたと言っておりました。

 この経験を経て、三村社長は、日本文書情報マネジメント協会など電子帳簿保存法に関する業界団体に加わって、規制緩和に向けての活動をすることになり、平成27年、28年のスキャナ保存の要件緩和、スマホ撮影保存の導入へとつながったという話です。

 ちなみに米国では、スマホで領収書の写真を撮ったら、直ちに領収書を捨ててもよいのだそうです。日本の場合には、いったん会社に提出して、チェック担当の部署が撮影画像と原紙のチェックをしてから、破棄という段取りになりますので、ご注意のほど。それでも、経費精算が楽になるし、それが領収書を財布の中に貯め込むようなことを減らすでしょうから、財布はすっきりするようになるのではないでしょうか、米国同様に。

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2017年9月 1日 (金)

スキャナ保存で企業体質の改革を

 先月、「スキャナ保存導入は、なぜ進まない」というブログを書きました。そこでは、経理マンが慎重すぎるのではないかという仮説を提示しましたが、一般にデジタルより紙の方が真正性の確保の程度が高いという誤解があるような気がします。電子保存のツールの1つである、タイムスタンプは、電子文書が存在していた日付とそれ以後の修正・訂正・改ざんがないことを保証する仕組みです。ということは、書類の作成などを絶対にバックデートできないという紙にはない真正性が確保されることになります。
 
 契約書の作成においては、双方の都合で4月3日になってから3月31日の日付で作成して、双方捺印をするといった場合がありますが、電子保存の場合だと、そういう操作ができません。4月3日にタイムスタンプを付けたら、4月3日以後は存在していたことは証明されますが、3月31日にはまだ作成されていなかったかもしれないということが明確になってしまいます。つまりバックデートの証拠が明確に残るのです。
 
 逆に言えば、融通が利かないということでもあります。しかし、融通が利くということは、それが会社全体の認識と取引相手の合意によるものであればまだ良いのですが、経営層の都合のために行われたり、経営陣の意図の外で営業部とかに不正をされる(押込み売上とか)リスクもあるわけです。つまり、書面の契約書は、融通が利く分だけ内部統制的には弱点を抱えているとも言えるのです。
 
 そういう風に考えると、電子保存を進めたくない背景には、経営の自由度が侵されると考える経営陣の発想があるのかもしれません。そのためにスキャナ保存の導入を躊躇い、自社の内部統制を脆弱のままに放置する。そういう会社でよいのか?というのは、あらためて考えるべき課題ではないでしょうか。東芝だって、経営陣の都合で「こんな利益じゃ公表できない! チャレンジしろ」などと命令して、利益を操作する「自由度」が会社の失敗につながったわけです。

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2017年8月29日 (火)

スキャナ保存導入は、なぜ進まない

 平成27年度、28年度改正で保存要件が緩和され、スマホ撮影保存まで認められたスキャナ保存制度ですが、爆発的には活用されていない印象です。平成27年度の申請件数を見れば、平成27年度の要件緩和を受けて、だいぶ増えたことがわかります。何しろ、スキャナ保存制度がスタートしてから10年間の累積申請件数152件を上回る申請が施行後の半年で申請されたわけですから。
 
 とはいえ、あちこちの企業が導入を開始したとも思えません。スキャナ保存機器を販売している会社がセミナーを開いて、導入を検討している会社を懸命に発掘しているという状況であり、ユーザーが販売会社に飛び込んでくるようでもないし、私のようなスキャナ保存に関する本を書いている公認会計士・税理士に導入上のコンサルをしてほしいという見積依頼1件すらありません。
 
 なぜでしょう。その答えの1つが日本CFO協会のサイトの情報から見て取れたので、ご報告します。「経理・財務部門の電子化・デジタル化に向けた現状と課題」というページですが、領収書電子化による全般的なメリットを感じるか?という質問に「とても感じる」23%、「感じる」60%という実態調査の結果が表示されています。ところが、経費精算の領収書電子化について導入意向はあるか?という質問には、導入済み、導入中が合わせて10%、導入計画ありが36%、導入計画なしが54%となっているのです。
 
 実態調査では、その後の質問で、スキャナ保存制度の制度要件が厳しいからだという結論を導き出しています。しかし、その中の一部は、私の書いた書籍を読めば、解決するようなこともたくさんあるし、私の本を読まないまでも、本気で導入を検討すれば解決するようなものもあります。ということは、私は、「そもそも真剣に考えていないから」なのではないかと想像しています。その背景には、「紙の書類を破棄することへの本能的不安があるから」なのではないでしょうか。そもそも総務や経理の方々は、慎重な方が多く、こうした職種にとっては好ましい性格なのかもしれません。しかし、企業の業務を変革し、効率化を図ろうという姿勢は、薄くなってしまう弱点にもつながるのではないかと。
 
 私は、スキャナ保存制度の話をする際には、「規制緩和の要望を受けて、2年連続で要件緩和が行われた以上、ボールは国税庁から民間サイドに投げられたんです。投げられたボールを手にしたままにするのか、それを業務改革という形で使うのかは、民間サイド次第なんです。」という話をすることがあります。労働人口が減りつつある中、求人もなかなか難しいと思います。それであれば、量より質、労働生産性のアップで業務量をこなしていくしかないと思います。こうした観点で、トップダウンでスキャナ保存導入の意思決定が必要ではないかと思う次第です。

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2017年8月 3日 (木)

セルフメディケーション税制(医療費控除)

セルフメディケーション税制の情報が国税庁ホームページに出ました。こんな様式に記入するイメージですよ、という段階でしょうか。

 
健康の保持増進及び疾病の予防への取組が必要なのが留意点です。かつ、「本人」の取り組みなので、医療費控除をセルフメディケーション税制で取るための申告をする本人が・・・なので、人間ドックを世帯主しかやっていなければ、世帯主の申告でセルフメディケーション税制での医療費控除を取るしかないです。このあたり、従来の医療費控除より、融通が利かないと言えます。

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2017年8月 1日 (火)

高負担&高福祉の社会

 朝日新聞の報道によると(記事はこちら)、民進党の党首選挙に当たり、前原誠司さんは、党のマニフェスト案として「増税で段階的に年間10兆~30兆円の財源をあつめ、保育や教育、職業訓練、介護など幅広い世代にむけた生活保障を実現する。」という構想を持っているようです。
 
 これは画期的だと思います。日本の政治や行政には無駄があって、それを解消すれば、増税なんかしなくても済む。「増税の前にすることがある」と散々言ってきた旧民主党が事業仕分けをすれば、「2番ではダメなんですか」という名言は生みつつも、成果は生まれなかったことは皆さん、ご承知のところ。
 
 これに対して、年間10兆円から30兆円の財源を集めて、厚い福祉を提供しましょうというのは、これまでの野党の主張にはなかったものです。増税は反対、でももっと福祉をというあり得ない主張から、現実的な主張になりました。消費税1ポイントで2.5兆円の税収がアップすると言われています。すでに10%への増税は決まっており、その使途も決まっているので、新しいマニフェスト(案)は、消費税だけで財源を集めるならば、14%から22%の消費税率にする代わりに、高校も無償化かもしれないし、大学を出ても就職をうまく見つけられなかったら職業訓練が提供され、子育てのための支援により保育園の順番待ちなど解消されるのかもしれません。
 
 これは、消費税率25%の北欧諸国などと共通する「高負担&高福祉」という主張だということができるでしょう。アメリカなどは、低負担&低福祉。健康保険の皆保険を狙ったオバマ・ケアにも反対の声があるくらい。日本の現状は、中負担&中福祉でしょうか。
 
 対する野党第一党が「高負担&高福祉」で行きたいと言えば、初めて経済政策論争が成立することになります。今までは、「増税反対、福祉にお金を回せ」で、「低負担&高福祉」というあり得ない主張でしたから。念のため、説明しておくと、我が国の防衛費が約5兆円。国、年金特別会計、地方自治体などの合計での社会保障費は、110兆円を超え、高齢者層の増加という自然増で、毎年1兆円前後増え続けています。防衛費を減らして、社会保障費の増加を賄おうとしたら、5年くらいで、防衛費はゼロとなって、自衛隊員の給与も払えなくなります。こういう現実を前に、日本は、どうするべきか。
 
 昔の社会党とかは、良かったんです。高度経済成長期は、経済とか財政を心配する必要がなかったから、単純に佐藤栄作さんや田中角栄さんを批判していれば、党の存在意義が保てました。しかし、少子高齢化の今日の日本では、現実を見据えた野党というものが求められます。「高負担&高福祉」が国民の支持を集められるかどうかはわかりませんが(そもそも民進党のマニフェストになるかどうかもわからない)、1つの対立軸として、こうした主張があることは、国民の選択の幅を拡げてくれると思った次第です。

 

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