みなさん、合意された手続って、ご存知ですか? AUPと省略されて呼ばれることもあります。公認会計士が行う保証業務の1つですが、監査ともレビューとも違った性格を持っています。
AUPは、企業が提供する情報に信頼性を持たせるため、その情報に対して公認会計士がどのような手続業務を行うか、その手続を合意するので、「合意された手続」です。日本公認会計士協会が公表している契約書ひな型などを見ると、例えば、以下のような例示があります。
「私どもは、会社との間で合意された以下の手続を実施した。
1.私どもは、平成×年×月×日現在の売掛金補助元帳残高
と総勘定元帳の「売掛金」勘定の残高を突合した。
2.・・・・・
3.私どもは、平成×年×月×日現在の棚卸資産台帳と総勘
定元帳の「棚卸資産」勘定の残高を突合した。
4.私どもは、棚卸資産台帳に記載されている商品Yの平成×
年×月×日現在の数量について、同日に会社が実施した実
地棚卸の記録と突合した。」
そして、報告書の中では、たとえば
「上記4の事項については、以下のとおり棚卸資産台帳と実
地棚卸記録は一致しなかった。
商品Y
棚卸資産台帳の数量 ◯◯◯
実地棚卸記録の数量 ×××」といった記述があります。
これによって、例えば、この会社を買収する会社に決算書を提供するうえで、売掛金と棚卸資産について情報としての利用可能性の度合いを把握してもらうことができます。
こんなひな型を見ていたので、M&Aや事業再生などの局面で使われることが多いのかと思っておりましたが、今般、東京オリンピック、パラリンピックの公式グッズの製造・販売会社がライセンス料の元となる製造数について合意された手続が求められているというのを知りました。なるほど、大きなコストを掛けずにライセンス料の確からしさが高まります。そして、実際に作業をしてみましたが、こうした業務が広まると取引の透明性が高まって、企業間でより円滑で安全な契約業務の遂行ができるということを実感しました。
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