2017年5月24日 (水)

子ども・子育て拠出金の料率の引き上げ

 5月の社会保険料の納入告知書を見て気づいたのですが、社会保険料の内訳の1つである子ども・子育て拠出金ってさりげなく15%も引き上げだったんですね。そもそも0.2%だったものが、0.23%に変わっても、そもそも率が低いので気づきにくいんですが。
 
 以前は、児童手当拠出金と言っていたので、名称も変わったので、ちょっと根拠法令を調べてみました。元々は、児童手当法という法律があったようで、平成24年8月に子ども・子育て支援法が施行され、その一部改正が平成28年4月に施行されていて、28年に0.2%、29年0.23%へと上がったのですね。これで1300億円の財源が確保されて、仕事・子育て両立支援事業が新設されたりしているそうです。消費税1ポイント2.5兆円に比べれば小さいけれども、知らないうちに引き上げられた感があります。ちなみに参考資料は、こちら
 
 この資料を見てみると、「【法案の必要性】第二の矢「夢をつむぐ子育て支援」の実現に向けて、事業主拠出金制度を拡充」という記述があり、アベノミクスの一環なんだということがわかります。子どもの支援をして、国民の教育水準を高めつつ、お母さんにも働いてもらおうという政策です。そして、その負担は、社会保険の事業主拠出金なので、福祉を受ける個人ではなく、雇っている企業が子育てのためにお金を負担しているんだから、税金みたいなものですね。メディアも、企業が負担する「税金」だとあまり騒がないので、いつの間にか負担が増えているということが起こります。「あれっ」と思ったら、皆さんも調べてみることが大事かもしれません。

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2017年5月 8日 (月)

行政改革って、増税より優れているのだろうか?

 高校・大学の無償化といった議論が出てきていて、小泉進次郎さんは、「子ども保険」なるものを提唱し、橋下さんは、行財政改革と相続税増税を提案したようです。少子高齢化もあり、高齢者向けの社会保障費がどんどん増え、それを少ない現役世代が払っていこうとすると、どうしても無理が出ます。かくして、国債発行で帳尻を合わせてきたけれども、財政赤字が無視できない金額になってしまった。かくして、国自体が成長しないと現役世代に負担してもらうのも厳しいから、成長のための国力アップの施策が必要で、それが高校・大学の無償化の議論なのかもしれません。また、高齢者ばかりに社会保障では、現役世代は、受益を感じることができず、結婚もせず、子どもも生まれないということに気づき始めたのかもしれません。

 しかし、新しい施策には、お金が必要。国民の懐に手を突っ込むか(増税)、厳しい行政改革をしないといけない。と言われると、行政改革の方が好ましいように思うじゃないですか。でも、行政改革だって、行政が無駄遣いで購入していた物品を納品していた会社の売上が消えることを意味するのであり、もらえていた補助金・助成金が無くなることを意味します。当事者にとっては、極めて大きな痛みを感じる改革です。

 つまり、行政改革を断行!ってのは、財源を広く国民に求めるのではなく、無駄遣いを見つけ、無駄遣いの商品やサービスを納品していた会社の売上を奪うことにより、特定の人たちにだけ痛みを集中することで、特定の人以外の国民全般からの人気を得る施策でもあるといえないでしょうか。もちろん無駄遣いの排除は重要ですが。

 私の仕事のかかわりで言えば、法人住民税の申告書用紙は、市町村ごとに紙質違うし、微妙に枠などが違いますが、記載内容は地方税法どおり。全国一律で印刷すれば安い!とか思ったりします。行政改革の一環で全国一律で印刷するとどれくらいコストが浮くでしょうね。でも、そうすると、各市町村の小さな印刷屋さんの大事な売上が消えちゃうんだろうなと思います。ということは、もし、そういう行政改革をするなら、市町村ごとの小さな印刷屋さんが倒産することも想定し、もし、倒産したら生活保護世帯が増え、銀行が貸倒損失を負担するかもしれず、そうしたセーフティネットの支出や法人税収の減少は、回りまわって国民が負担することになります。つまり、行政改革って、国民に痛みを与えない施策というよりは、国民のごく一部に大きな痛みを与え、多くの国民には見えない形でその痛みを付け回す手法ともいえるのではないかなと思った次第。

 行政改革って、聞こえはいいけど、特定の人たちに痛みが集中するから、そこからの反発は大きくて、たとえば、「2番じゃダメですか?」に対して、「スーパーコンピュータは世界一でないとダメなんです。」ってノーベル賞科学者まで動員して反対意見が陳述されたりするわけです。たいへんな摩擦の中で実行した挙句、結局、痛みを感じずらいだけで一般国民にも痛みが付け回されるんだったら効率の良い政策じゃないなぁと思ったわけです。もちろん、無駄遣いはいけないから、そうした吟味・検討はしないといけないんですけどね。要は、増税と行政改革は、両方とも同じような結果をもたらすけれども、国民が痛みを感じずらいかどうか?の違いにすぎないのではないかと。少なくとも経済学的には、財政支出を減らすことも増税も国民所得を減らしますので、たぶん、そうなんだと思う次第です。

 と書かれても何か納得できないという人、財政支出とその効果を区別するとよいと思います。ものすごい田舎に100億円で1日に50人しか使わないトンネルを作るのと築地に環状2号線のトンネルを100億円でトンネルを作るのでは、財政支出額とその国民所得への効果はとりあえず同じです。しかし、より多くの国民に喜ばれ、「投資の効率性」とか「より有益な使い方」という意味では、明らかに違いがあると思います。ですから、行財政改革は大事ですが、それで浮いた金額で国債や地方債を償還したりすると、国民所得にはマイナスです。不効率な使い方を効率的な使い方に組み替えていけば、経済学的には中立で、その効率性が何らかの形で将来に寄与するということだと思います。

 

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2017年5月 7日 (日)

投資信託が売れない

「投資信託が売れない」、これは、日経の今朝のトップ記事です。「投資を信じて託す」はずの投資信託が高額手数料で利用者を搾取してきた結果の不信。信じられない信託は売れなくて当然だと思います。毎月分配型が売れていたということ自体、本来、投資信託を売ってはいけないような無知な人に投信を売ってきたということの証左だと思う。だって、長期投資が有利だから投資信託のはずが、元本からの分配というたこ足配当するような商品が売れるって変です。金融庁に毎月分配型なんか売るなと言われて、売れなくなった現状こそが正常だとなのではないかと思います?
そもそも、おいしすぎるビジネスだから、あちこちの会社が売り出すわけで、6000本は、多すぎでしょ。正常化の過程で、本数は1/10以下に減ってもよいのではないかと考える次第。

 

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2017年3月25日 (土)

スマホ撮影保存でホワイトカラーの生産性をアップ

 私がシステム・ベンダーさんのセミナーなどの講師をする際、パワポの締めくくりで、スキャナ保存とアベノミクスみたいな話をします。なんでアベノミクス?と思うんでしょうけど、領収書の保存を電子化することは、同時に経費精算のシステム化になり、生産性がアップするはずなんです。

 GDP500兆円弱を600兆円にするというアベノミクスが成功すると、経済は2割増しで稼働するわけ、生産人口が減っているのに。だから、女性を労働市場に引っ張り出すとかしているけど、それは量的拡大にすぎません。それだけでなく、生産性のアップという質的拡大も必要だろうと。つまり同じ労働人口でも生産力をアップする方策がないといけないはずです。

 その生産性アップの手段の1つがスキャナ保存であり、経費精算のためだけに帰社するとかしないで、経費の領収書をもらったらスマホで撮影して、サーバーに送ります。これで経費精算がスタートすれば、直帰とかもできて、ワークライフバランスも向上するわけです。ただ、いまいち浸透していく実感を感じないのですが、この辺りが日本のホワイトカラーの生産性が低いと言われる原因で、業務フローに踏み込んで改善しようというパワーがないのかもしれません。

 だから、システム部門とか経理部門だけで導入の検討するんではなくて、現場も巻き込んだプロジェクトチームを作って、じっくり検討するべきものだ、スキャナ保存システムは。複合機を入れ替えよう!みたいな話とは違うんだと言っているんですけどね。さて、まもなく4月で、新年度入りします。企業のシステム部門の予算の中に「経費精算システムの改編」という項目は入っているのでしょうか。

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2016年12月 7日 (水)

トランプ次期大統領の35%の関税って

 トランプ次期米大統領は、12月4日、「米企業が工場を国外に移転した場合には、その国外工場から米国に輸入する製品に35%の関税を課す」とツイッターに投稿したそうです。一般的な経済学の観点からは、貿易によって、交易を行う双方の国が豊かになると言われますので、トランプさんの発言は、一見するとトンデモ発言です。つまり、18世紀のイギリスであれば、ラシャとワインの両方を無理に作るより、そして、ポルトガルもラシャとワインを自国用に作るより、イギリスはラシャに特化して、ポルトガルはワインに特化してこれを貿易でやり取りすれば、より安くて品質が高いラシャとワインを両国民は消費でき、消費量も増える(価格が下がるから)ので経済厚生は高まるというのが比較生産費説という貿易を論じる経済学説です。
 このニュース以来、国際貿易の効能よりも国内の雇用や安定を優先するって考えはありなのか、あるいは鎖国的な政策で雇用を確保するのは、合成の誤謬にすぎず、結果として国全体、そして世界全体の社会厚生を落として、デフレと同様にみんなが苦しい思いをするのだろうか?などと考えています。つまり、各国が農業、漁業、工業、サービス業などを一定割合で持っていて、ある程度自給自足的に成り立っていた方がよいのかどうか?ということを考えております。
 実は、業種、職種を超えての職業の転換がシームレスであるならば、農業が廃れた国の農民は、都会で工場やサービス業に行けばよいわけです。しかし、そんなことは、すべての対象者ができるものではありません。農業に限らず、旋盤工は、ミクロン単位で削れるから彼の仕事に付加価値があり、本人の満足がある。その旋盤工に畑仕事させても、トラックドライバーさせても、給与は変わらなくても本人は不幸なのではないかなぁ。旋盤工の仕事がある国へ行って、そこでやればいいじゃないという発想も、やはり現実的じゃないです。
 職や住まいを変えるって、たいへんなことだと思います。それを考えると、京都で両替商をやっていた明治時代の三井さんが東京へ出てきて、銀行業に転換したり、写真フィルムを捨てて医療や電子事務機器へ軸足を移した富士写真フィルム、家康と一緒に浜松から江戸へ移ったであろう商人たちは偉いなあと思う次第。それが簡単ではないことは、NHKの「あさが来た」を見ていても(ちょうど1年前の朝ドラ)、コダックやポラロイドのチャプターイレブン申請(日本の民事再生法に相当します)を見てもわかるわけですが、そういうたいへんなことを国民一人一人に期待するということ自体、政策としては下の下です。それなら、トランプさんの言っていることは、立派なことなのではないか?ということにはなりはしないでしょうか。
 国際貿易の利益を説く際のラシャとワインにしても、イギリスの中でも辛うじてブドウが生産できる場所で細々とブドウを作ってワインを製造している人にまで、「マンチェスターへ行って毛織物工場で働け」って言い、ポルトガルで羊飼って毛織物を作っている人たちに「ワイン工場で働け」というのはマクロはともかくミクロ、個々人の幸福感で言えば間違っています。大きな傾向として、イギリスのワイン業者は苦しくなり、ポルトガルのワイン業者は業績を伸ばしやすいということは説明できても、当事者がそうするべきかどうかは別の問題。そうはできない人がいるなら、その人たちに国は何をするべきか?という話です。産業保護をするべきか、自由競争の結果に任せて、敗れた人には生活保護などのセーフティネットを用意すればよいのか。自由競争じゃダメなんじゃないの?と言っているトランプさんが自由競争主義の共和党から立候補していたのは、大いなる矛盾ですね。そうか、それだから、社会福祉は大事だという民主党から票がトランプさんに流れたのですね。
 経済学的な帰結としては、どんどん貿易が進むということであっても、それが国民を不幸にするなら、経済学はそれを抑制する理論を構築すべきだと思われます。経済学の理論として、こうなっていく方向になる(なりやすい)というのと、市場参加者が全員残らずその方向性に従うべきだというのは別の話だからです。そして、「そうなる方向」がよろしくなければ、例えば、独占、寡占に対しては弊害があるという帰結なので、放置しないで独占禁止法や政府による価格規制などが行われますし、公害といった負の公共財についても税金、賦課金で生産費を引き上げたり、公害を生まない代替財に補助金といった政策介入を提案するわけです。それであれば、「トランプの言うことは経済学の論理をわかっていない」とか批判するのではなく、「過度な貿易は、各国の国民を不幸にしたりはしないか?放置していてよいのか?」と、仮定や前提を吟味する丁寧な検証が必要なのではないかと思うわけです。
 財政学者の神野直彦先生がフィンランドの話を書いていて、向こうの村人が「食料品が高くて困る」というので「ヘルシンキまで1時間もあれば車で行けるのだから、ヘルシンキの量販店で買えばいいじゃないですか」と言ったら、「何言ってるの。そんなことしたら、村の食料品店が潰れてしまうじゃないの」と言われたというのです。非効率ではあっても、自分たちの近隣を大事にするというのは、経済原理のような効率性とは別の観点から大事なことなのかもしれません。それであれば、自分の得意な仕事で働ける幸せを確保するために、貿易を制限して、みんなで少しずつ高いものを買うことを許容するというのは、国というコミュニティの維持のために大事なことなのかもしれません。今回は、少し長い文章になってしまいました。

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2016年10月 6日 (木)

10月1日から増える手続

 多くの方は「犯罪による収益の移転防止に関する法律」なんてご存じないと思います。要するに犯罪組織やテロリストが資金送金などをすることを防止しなければいけないという国際的な要請があり、日本ではこの法律で規制があるという次第です。
 それで、これを強化する改正があり、2016年10月1日より施行になっているようです。例えば、みずほ銀行のサイトでも次のような案内が出ています。

【重要なお知らせ】取引時確認手続の変更について

 ということで、従業員の方が銀行の窓口へ行くような場合には、社員証が必須かもしれませんし、会社の株主名簿をくださいといった要請が来るかもしれません。また、個人の手続でもいろいろ手間が増えるのでしょうね。ちなみに「外国政府等において重要な公的地位にある方(過去にその地位にあった方を含みます)またはそのご家族とのお取引に係る確認の追加」というのがあり、これは、10月1日の改正の要点としては重要ですが、我々、一般庶民には関係ありません。しかし、「重要な公的地位」というのは、最高裁判所の裁判官や日銀の理事は該当するけれども、衆議院議長とかではないただの国会議員は該当しないという新しい社会の常識が垣間見えるという興味深いものはあったりします。

 今後、銀行へ行って、余分な書類等を求められたら、「この法律のせいだな」と思って諦めてください。この法律は、海外からは規制が弱すぎると非難されてきたものらしいので、今後の運用はさらに厳しくなる可能性はあっても、緩くなることはないと思われます。

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2016年1月17日 (日)

バスの事故に関連して

 新年最初のブログがバスの大きな事故の話で申し訳ないのですが,国交省の基準では27万円程度になるところ,19万円で受けていたというバス会社の社長が話している映像を見て,ちょっと触れてみたいと思いました。さらに昨年は,基準の半額くらいだったので,それよりはずいぶん高くなったので,受注してしまったとのこと。

 10何年か前にバス業界は規制緩和があって,新規参入が相次ぎ,供給過剰になっているのだそうです。経済学では,市場の流動性みたいなことを言います。市場への参入・退出が自由であることが完全競争市場だと。バス業界の場合,いったんバスを持ってしまうと,退出が難しい。供給曲線が垂直に近い状態なのでしょう。しかも運転手の給与を考えたら,バスを動かさないよりは少しでも売上を得た方が良い。少なくとも高速料金代と燃料代以上と運転手の手当てを超えていれば,受注する。もちろん減価償却費などを入れれば赤字なんでしょう。その結果,次のバスを買い替えるだけのお金は貯まらないかもしれないけれど,破たんを少しでも先に延ばしたいから受注してしまうのが経営者。

 大型バスは採算が合わないから,バスを転売して撤退しようという意思決定がしにくいのは,おそらく中古のバスを買う業者が少ない(みんな売りたい)ので,撤退しようにもできないのかもしれません。だから,独占の逆で供給過多で価格が採算の合わないところまで落ちてしまうということではないでしょうか。

 「だから,規制緩和が悪かった」という人もいるわけですが,料金の基準もあり,今回の事故で特別監査に入って・・・いう風な規制はちゃんとあるわけです。これから,再度規制をするとなれば,規制強化によって業者数を減る過程で廃業のために破産する人が出るかもしれません。運転手が解雇されかもしれません。そして,先ほどの供給曲線でいえば,これが左へシフトするので,需要曲線との交点は,左上方へ移ります。つまり,業者数が減って供給が減る過程で,運賃が上がることになります。すなわち,旅行需要が落ちることも覚悟しないといけないわけです。逆に言えば,これまでは規制緩和で,多くの人が安価なバスツアーを利用することができていたということになります。この利便性を奪ってでも規制強化をするべきかどうか。そもそも1日にどれくらいバスツアーが動いていて,これを利用している消費者はどれだけいて,その中での死亡事故だったのか。一般の交通事故の死亡率とバスツアーでの死亡率はどちらが高いのか? 一般の交通事故での死亡率の方が高いなら,バスツアーどころか自動車の運転自体を禁止する? 1人でも死ぬ可能性があるならダメという発想だと絶対に墜落しない航空機を開発し,スピードを出しすぎてカーブを曲がりきれない電車が出ないように運転席には国交省の人が監督で乗って・・・とコストがどんどん増えて、普通の値段では供給ができなくなります。

 改善や改革を考えるって難しいものですね。とは言いながら,食品の廃棄を依頼された業者が飼料にしないで転売しちゃうとか,最低限の安全も確保できない料金でバス会社に発注しちゃうとか,杭打ち工事のデータ改ざんしてマンションが傾いちゃうとか最低限のモラルとか法令遵守意識の欠如みたいな事件が多いなぁというのも確かだとは思うのですが。何か悪者を見つけないとすっきりしないということでは,「デフレが悪いのだ」と言っておきましょうか。

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2015年12月 1日 (火)

床屋談義~確信を形成する

 最低賃金1000円とかって,事業主側からすれば堪らんですな。
 確かにそうですね。
 最初に雇った段階では,タオルの洗濯くらいしかできないのを一所懸命育てている段階で1000円も払えるか?と思うわけですよ。
 確かにね。お店が閉店した後にも教えてあげたりするんですよね。
 そうそう,それをね,労基署とかの人が残業手当払えって言うんですよ。
 教えているのにねぇ。
 そう,本人が自発的に教えてくれといって,それに応じて教えるのは,別だけど,お店の制度として研修時間を設定しているなら,正規の就業時間後であれば残業だっていうんです。
 なるほど,研修ですよね,確かに言われてみれば。
 でもね,技術を教えているんだから,講習料もらいたいところ,教えてあげているんだし,それで彼らは一生食べられるようになるんだから,給与払うという話じゃないでしょ。
 なるほど。
 そしたら,労基署の人は,講習料を取ればいいんですよというわけです。
 ほう,残業手当を払いつつ,講習料を天引きするんですね。
 そうなんです。でも,そしたら,給与自体は高くなるから,源泉税はたくさん引くようになるし,社会保険料も高くなっちゃいますよね。高くは払ってあげられない彼らの給与の手取りがもっと減っちゃうんです。
 昔は,住むところと三食の食事を用意してもらえたら,それだけで仕事するような人がいたわけですが,今は,そんなの漫画家のところのスタッフくらいしかないかもしれませんね。
 彼らの手取りをどうしてあげるんだ?と聞いたら,それはみなさんが考えることでしょうと言われちゃってね。
 手取りが十分になるように給与をもっと高くしたら,あとは料金の値上げでもしないといけなくなりますねぇ。
 そしたら,お客さんが減っちゃうかもしれないしねぇ。
 アベノミクスも雇用者の給与が増えて,消費が増えて,企業も値上げができて・・・というのが同時に起こってくれれば,成立するんですが,その確信がない限り,値上げするのも給与引き上げるのも,実行するわけにはいかないですものね・・・。

 と言った後,この確信を形成するというのが大事なのかもしれないなと思いました。誰もが少子高齢化で今後の日本は一層厳しくなると思っているわけで,そこで給与を引き上げて固定費が増えるようなことをするわけがなく,明るい未来が見えないとアベノミクスは成立しないのではないかと思うわけです。

 

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2015年1月13日 (火)

今年の我が国の経済

 という固いタイトルですが、私の事務所では、新年の最初の営業日の社内ミーティングで、世界→日本→中小企業の経済状況を俯瞰して、この1年間の事務所としての方針や顧問先とお話をしたり、いろいろな方針を決める相談に乗る際の指針になる話をしています。といっても、年末のビジネス雑誌、日経の1月3日のアンケート記事が中心なのですが。そこで、今日は、その一端をご紹介します。
 海外の状況ですが、2015年の米国の成長率は、日経の識者によれば、2.7%~3.6%、中国は、6.8%~7.25%の成長と予想されています。したがって、米国については、前年よりだいぶ強めに、中国については前年より若干弱めという予想となっています。ヨーロッパについては日経のアンケートには取り上げられていませんが、IMFによれば、2014年は、ユーロ圏で0.8%と若干の成長であるが、2015年はプラス1.3%と引き続き成長する推移の予想となっています。IMFの予想では,インドやアフリカで成長率が伸びると予想されており、中国も8%割れとはいえ高水準であり,0.5%のロシアを除く新興諸国の成長に支えられるという絵が描けるのかもしれません。
 その中での日本経済は、昨年の年初の日経新聞の識者の2014度予測は、0.2%~1.8%の予想となっていたが、10月の段階で0.9%程度が見込まれており、予想の範囲内とはいえ,消費税のアップの影響が思った以上に大きかったと思います。
 そして、今年の日経アンケートでの予想は、1.25%~2.4%ということで、昨年より強めに推移するという読みのようです。昨年の4月の消費税増税に伴う景気の落ち込みが改善し,原油安の恩恵,円安による米国向けの輸出の伸びなどを期待しているように見えます。
 東洋経済誌の2015年の予想では、+0.4%~+2.0%に分布しているが,多くは,1.0%から1.5%となっており,日銀の目指す2%には届いていません。円安を打ち消す原油価格の下落があるため,このような予想になったのだと思われます。円安の影響で,輸入品の価格は上昇する傾向は,今年も続くのかもしれず,食品,衣料,家電などは値上がりしていくのかもしれません。
 また、株価については、今年の予想は、一番多いのが16,000円ないし17,000円~21,000円ということで、年末に向けて上がるだろうという読み。これに対して私は,何か大きなイベントがあれば,21,000円超えもあるだろうし,逆に16,000円割れもあるかもしれないという気持ちになってきており,今年はあまり予想がつきません。2万円という2000年以来15年ぶりの大台に到達してもらいたいと思うが,名目GDP成長率が3%に乗った!とかそういう事象が起きれば行きそうな気がする半面,ロシアや中国やギリシャなどで混乱が起きたりすれば,あるいはアメリカが貨幣供給量を圧縮し始めたりすれば,大きな下落もあるような気がしています。
 地価の動向は、世間全般としては、2020年のオリンピックまでは、強気で行こう!みたいな雰囲気を感じますが、不動産業界って景気が良いのは、10年間に2年くらいという業界だそうです(某顧問先社長の話)。であれば、これから5年間、地価が順調に上がって、かつ、物件の動きも活発で・・・ということがあるのでしょうか? 「もっと上がるに違いない」と思って物件を売りに出さなければ、値段は上がるものの、取引は成立しません。そういうしているうちにリーマンショックみたいに海外からの津波が来たら、一瞬にしてフリーズですよね。適当なところで、売ってしまって、特に条件の良くない物件ほど早く整理して、本業にでも回した方がよいのではないかと思ったりしていますが。
 そして、中小企業の動向ですが、うちの顧問先を見ていても、建設業とその周辺を中心に相応に良かった昨年に対して、そのお金が他の業界に回っていくのが2015年・・・となればいいなぁ、という感触を持っています。で、その後の話は、顧問先の内容にも触れてくるので、省略させていただきます。
 ということで、本年もよろしくお願い申し上げます。

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2014年10月 6日 (月)

社会保険の被扶養者の判定について

 家内の友人から夫の会社の健保組合から「社会保険の被扶養者になれません」という連絡が来て困っているという話が飛び込んできました。いわゆる130万円基準の話です。130万円を超えるパート収入があったら,社会保険の被扶養者にはなれません。じゃ,130万円を超える個人事業者収入(売上高)があったらどうなのよ?というお話。

 確定申告書のコピー,青色決算書のコピーを提出したが,収入が130万円を超えていると言われてしまったというのですね。そこで,下記のような文書を提出してみたら?と文章を作ってみました。
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「健康保険の被扶養者の判定における生計維持の基準について」

 今般,収入が130万円を超えるということで,被扶養者にはなれず,国民健康保険に加入することになるという見解が示されましたが,下記の事項を検討のうえ,再度,ご検討をお願い申し上げます。

 一般に「年間収入が130万円」というのが生計維持の基準とされています。この「年間収入」とはどのように定義されるかが曖昧で,各健康保険組合等で判断が異なるように思います。
 これについて,健康保険法(昭52.4.6 保発第9号厚生省保険局長通知)では,次のように書かれていると認識しております。

"収入がある者についての被扶養者の認定について健康保険法第一条第二項各号に規定する被扶養者の認定要件のうち「主トシテ其ノ被保険者ニ依リ生計ヲ維持スルモノ」に該当するか否かの判定は、専らその者の収入及び被保険者との関連における生活の実態を勘案して、保険者が行う取扱いとされている。"

 これによれば,収入だけでなく,被保険者との関連における生活の実態を勘案するとされています。たとえば,被扶養者の認定の対象者が個人事業を営んでおり,収入(商品の売上高)が500万円あってもその商品の仕入れに450万円を要しているのであれば,差引50万円の所得では生活ができず,被保険者に扶養されることになります。したがって,個人事業者の判定における「年間収入」とは,売上高に相当する金額ではなく,経費等を控除した後の所得によることが望ましいと思われます。
 実際に,パナソニック健保では,次のように判断しております。
https://phio.panasonic.co.jp/hoken/shikumi/kazoku_kanyuu/sikakucheck.htm

パナソニック健保の取扱い
総収入-(売上原価+※必要経費)+減価償却費
※確定申告の際、必要経費として認められるものに限る(青色申告特別控除は必要経費として取扱いません)
    上記基準を2007年9月1日より適用する。
    異動届に直近の確定申告書・損益計算書(収支計算書)の写しを添付の上ご提出願います。
    現金支出のない減価償却費については、必要経費として取扱いません。
    事情(所得38万円未満等)で確定申告していない方は、個人で記録している帳簿等を事業主印押印後ご提出願います。
    事業初年度者は各自で見込み(売上・経費内訳)を別紙にご記入の上、事業主印押印後ご提出願います。

 この基準によれば,今回の場合も130万円にはならないと判断されることになります。
 このように健康保険法上の解釈上も,扶養の実態上も,そして他社の健保組合での取り扱い上でも被扶養者とすることが望ましいと考えられます。

 以上,宜しく再検討のほど,お願い申し上げます。
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 ところが駄目だったというのです。他社の健保組合がどういう判断をしているかとは関係なく当社の健保組合は,個人事業者も売上高130万円で判断しているからと言うのだそうです。そんなの,理屈になっていますか?

 第1にパナソニック健保と判断基準が違ったら,国民の中での不平等が生じます。だから,本来は,厚生労働省がパナソニック健保のような基準を明示しなければいけないのだと思います。しかし,それをしていないという怠慢。

 第2に実質的に扶養されている家族が被扶養者になれないという不合理があります。文書の中にも例示しましたが,物品販売業だったらどうするのでしょうか。450万円の仕入れをして,それを500万円で売っている場合に,50万円以下の所得から国民年金保険料と健康保険料,介護保険料合わせて20万円ほどを納めろというのでしょうか。

 実は,これに対する反論も考えられないわけではありません。「パート労働者も130万円の収入に対して,65万円とかの経費が掛かっていて(給与所得控除),実質の所得は65万円なんですよ。だから個人事業者も同じに考えるんです。」というもの。しかし,給与所得は,基本的な必要経費は雇用者が負担するから給与所得です。会社までの通勤交通費も支給,会社内で作業服を着る必要があればそれも支給,事務用品も机も。個人事業者は,全部自分で支出して,経費としなければなりません。同じなはずがない。いや,スーツ代,靴代,化粧品代など必要経費があって・・・というのが給与所得控除。個人事業者の場合,これも業務関連性があれば,必要経費にしていますが,こんなもの以外に個人事業者は,事務用品や移動のための交通費などがかかるわけです。また,そもそも仕入代が存在する小売業,卸売業をしている個人事業者もいる。給与所得者に赤字はないけれど,個人事業者には赤字もありうる。こうしたリスク負担の中で,やっている者と給与所得者を一律に「収入金額」で判断することはできないはずです。

 そういう当たり前のことが判断できないその会社の社会保険担当の人がアホだということでもあり,また,パナソニック健保はさすがだと思い,さらにこんなこと各健保の判断に委ねている厚生労働省は,仕事していないと思うわけです。こうやって1つ1つ国民の信頼を失うようなことをしているから,日本国民の心は,政治や行政から離れていくんではないかと思うのであります。

 さらに言えば,サラリーマンの妻が国民年金保険料を納めないでよい,すなわち第3号被保険者なんて制度を存続させていることも厚生労働省の罪ですよ。これすら改革への準備もせずに,何が「税と社会保障一体の改革」ですか。第3号被保険者という概念がなければ,今回の問題だって,年間5万円だから諦めようよ・・・とも言えるわけです。厚生労働省は,国税庁(財務省)に比べて,こういう部分の感覚が甘すぎます。国税庁は,憲法の中に租税法律主義とか法の下の平等とか定められているから,国として国民の懐に手を突っ込むことについて,丁寧に物事を詰めます。しかし,厚生労働省は,「保険」という言葉に自ら甘え,「保険料を払ったって,将来返ってくるんだから,国民の懐に手を突っ込んでいるわけではない」とか思っているのではないでしょうか?

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