2017年12月29日 (金)

少子高齢化の影響~~2017年もありがとうございました。

 今年は、いよいよ少子高齢化による労働力不足が明確になってきて、賃金のアップなどが明確化してきたように思います。私の事務所では、この数年来、「何か節税策ってないですか?」って利益の出ている会社から聞かれると、「人を雇っておきましょうよ」と答えていました。新たに人を雇うと未経験者、若い人を雇う場合で3~4百万円の支出になると思いますが、実効税率30%として100万円くらいの節税になるわけです。実質2~3百万円で雇えたと考えてもよいし、定着してくれないですぐに退職されちゃっても、節税したんだと考えれば腹も立たない。「そのうち、本当に採用したくても人が採れない時代が来るんですよ」と言ってきました。
 
 事務所としては、従来より、やる気のある経営者を応援したいという気持ちでやってきておりますが、平成27年の相続税の基礎控除の改正の施行以来、相続の仕事も増えている印象があります。ちなみにその年に発売した「顧問税理士も知っておきたい 相続手続・書類収集の実務マニュアル」ですが、お陰様で増刷を重ね、本年、第2版となりました。「顧問税理士も知っておきたい」という文言がタイトルに入ってはいますが、これは「相続の当事者だけでなく、顧問税理士も相続人の方々に説明できるよう知っておきたい」という意味合いで、一般の相続人の方々にも読みやすい本になっていると自負しております。
 
 そのほか、労働力が減っている中、プライマリーバランスは均衡化させるなら、GDPは600兆円くらいほしい、というのがアベノミクス。今より経済を2割増しで動かすためには、専業主婦や103万円以下しか働いていない方々にももっと働いてほしいといった施策も出ていますが、量的な解決だけでなく、質的にも解決しないと2割増し水準は無理。となると労働生産性のアップが求められます。経費精算書をいちいち手やパソコンで作成して紙出力したうえで経理に提出というのは非効率。あるいは納品書、請求明細書、請求書を紙で受領して、それを後でファイリングするのも付加価値なさそうな仕事。スキャナ保存制度を改めて考えると、日本のホワイトカラーの生産性を向上させるツールとして活用できそうだなぁと思う次第。私の「国税庁Q&A対応 実践税務書類のスマホ・スキャナ保存」「平成28年度改正対応こうなる! 国税スキャナ・スマホ撮影保存」がそうした労働生産性アップに役立ってくれたらいいなぁと思う次第。
 
 と、少しばかり(かなり)宣伝臭くなってしまったかもしれませんが、平成30年度税制改正大綱を見ても、電子申告や年末調整の電子化など、企業の電子化の流れは、一層進むように思います。個人の青色申告事業者が複式簿記で帳簿を作成し、帳簿の電子保存ないし電子申告をしていれば青色申告特別控除がそれ以外の場合より10万円アップといった改正事項は、電子化促進の1つの姿だと思います。
 
 なにか書きたくなることが見つかったら大晦日までに新しいエントリーを上げちゃうかもしれませんが、一応、2017年の書き納めということと考えております。皆様、お読みいただいてありがとうございました。

 

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2017年12月13日 (水)

メディアは税制をきちんと伝えているか?

 今朝のテレビ朝日で電子タバコの増税も予定されているということに対して、家計評論家の荻原博子氏のコメントとして、「第三のビールの増税と同じく取れるところから取るということ」ではないかと報じていました。これは、違うと思ったので、以下、私の事務所が今年の春にお客様に送ったニュースの一部を載せたいと思います。読みながら「昔は、かっぱ黄桜かっぱっぱ」なんてテレビCMがあったな、確かに日本酒が売れていた時代だったなどと思い起してもらえるかもしれません。
 
1.とうとうビールの税金の改革が
 今年は、気楽にお酒のお話です。今年度の税制改正で酒税についての改正が行われました。
 
 ビール、発泡酒2区分、新ジャンル(第三のビール)とビール類の酒税は4区分されています。350ミリリットルの缶で換算すると、これまで
①ビール(麦芽比率50%以上)に77円
②発泡酒(麦芽比率25%~50%)に63.24円
③発泡酒(麦芽比率25%未満)に46.98円
④新ジャンルに28円
という酒税が掛けられていました。
 
 これに対して、平成32年10月、平成35年10月に段階的に改正を入れながら、最終は平成38年10月に54.25円で統一しようという改正となっています。なお、新ジャンルの区分には、チューハイなども分類されていますが、チューハイ類については、平成38年に35円へと引き上げられることになります。
 
2.実は、ビールだけの改正ではない
 世間では、「発泡酒の値段が上がって、お財布が苦しくなる」と言われていますが、実は、清酒の引き下げとワインなど果実酒の引き上げが平成35年に行われ、梅酒やリキュールなど混成酒類の引き下げが平成32年に行われます。このようにビールだけではなく、酒類全般の税率を整えるという改正であるといえます。
 
3.こうした改正はなぜ?
 世間の声では、キリンの「のどごし生」、アサヒ「クリアアサヒ」、サッポロ「麦とホップ」、サントリー「金麦」などの値上げにつながることが残念なことと受け止められているようです。
 
 しかし、酒類全般の改正として考えるならば、安すぎる第三のビールやチューハイのせいで割りを食っていた清酒や梅酒の税率が下がるので、清酒や梅酒が買いやすくなり、ビールも発泡酒も第三のビールと統合して、本来の「ビール」の税率になることで、本格的なビールが飲みやすくなります。ビール会社も酒税の区分を気にすることなく商品開発ができるようになります。
 
 税制には公平性、中立性、簡素の3つが求められると言われています。これまでは税率の区分によりビール的な商品が生まれるという点で、税制が企業の商品競争の中立性を歪めていましたし、消費者にとっては簡素でない税制だったといえます。また、清酒のメーカーにとっては、公平でなかったという不満があったと思います。今回の酒税法の改正は、税制の歪みを正すので、10年の間に商品戦略なども含めて、対応してくださいという意味が込められています。
 
4.さらに国際戦略の観点から
 発泡酒といった酒税法上の区分は、日本だけのものです。すなわち、「金麦」のような第三のビールは、日本でしか通用しないガラパゴス商品だといえます。日本のビールメーカーは、ガラパゴス商品による国内競争に会社資源を投下して、国際競争に目を向けることができなかったのです。バドワイザーやハイネケンと並んで世界中で飲まれる日本のビールブランドの成長を期待する税制改正であるとも言えるのです。

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2017年10月 1日 (日)

ヤマト運輸、amazon向けの値上げ合意

 9月28日の日本経済新聞で、宅配最大手のヤマト運輸がインターネット通販最大手の米アマゾン・ドット・コムとの運賃交渉で値上げすることで大筋合意したという記事が出ておりました。値上げ幅は、4割超になるということです。
 
 そうなると、通常配送2000円未満の場合に350円という配送料の値上げもあるのかもしれません。amazonで買い物をする方からは、困った話だということかもしれませんが、ヤマト運輸の従業員のことを考えると、良いことだと思います。また、ちょっとした小物でも大きな箱に入って送られてくるエコに反したamazonの配送方式を考えると、ヤマト運輸は箱の中の空気を運ばされていたような気もするわけで、環境保護を考えると、好ましいのではないでしょうか。
 
 小物でもかなり大きな箱に詰めて運んでくるのは、箱の種類が少ない方がamazonの倉庫から出荷する際の荷造りが楽なのだからだと思います。大は小を兼ねるので、何でも大きな箱で荷造りする。しかし、その結果、ヤマト運輸のトラックの荷台や台車の積載量が圧迫され、よりたくさんのトラックが必要となり、台車で何度も配達員が往復するようになるのだと思います。
 
 amazonって、自分の会社を出た後のことは考えていないということなのではないでしょうか。外資系企業の発想って、そうなのかもしれません。「こんな大きな箱で」と思うなら、それに見合った料金を提示してくれば良いので、今の料金で合意している以上、どういう箱で送ろうが知ったことではない、ということなのでは? こういう発想は、「三方よし」の日本企業にはない。逆に言えば、グローバルな時代、日本企業は、日本の流儀というガラパゴスな仕事の仕方をしていて、それにより得られるべき利益を失い、それが、賃金の伸び悩みという結果を招いたのではないでしょうか。
 
 注文したら、その日のうちに、あるいは遅くとも翌日には品物が到着するという素晴らしいサービスの値段が相応に高いのは仕方がないことです。その値段も織り込んでいたら、amazonの商品の値段がリアルな店舗より安いというのは矛盾がある。今回の値上げの結果として、amazonで買うより、お店で買おうかという人が少し増え、ヤマト運輸の忙しさが少し緩和して、amazonの利益がリアル店舗やヤマト運輸のドライバーの方々とヤマト運輸に移転するなら、それも良いことではないかと考えました。

 

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2017年8月15日 (火)

公的年金制度のありがたさ

 ネットで見かけたニュースで、年金が11万円しかもらえないので、いったん隠居したが再び働きだして、3か所掛け持ちで苦労しているという69歳の人の記事が出ていました。「年金は少なくて、日本の社会保障はひどいね」と読者に伝えたいという記事に思えました。

 しかし、この方についていえば、そもそも65歳で年金を受給しはじめる際に11万円ってわかっていたはず。それで十分な暮らしができるかどうか、判断できたはず。実は、公的年金制度は、70歳までの受給繰り下げの制度があります。70歳からの受給開始すれば42%アップになり、金額にすれば約15万円の年金受給額になったわけです。月額4万円、年間50万円近く違うなら、65歳からの5年間、何とか仕事を続けて、貯金を取り崩してでも15万円の年金をもらうようにするという手もあったと思います。60歳台は、働けれるけれど、70歳代、80歳代になったら難しいわけですから。

 この年金受給の繰り下げ制度って、意外と理解されていないし、活用されていないと思います。という話をすると、「平均寿命とか考えると、早くもらわないと損しちゃう」とか言う方が多いです。しかし、平均寿命って、今、生まれた赤ちゃんが平均で何歳まで生きるか?という期待値です。当然、65歳まで無事に生きた人の平均余命は、平均寿命より長い。男性でも85歳とか90歳まで生きちゃうかもという前提で老後設計をすべきです。女性の場合だと、65歳の段階で足腰に問題なかったら、90歳かと95歳まで生きるかも、80歳の段階で足腰に問題なかったら100歳まで生きるかも、くらいの老後設計が必要なのではないでしょうか。

 という観点では、死ぬまで受給できる公的年金は「長生きリスク」に備える保険。保険というと、死んだり、病気した時の保障を思い浮かべますが、長生きしすぎることもリスクです。だって、90歳になったら、さすがに働けないし、うっかりすると子どもが先に死んでいるかもしれないし、昨今、未婚のままの一人暮らしの人も多いです。その時に一定のお金が入り続けるのは、ありがたいんだと思います。

 死ぬまでもらいつつけることができる公的年金の有難味は、こういう点にあるということを再認識したいものですね。

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2017年8月11日 (金)

AIは公認会計士の仕事を奪うのか

 8月10日の「羽鳥慎一モーニングショー」の「そもそも総研」のコーナーで、「AIに仕事を奪われる?」という番組があり、日本公認会計士協会の手塚常務理事の映像コメントが出ておりました。元ネタは、オックスフォード大学・野村総研のAIの発展で無くなる仕事という調査レポートです。もう、出てから1年は経ちますけど。

 番組では、「監査は、判断をする仕事なので、証拠を集めるプロセスがAI化されることはあっても、監査という仕事はなくならない」という雰囲気で放映されました。これは、事前にIT委員会で常務理事がこんな方向性で話そうと思っているんですよ、と言っていた通りのきれいなコメント。テレビに取材って、先方の意図と合わないと強引な編集されたりして、嫌な思いや最悪の場合、「なんでそんな発言したんだ」と周囲から怒られる羽目になるんですが、手塚常務理事、お見事でした。私も出席しているIT委員会の担当常務理事なので、ちょっと安心した次第。

 実は、番組でも、当意即妙の対応が求められるアナウンサーとかタレント、そのほかコミュニケーションが必要とされる仕事は残るというコンセプトでまとめていたので、「判断があるから仕事は変わっても消えることはない」という発言が生かされたのだと思います。

 という番組の放映があったその日に東芝の財務諸表に対するPwCあらた監査法人の限定付き適正意見の公表があったわけですが、あそこでの限定付き意見の論拠を読むと、つくづく監査って判断の業務だと思います。監査計画の立案プロセスでリスク判断の資料収集やその分析、あるいは判断の基礎となる証拠収集の一部は、AIで集めることで質が上がりますが、最後の判断は人間なのだと思います。そして、今回のPwCあらた監査法人の場合、おそらくは関係省庁などとの調整なども経て、落としどころ探しの結果としての「限定付き適正意見」だったのだと推測しています。公認会計士の仕事は、なくなることはないと確信する次第です。

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2017年8月 9日 (水)

企業の実力は経営者の本気度で変わる

 コンビニエンスストアのレジには、年齢キーがついているというのは良く知られた情報だと思います。小学生以下を示す「12」キーから50歳以上を示す「50」キーまでが男女別に並んでいるようです。このキーを押すことで、どういう年齢層にどういう商品が売れたかを把握できるし、時間帯別の顧客の年齢層が把握できるわけです。日経ビジネスオンラインの記事によれば、ファミリーマートは、この年齢キーを廃止するとのこと。
 
 というのは、このキーは、忙しくなってくると一番押しやすいところを押す、みたいなことをやって不正確な運用になってしまい、そうでなくても複雑なコンビニの業務を複雑にしてしまうからだという理由のようです。
 
 「きちんと押してくれないからやめる」ことも現場の実態に合わせた1つの経営です。しかし、私の持っている情報によれば、この年齢キーをきちんと押す度合いは、セブンとファミマ、ローソンでは違いがあるのだそうです。セブンは、きっちり押しており、ファミマ、ローソンはいい加減だという話。逆に言えば、セブンは、このデータをきっちり分析しているから、いい加減な押し方をしている店が浮き彫りになり、そこの店長がエリアマネジャーに怒られる、店長が店員さんに徹底を周知する・・・という流れがあるのだということになります。これがセブンイレブンの売上の原動力の1つだとしたら、ファミマのキー廃止は、大事なデータの入手手法を自ら捨てることになります。
 
 「この年齢キーは、ちゃんと押せ。これが当社の成長の源なのだ」と熱く訴え、「混雑時間帯に客が待っていようと、ちゃんと押すのに0.2秒もかからない。ちゃんとやれ」と言うかどうか。実は、それが年齢キーの精度を決めるのです。せっかく得られるデータを本気で使うかどうか、経営陣の執念や本気度が企業の実力を決めるのではないでしょうか。人工知能やビッグデータの時代です。こうしたデータの収集を放棄するファミリーマートに疑問を感じた次第です。

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2017年7月30日 (日)

正社員への求人が初の1倍超え

 平成29年7月28日厚生労働省発表の雇用統計が私が気づいた範囲では、日本経済新聞、毎日新聞の夕刊に記事として出ていました。それによれば、正社員の求人倍率が1倍を超えたというのです。「1倍を超えて求人が求職を上回るのは2004年の調査開始以来初めて」だそうです。日本経済新聞の記事はこちら
 
 定年延長や再雇用での人もついに引退という状況になって、正社員が足りなくなったということではないかと思います。また、非正規での募集では全く人が採用できないので、解雇しずらいといったデメリットになりふり構わず求人に走り始めたということかもしれません。
 
 これで一人当たりの給与も増え、消費も増え、そうすると需要が増えるので雇用は一層タイトになって、非正規社員の給与単価も上昇して、物価も上がり始めて、投資が収益を上げられる見込みが出てくると資金需要も増えて、金利も上がり、貯蓄が多い高齢者の所得が増えると高齢者の消費も増えて・・・とみんなが豊かになる時代がきたらいいなぁ・・・と心底思う次第です。
 
 この雇用統計の伸びは、2009年というリーマンショックの翌年からスタートしていますので、アベノミクスの成果だとか民主党時代の成果だといったものではなく、団塊の世代が引退し、新たに生産人口に加わる18歳周辺の人口が少ないという人口構造によるものかもしれません。しかし、正社員が増え始めるかもしれないという喜ばしいニュースだと考えれば、もっと多くの人に知ってもらいたいなぁと思った次第です。

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2017年6月 6日 (火)

「公益」資本主義~原丈人著を読みました

 「公益」資本主義 英米型資本主義の終焉 (文春新書)は、英米型資本主義の終焉というサブタイトル通り、旧来の日本の経営、従業員を大事にして、三方よしの理念こそがこれからの時代の経営スタイルであるべきだ。株主資本主義で、投資家が儲け、それに尽くした経営者が莫大な報酬を得るというアメリカ型の経営は、ダメだと断じる書です。

 実は、ジャパン・アズ・ナンバーワンと同じような気がしないでもないのですが、あの頃は、「アメリカは、四半期決算なんかやっているから、3か月で成果が出せる経営に走って、5年後10年後を考える経営者がいないんだ」といった話が出ていましたが、今や、日本も四半期決算。このままでは、日本は、ずっと駄目になるという危機感から書かれた本になっています。

 この本によれば、コーポレートガバナンスコードなども株主資本主義によって、作られているからダメだということになり、であるならば、日本企業を評価するにあたっては、「コンプライ」ばかりの企業は駄目で、「エクスプレイン」がたくさんある会社、そしてその記述内容が素晴らしい会社がよい会社だという判断基準になりそうです。

 公益資本主義の3本の矢は、(1)中長期投資、(2)社中分配(企業を支える仲間に分配)(3)企業家精神による改良改善(P.161)だと著者は、言います。そして、カジノ資本主義ではなく中長期の勝負、ゼロサムゲームではなくプラスサムゲーム、一部の超富裕層と大多数の貧困層を生むのに対して、層の厚い中間層を生む、英米の金融界やウォール街が望む資本主義ではなく世界の大多数の国民が望む資本主義(P.172)という違いがあるのが公益資本主義なのだそうです。

 久々に、読んでいて気持ちが良くなってくる本でしたので、ご紹介する次第です。

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2017年5月24日 (水)

子ども・子育て拠出金の料率の引き上げ

 5月の社会保険料の納入告知書を見て気づいたのですが、社会保険料の内訳の1つである子ども・子育て拠出金ってさりげなく15%も引き上げだったんですね。そもそも0.2%だったものが、0.23%に変わっても、そもそも率が低いので気づきにくいんですが。
 
 以前は、児童手当拠出金と言っていたので、名称も変わったので、ちょっと根拠法令を調べてみました。元々は、児童手当法という法律があったようで、平成24年8月に子ども・子育て支援法が施行され、その一部改正が平成28年4月に施行されていて、28年に0.2%、29年0.23%へと上がったのですね。これで1300億円の財源が確保されて、仕事・子育て両立支援事業が新設されたりしているそうです。消費税1ポイント2.5兆円に比べれば小さいけれども、知らないうちに引き上げられた感があります。ちなみに参考資料は、こちら
 
 この資料を見てみると、「【法案の必要性】第二の矢「夢をつむぐ子育て支援」の実現に向けて、事業主拠出金制度を拡充」という記述があり、アベノミクスの一環なんだということがわかります。子どもの支援をして、国民の教育水準を高めつつ、お母さんにも働いてもらおうという政策です。そして、その負担は、社会保険の事業主拠出金なので、福祉を受ける個人ではなく、雇っている企業が子育てのためにお金を負担しているんだから、税金みたいなものですね。メディアも、企業が負担する「税金」だとあまり騒がないので、いつの間にか負担が増えているということが起こります。「あれっ」と思ったら、皆さんも調べてみることが大事かもしれません。

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2017年5月 8日 (月)

行政改革って、増税より優れているのだろうか?

 高校・大学の無償化といった議論が出てきていて、小泉進次郎さんは、「子ども保険」なるものを提唱し、橋下さんは、行財政改革と相続税増税を提案したようです。少子高齢化もあり、高齢者向けの社会保障費がどんどん増え、それを少ない現役世代が払っていこうとすると、どうしても無理が出ます。かくして、国債発行で帳尻を合わせてきたけれども、財政赤字が無視できない金額になってしまった。かくして、国自体が成長しないと現役世代に負担してもらうのも厳しいから、成長のための国力アップの施策が必要で、それが高校・大学の無償化の議論なのかもしれません。また、高齢者ばかりに社会保障では、現役世代は、受益を感じることができず、結婚もせず、子どもも生まれないということに気づき始めたのかもしれません。

 しかし、新しい施策には、お金が必要。国民の懐に手を突っ込むか(増税)、厳しい行政改革をしないといけない。と言われると、行政改革の方が好ましいように思うじゃないですか。でも、行政改革だって、行政が無駄遣いで購入していた物品を納品していた会社の売上が消えることを意味するのであり、もらえていた補助金・助成金が無くなることを意味します。当事者にとっては、極めて大きな痛みを感じる改革です。

 つまり、行政改革を断行!ってのは、財源を広く国民に求めるのではなく、無駄遣いを見つけ、無駄遣いの商品やサービスを納品していた会社の売上を奪うことにより、特定の人たちにだけ痛みを集中することで、特定の人以外の国民全般からの人気を得る施策でもあるといえないでしょうか。もちろん無駄遣いの排除は重要ですが。

 私の仕事のかかわりで言えば、法人住民税の申告書用紙は、市町村ごとに紙質違うし、微妙に枠などが違いますが、記載内容は地方税法どおり。全国一律で印刷すれば安い!とか思ったりします。行政改革の一環で全国一律で印刷するとどれくらいコストが浮くでしょうね。でも、そうすると、各市町村の小さな印刷屋さんの大事な売上が消えちゃうんだろうなと思います。ということは、もし、そういう行政改革をするなら、市町村ごとの小さな印刷屋さんが倒産することも想定し、もし、倒産したら生活保護世帯が増え、銀行が貸倒損失を負担するかもしれず、そうしたセーフティネットの支出や法人税収の減少は、回りまわって国民が負担することになります。つまり、行政改革って、国民に痛みを与えない施策というよりは、国民のごく一部に大きな痛みを与え、多くの国民には見えない形でその痛みを付け回す手法ともいえるのではないかなと思った次第。

 行政改革って、聞こえはいいけど、特定の人たちに痛みが集中するから、そこからの反発は大きくて、たとえば、「2番じゃダメですか?」に対して、「スーパーコンピュータは世界一でないとダメなんです。」ってノーベル賞科学者まで動員して反対意見が陳述されたりするわけです。たいへんな摩擦の中で実行した挙句、結局、痛みを感じずらいだけで一般国民にも痛みが付け回されるんだったら効率の良い政策じゃないなぁと思ったわけです。もちろん、無駄遣いはいけないから、そうした吟味・検討はしないといけないんですけどね。要は、増税と行政改革は、両方とも同じような結果をもたらすけれども、国民が痛みを感じずらいかどうか?の違いにすぎないのではないかと。少なくとも経済学的には、財政支出を減らすことも増税も国民所得を減らしますので、たぶん、そうなんだと思う次第です。

 と書かれても何か納得できないという人、財政支出とその効果を区別するとよいと思います。ものすごい田舎に100億円で1日に50人しか使わないトンネルを作るのと築地に環状2号線のトンネルを100億円でトンネルを作るのでは、財政支出額とその国民所得への効果はとりあえず同じです。しかし、より多くの国民に喜ばれ、「投資の効率性」とか「より有益な使い方」という意味では、明らかに違いがあると思います。ですから、行財政改革は大事ですが、それで浮いた金額で国債や地方債を償還したりすると、国民所得にはマイナスです。不効率な使い方を効率的な使い方に組み替えていけば、経済学的には中立で、その効率性が何らかの形で将来に寄与するということだと思います。

 

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