2013年4月28日 (日)

「社会を変える」を仕事にする

 今頃読んだの?とか言われそうですが、NPO法人フローレンスの駒崎弘樹さんの「社会を変えるを仕事にする」(ちくま文庫)を読み終えました。何カ月も前から自宅に置いてあり、休日に外出するときに持ち歩いて少しずつ読んでいましたが、とうとう読了です。

 ま、みなさんもご存じの病児保育のパイオニアなので、その内容には触れませんが、本の末尾に注釈のように書いてあるソーシャルビジネス用語集みたいなのが良かったです。P.267のCICなどは、!でした。以前から会社法の中に「配当をしないと定款に書いた会社をNPOと定義してもよいのではないか」と思っており、Facebookの中の「ビジネス創造フォーラム」でも書いたことあったかもしれません。イギリスにそういう制度が導入されていたんですね。研究してみたいものだと思いました。

 そして、P272~273の「非営利」の説明。今までの私の発言は、ここをパクって言ったんじゃない?と思われちゃいそうなくらいきれいに私の考えと一致です。そのまま引用しておきます。
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「NPOは儲けてはいけないのですよね?」という誤解が一般化しているが、「営利」とは団体の利益を構成員に分配することを意味し、「非営利」とは、団体が利益をあげてもその利益を構成員に分配しない「利益の非分配」を意味する。営利組織である会社は、株主(構成員)が出資して会社を運転し、あがった利益を株主に配当するしくみである。この配当に当たる部分が「営利」であり、会社は株主から見て「営利団体」である。それに対してNPO、構成員(会員)が会費や寄付金を拠出し、それをもとにNPOが事業を行って利益があがっても、それを構成員に分配しない仕組みである。つまり、構成員にとってNPOは「非営利団体」である。営利・非営利は、その団体の構成員からみた団体の性格を示す用語である。
 ちなみに「儲けていないから非営利」ということであれば、日本の企業260万社の約7割は赤字なので(国税庁会社標本調査より)、日本は非営利団体ばかり、ということになる。
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 このほかにも「フルコストリカバリー」とか、そうなんだよ!と叫びたくなる用語説明が入っています。「ソーシャルビジネスって何?」という人のための絶好の教科書だと思います。

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2013年2月 3日 (日)

藤井聡 著「維新・改革の正体」(産経新聞出版)

藤井聡 著「維新・改革の正体」(産経新聞出版)を読みました。

 当初、読んでいていわゆる海外陰謀論みたいな「日本はアメリカ(ユダヤ)に操られている」的な本かなと思いました。実際、そういう雰囲気で読んでいたのですが、途中でマネタリスト批判が出てきて、「あ、もしかして、この著者は確かかも」と思い始めたので、みなさんのご意見も聞いてみようかと。

 要するにケインジアンとマネタリストの攻防の中で、不況の時には公共投資で有効需要を作らないと…というケインジアンを新自由主義・マネタリストが「いや公共投資をしても財政が赤字になるだけで駄目。構造改革で自由化を進めれば日本は良くなる」といって、公共投資をやめさせて日本を悪くしようとしてきた人がいる、という議論です。

 著者は、6種の人が日本を悪くしてきたと言います。
(1)大蔵省・財務省による緊縮財政主義
(2)経済学者による新自由主義経済学イデオロギー
(3)ウォール街・アメリカ政府等による日本財布論
(4)アメリカ政府によるジャパン・バッシング
(5)社会主義陣営による対日工作
(6)以上1~5の諸活動を吸収したマスメディア

 これだけ読むと陰謀論そのものなんですが、著者は、それぞれを主張する人たちは、それぞれの所属の組織に新人の段階で入って、その組織になじもうと成長する中で、いつの間にかその思想に染まったのであって、日本を悪くしようと思ってその主義主張をしているわけではないと言います。

 しかし、団塊の世代の人などの中に「これ以上、成長を目指してどうするの?」みたいな言い方をする人がいますが、これは、日本が停滞してプロレタリアートに不満が溜まって革命等へ進む方が良いという社会主義的陣営の人の意見に影響されたものだといった解説をされると、「あ、そうかも」と思ってしまいます。昭和40年~50年代、社会主義が理想、北朝鮮こそ理想の国だと信じていた人もいたわけですから。

 で、著者の結論は、「どれだけマスコミが様々な情報を流そうとも、国民がそのメッセージや情報を頭から信用しなければ、マスコミの影響は限定的になるのは自明だ。そもそも日本国民は、諸外国の国民に比べて倍以上の水準でメディアを信用してしまう傾向を持っている。そういう傾向が、日本におけるマスコミの影響力を極大化させてしまっているのだ」(P.209)です。

 この本に納得しようと納得できまいと、「そういう考えもあるのね」ということで各人が咀嚼しろと訴えています。で、こういう結論の部分で、橋下による維新がいかに底の浅いものであるかということを主張して、「よく考えてみようよ」と訴えています。

 私も最初は、首を傾げながら読んでいました。しかし、マネタリストは経済理論としては破たんしている。そして、その残党がIMFに巣食っているという話を読んで、著者に対して信頼感が醸成されてきたという感じです。私は、公認会計士試験を受験するために経済学も勉強しました。そして、社会に出た時、新聞やテレビで出てくる主張はフリードマンをはじめとするマネタリストばかり。しかし、経済学の教科書で学んだ理論からは、貨幣供給を増やしても景気はよくならないはず。そして、不景気や失業を減らすために貨幣供給を増やすという理論的な帰結に納得ができませんでした。結局、マネタリストって経済理論ではなく、
政策論みたいなものではないか?と思っていました。そして、韓国をみるまでもなく、IMFの管理下に入った国は、ことごとく財政緊縮により経済が困窮させられていました。マクロ計量経済モデルを供給先行型、すなわちマネタリストの論理で作ると、ぜんぜん当たらないという話は、納得できるものでした。それならこの著者の言うことにも理があるのではないか?ということですね。

 ま、何はともあれ、皆様、ご一読をお勧めしたい本だと思いました。

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