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2018年10月27日 (土)

消費税(軽減税率)に関する記事を深読みする

 本日10月27日の日経朝刊に「免税事業者に課税 軽減税率、財源1兆円確保へ財務省案」という記事が出ておりました。軽減税率を導入することにしたものの、軽減税率を入れない場合より税収が1兆円減ってしまうため、その財源を確保しなければならなかったのですが、すでに7千億円については目途を付けているものの、残り3千億円をどうするか、それについて財務省では捻出策を考えたので、与党に案を出す方向だという記事です。

 そもそも民主党野田政権時代に消費税を10%までアップしていこうと決めた際には、軽減税率は想定していなかったわけですが、その後に自公連立政権になって、10%時には軽減税率を入れようという法改正がなされました。しかし、必要な財源までは未検討のままの法案可決で、施行までに財源を探すこと、という条件が付いておりました。それを今頃、目途をつけようというのが記事の背景です。

 目途のついている7千億円というのは、「4千億円は低所得者の医療や介護の負担を軽くする『総合合算制度』の見送りでメドをつけた。3千億円程度はたばこ増税と給与所得控除の縮小で確保する。」と記事に書かれています。結局、食品は、少しだけ安く買えるけれど、4千億円の部分は、低所得者のための総合合算制度の見送りなので、ようは低所得者の負担増によって賄われるという「行って来い」の政策です。3千万円の給与所得控除の縮小は、65万円の給与所得控除の最低額を10万円減らすという改正のことでしょうか。でも、セットで基礎控除が10万円増やされていて、合わせ技で個人事業者など給与所得者以外の人への減税となり、全体では財源は増えていないと思うのです。記事ではこういう部分には触れられていません。

 そして、1兆円までの残り3千万円ですが、免税事業者への課税2千億円と社会保障費の効率化1千億円で捻出すると書かれています。この「免税事業者への課税2千億円」の解説をしておいた方が良いかな?というのが本日のブログのテーマです。

 2023年10月からインボイス制度が始まります。これは、インボイスと呼ばれる所定の記載事項を入れた請求書なり領収書を発行し、消費税の申告に当たっては、課税売上で受け取った消費税からインボイスの裏付けのある課税仕入税額を控除して、納税額を算出するという制度です。インボイスには、消費税のインボイスを発行する課税事業者の登録番号を付さなければならないので、免税事業者はインボイスを発行することができません。従来、課税売上高が1千万円未満の事業者は、消費税については免税事業者として消費税申告をしないでよかったのですが、インボイスを発行する必要があるならば、課税事業者を選択することで消費税の申告をスタートしなければなりません。

 たとえば、バルブやボルトなどを製造して納入している小さな工場、大企業に名刺などを納品している町の印刷屋さんなどが、インボイスを発行してほしいと言われる可能性があります。先日、床屋さんで話をしていたら、芸能人など常にきちんとした身なりを求められるお客さんは領収書をくださいと言われるそうです。となると、売上高1千万円未満の理髪店もインボイスを発行するために課税事業者にならないといけないかもしれません。といった結果として、1千万円の税収増加があると見込まれるので、軽減税率の財源になるという話になります。

 しかし、このように軽減税率の財源を何で確保しようとしているのかを考えると、結果として、小規模な事業者や低所得者の負担増加で賄われるのだということに気づきます。軽減税率制度って、本当に意味があるものなのでしょうかね。スーパーで食料品を買うときには有難味を感じるのでしょうけれど、逆に言えば、目先の痛みを消しておいて、他で増税されて、ちゃんと計算したら負担の方が大きかったなどという話にならなければよいのだが、と考えた次第です。

 

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