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2018年6月21日 (木)

株主総会の実情

 3月決算企業の株主総会シーズンを迎えています。取締役を選任したり、会社で一番偉くて、会社の所有者が株主です・・・というのが教科書的な位置づけだと思います。したがって、会社の将来を見通すうえでの重要な情報を株主総会で社長から引き出したいと思う方も少なくないかと思います。
 
 ところが、そういう株主からの質問は、往々にして、サラリとかわされて、表面的な回答しかもらえなかったりすることが多い。それは何故か?というのを書いてみたいと思ったのが、本日のブログ。
 
 東京証券取引所の有価証券上場規程を見てみると、402条に「上場会社は、次の各号のいずれかに該当する場合(施行規則で定める基準に該当するものその他の投資者の投資判断に及ぼす影響が軽微なものと当取引所が認めるものを除く。)は、施行規則で定めるところにより、直ちにその内容を開示しなければならない。」といった定めがあります。その中を見てみると、「t 事業の全部又は一部の休止又は廃止」「w 新たな事業の開始(新商品の販売又は新たな役務の提供の企業化を含む。以下同じ。)」といった項目、「aa 代表取締役又は代表執行役(協同組織金融機関を代表すべき役員を含む。)の異動」といった、まずは会社の所有者に教えてよ!という項目が並んでおります。しかし、株主に優先して開示するのではなく、将来の株主(株を買うかもしれない人)や社債を保有している人などにも公平に知らせなければならないわけです。
 
 ということは、株主総会で「××の事業は、シェアも低く、撤退すべきじゃないんですか?」といった質問をしても、「鋭い質問をありがとうございます。実は、来月、撤退を公表しようと準備しておりました。」なんて返事は絶対に来ません。その瞬間、上場規則違反になってしまいますので。おそらくは、「当社の各事業の運営については、常に取締役会等で検討をしておりまして、ご質問の××事業についても、将来的にお知らせすべき何らかの意思決定がありました場合には、速やかに開示させていただきます。」といった何ら情報を含まないようなつまらないお返事が返ってくるのだと思います。
 
 そうすると、株主総会って、なんのために開くの?何を期待して出席するの?ということになります。上記のような説明からすると何も期待できないことになりそうです。しかし、私が思うには、株主総会の説明資料などで、どのようなポイントに力点を置いて説明がなされるか、それを説明する社長をはじめとする各取締役の生の声を聞けること、が大きいのではないかと思います。なんでもかんでも社長が説明する会社も問題でしょうし、具体的な質問はすべて担当取締役に答えさせる会社も問題でしょう。そのあたりの雰囲気から、会社のガバナンスの状況を窺い知ることができるかもしれない・・・というのが、大事なのではないかと。したがって、「円安になると、当社の各事業にはそれぞれどのような影響が生じますか?」とか「米国の関税障壁のような状況があるが、当社の事業には影響が及びますか?」といった事業内容の詳細を教えてもらうような質問が良いのかもしれません。といっても、これは、事業報告に対する質問であって、議案への質問ではないですね。取締役会出席率の悪い社外役員がいるようなら、そこは「お忙しいようですが、当社へのプライオリティが低いということでしょうか」って聞いてみるのはよいかもしれません。

 

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