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2018年3月12日 (月)

安さをアピールする値付けは値上げに弱い

 一昨日、3月8日のニュースだと思いましたが、GDP改定値が発表され、年率プラス1.6%に上方修正されたとのことです。仕事が忙しくなるのだから、求人が増えて、給与のアップにつながって、それがさらに消費を増やすという方向になると良いなぁと思いました。
 
 しかし、給与がアップになると、企業の人件費の負担が増えることにもなります。給与が増えたら、製品やサービスの価格を引き上げて、必要な利益を確保してくれれば、日銀が目指す安定的な2%の物価上昇が実現するということになります。しかし、今までのところ、物価が上がっていく気配はあまり強く感じることはありません。
 
 ふと、考えたのですが、日本は、100円ショップとか回転寿司の一皿100円とか価格の値上げへの障壁になる値付けが多いのかもしれないと思いました。また、吉野家の牛丼は、380円ですが、こうした大規模チェーン店が値段の改定をしたりすると、これが大きなニュースとして報道されたりします。先般、鳥貴族が値上げを発表したら、「お客さんが逃げるんじゃないか?」というくらいに大きく報道されていました。
 
 継続的に物価が上昇しているアメリカでは、飲食店も毎年のようにメニュー改定しているようです。企業の自由度が高くていいなぁという感じがします。100円ぽっきり・・・と言っても消費税を乗せれば108円だし、だんだん、支払い手段は、現金からSuicaやNanacoなどの電子マネーに移ってきています。「100円玉で済む」とか「千円札でお釣りがくる」といった支払いのタイミングで値段を感じる機会も減ってきているわけで、値上げという企業行動への過度な反応はしない方がよいのではないかと思ったりしました。
 
 などと、書くと、「それは、企業側に立った意見で、消費者のことを考えていない。」と言われそうな気がします。しかし、値上げがあった分だけ、給与や自営業者の売上が増えてくれれば、誰も損しないのですよね。むしろ、住宅ローンを抱えている人などは、得をするのです。物価が上がり、給与が上がっても、ローンの残高は物価に連動しませんので。

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2018年3月 1日 (木)

取引先を見直すに値する原価を把握しているか

 日経トップリーダーという経営者向けの雑誌がありますが、その2018/3月号の特集は、「取引先の見切り方~原価を見直し、効率よく稼ぐ~」というものです。商品や取引先ごとの原価を把握せず、どんぶり勘定で粗利を把握していてはいけない。商品により原価率が高いものがあったりすれば、その特定の商品を多く購入する取引先からは利益が上げられていないはず、したがって、そういう取引先を見切りたい。そのためにも製品原価、サービス原価をきちんと把握しないと・・・というコンセプトの特集です。

 私は、とても良い特集だと思いました。そもそも私自身、日本の中小企業は、原価計算を疎かにしていて、きちんとした、いや、大雑把でもよいから原価計算をするという発想がないのが欠点なのだと思っています。事業再生の際には、月次で業績を管理する必要があるため、再生企業の顧問税理士に「月末仕掛品残高を把握して、月次決算を出せるようにしてほしい。そして、月次キャッシュフロー計算書を作ってほしい」という依頼が来るそうです。そして、けっこうな数の税理士が、原価計算の指導まではできません、とか言い訳するため、そういう指導ができる税理士に交代するといったことがあるのだそうです。

 そんなことではいけないと思って、6年前に「ゼロからはじめる原価計算 個別原価計算編」「ゼロからはじめる原価計算 総合原価計算編」の2冊の本を書きました。ところが、これが見事に反響がない。相続手続の本を書いた時にもスキャナ保存の本を書いた時にも、業界誌から記事を書いてくれという依頼があったり、セミナー講師の依頼があったりしました。ところが、この原価計算は、まったくといってなかったです。

 実務においては、総合原価計算を適用する会社と個別原価計算を適用する会社は、違う業種です。ですから、多くの原価計算の本のように1冊の中で総合原価計算と個別原価計算の両方を解説していても、途中でこんがらがってしまいます。そこで、それぞれに絞り込んで2冊に書き分けたという工夫をしたのですが、反応がない。私が書いた中身が悪かったのか、原価計算へのニーズがなかったのか、皆さん、どちらだと思われますか? ちょっと居直ったように思えるかもしれませんが、原価計算のニーズがなかったのではないかと思います。株式公開準備に際しては、必ずといってよいほど、原価計算の導入支援という業務があります。逆に言えば、非上場企業に原価計算は普及していないということだと思います。しかし、経営管理の大事なツールですし、そもそも適正な損益計算のためにも必須です。そういうことが理解されていないのだなと思った次第。だから、日経トップリーダーの特集も「原価管理をしよう」ではなく、「取引先を見切ろう・・・そのために原価を把握しよう」というコンセプトなのだと思います。原価計算が必要な局面を提示して、そのために原価把握をしようよ、と提示しているのです。

 少子高齢化、人材採用難の中で、効率の良い事業活動をしようと思ったら、採算の良い取引先に絞り込む必要がある。そのために原価管理が必要なんだと特集にも書いてありました。

 

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