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2017年9月22日 (金)

監査という仕事

 「監査」というと、上場企業の監査を大規模な監査法人が実施するものという印象があるかもしれません。今朝の日経新聞でも監査法人の年間利益が数十億円といった規模であることが示されていました。しかし、監査といっても、金融商品取引法や会社法に基づく監査ばかりではなく、個人の公認会計士でも実施している監査がありますので、本日は、そのご紹介です。
 
 私の事務所では、現在、学校法人の監査、社会福祉法人の監査といういずれも制度監査と位置付けられる監査を受嘱しています。助成金や補助金をもらうそれぞれの法人には公益性が求められる中、適正な経営成績と財政状態を報告しているかどうかをチェックすることが学校法人法、社会福祉法で求められています。
 
 また、クラウド・ファンディングを取り扱う第二種金融商品取引業の会社の内部監査の仕事も受嘱しています。これは、小口投資家の資金を預かるうえで、ルールに則った業務を行っているかを内部監査することが求められており、こうした監査ができる人は多くないため、公認会計士である私が社外の人間ではありますが、内部監査をしています。
 
 こうした監査をするうえでは、きちんと監査をすることも必要ですが、監査を実施するうえでは、業務を実施するに足る品質管理がなされていることが求められており、一定の品質が確保されるよう、努力しているつもりです。こうした努力は、セキュリティ体制など、税務業務を進めるうえでも役に立つ側面があります。気を引き締めてやらないといけない監査ですが、こうした副次的効果もあるかと思って、続けている次第です。また、日本公認会計士協会のIT委員会というところに所属して、協会が公表する研究報告の作成に参加するといったことをしている以上、最低限、制度監査はしているべきだと思いますので、そうした観点からも、学校法人、社会福祉法人の監査などの監査業務は、私の事務所にとって、税務と並んで大事な仕事だと思っています。

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2017年9月16日 (土)

スキャナ保存で財布をすっきり

 電子帳簿保存法に関するカンファレンスの中で、コンカーという経費精算システムを販売する会社の三村真宗社長がこんなエピソードを話していたことがあります。

 三村氏がコンカーの米国本社を訪れた際に、多くの米国企業がそうであるように、コンカー本社では、ビルの1階にあるスターバックスで打ち合わせを行うのが慣例となっています。三村氏が訪れた日も、本社のエグゼクティブたちとスターバックスで打ち合わせ。打ち合わせを終えると、ひとりの社員がレジでまとめて支払いを済ませ、領収書を受け取っていました。この領収書をあとで経費精算システムに入力するんだろうと思っていたら、領収書を受け取ったその社員、スマートフォンで領収書の写真をパシャリと撮ると、その場で領収書をゴミ箱に捨ててしまったのだそうです。三村氏が驚いていると「今どき、紙の領収書で財布を膨らませているビジネスマンはいないよ」と言われたそうです。「日本ではまだ駄目なんだろ?」という憐みの目で見られたと言っておりました。

 この経験を経て、三村社長は、日本文書情報マネジメント協会など電子帳簿保存法に関する業界団体に加わって、規制緩和に向けての活動をすることになり、平成27年、28年のスキャナ保存の要件緩和、スマホ撮影保存の導入へとつながったという話です。

 ちなみに米国では、スマホで領収書の写真を撮ったら、直ちに領収書を捨ててもよいのだそうです。日本の場合には、いったん会社に提出して、チェック担当の部署が撮影画像と原紙のチェックをしてから、破棄という段取りになりますので、ご注意のほど。それでも、経費精算が楽になるし、それが領収書を財布の中に貯め込むようなことを減らすでしょうから、財布はすっきりするようになるのではないでしょうか、米国同様に。

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2017年9月 1日 (金)

スキャナ保存で企業体質の改革を

 先月、「スキャナ保存導入は、なぜ進まない」というブログを書きました。そこでは、経理マンが慎重すぎるのではないかという仮説を提示しましたが、一般にデジタルより紙の方が真正性の確保の程度が高いという誤解があるような気がします。電子保存のツールの1つである、タイムスタンプは、電子文書が存在していた日付とそれ以後の修正・訂正・改ざんがないことを保証する仕組みです。ということは、書類の作成などを絶対にバックデートできないという紙にはない真正性が確保されることになります。
 
 契約書の作成においては、双方の都合で4月3日になってから3月31日の日付で作成して、双方捺印をするといった場合がありますが、電子保存の場合だと、そういう操作ができません。4月3日にタイムスタンプを付けたら、4月3日以後は存在していたことは証明されますが、3月31日にはまだ作成されていなかったかもしれないということが明確になってしまいます。つまりバックデートの証拠が明確に残るのです。
 
 逆に言えば、融通が利かないということでもあります。しかし、融通が利くということは、それが会社全体の認識と取引相手の合意によるものであればまだ良いのですが、経営層の都合のために行われたり、経営陣の意図の外で営業部とかに不正をされる(押込み売上とか)リスクもあるわけです。つまり、書面の契約書は、融通が利く分だけ内部統制的には弱点を抱えているとも言えるのです。
 
 そういう風に考えると、電子保存を進めたくない背景には、経営の自由度が侵されると考える経営陣の発想があるのかもしれません。そのためにスキャナ保存の導入を躊躇い、自社の内部統制を脆弱のままに放置する。そういう会社でよいのか?というのは、あらためて考えるべき課題ではないでしょうか。東芝だって、経営陣の都合で「こんな利益じゃ公表できない! チャレンジしろ」などと命令して、利益を操作する「自由度」が会社の失敗につながったわけです。

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