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2017年5月 8日 (月)

行政改革って、増税より優れているのだろうか?

 高校・大学の無償化といった議論が出てきていて、小泉進次郎さんは、「子ども保険」なるものを提唱し、橋下さんは、行財政改革と相続税増税を提案したようです。少子高齢化もあり、高齢者向けの社会保障費がどんどん増え、それを少ない現役世代が払っていこうとすると、どうしても無理が出ます。かくして、国債発行で帳尻を合わせてきたけれども、財政赤字が無視できない金額になってしまった。かくして、国自体が成長しないと現役世代に負担してもらうのも厳しいから、成長のための国力アップの施策が必要で、それが高校・大学の無償化の議論なのかもしれません。また、高齢者ばかりに社会保障では、現役世代は、受益を感じることができず、結婚もせず、子どもも生まれないということに気づき始めたのかもしれません。

 しかし、新しい施策には、お金が必要。国民の懐に手を突っ込むか(増税)、厳しい行政改革をしないといけない。と言われると、行政改革の方が好ましいように思うじゃないですか。でも、行政改革だって、行政が無駄遣いで購入していた物品を納品していた会社の売上が消えることを意味するのであり、もらえていた補助金・助成金が無くなることを意味します。当事者にとっては、極めて大きな痛みを感じる改革です。

 つまり、行政改革を断行!ってのは、財源を広く国民に求めるのではなく、無駄遣いを見つけ、無駄遣いの商品やサービスを納品していた会社の売上を奪うことにより、特定の人たちにだけ痛みを集中することで、特定の人以外の国民全般からの人気を得る施策でもあるといえないでしょうか。もちろん無駄遣いの排除は重要ですが。

 私の仕事のかかわりで言えば、法人住民税の申告書用紙は、市町村ごとに紙質違うし、微妙に枠などが違いますが、記載内容は地方税法どおり。全国一律で印刷すれば安い!とか思ったりします。行政改革の一環で全国一律で印刷するとどれくらいコストが浮くでしょうね。でも、そうすると、各市町村の小さな印刷屋さんの大事な売上が消えちゃうんだろうなと思います。ということは、もし、そういう行政改革をするなら、市町村ごとの小さな印刷屋さんが倒産することも想定し、もし、倒産したら生活保護世帯が増え、銀行が貸倒損失を負担するかもしれず、そうしたセーフティネットの支出や法人税収の減少は、回りまわって国民が負担することになります。つまり、行政改革って、国民に痛みを与えない施策というよりは、国民のごく一部に大きな痛みを与え、多くの国民には見えない形でその痛みを付け回す手法ともいえるのではないかなと思った次第。

 行政改革って、聞こえはいいけど、特定の人たちに痛みが集中するから、そこからの反発は大きくて、たとえば、「2番じゃダメですか?」に対して、「スーパーコンピュータは世界一でないとダメなんです。」ってノーベル賞科学者まで動員して反対意見が陳述されたりするわけです。たいへんな摩擦の中で実行した挙句、結局、痛みを感じずらいだけで一般国民にも痛みが付け回されるんだったら効率の良い政策じゃないなぁと思ったわけです。もちろん、無駄遣いはいけないから、そうした吟味・検討はしないといけないんですけどね。要は、増税と行政改革は、両方とも同じような結果をもたらすけれども、国民が痛みを感じずらいかどうか?の違いにすぎないのではないかと。少なくとも経済学的には、財政支出を減らすことも増税も国民所得を減らしますので、たぶん、そうなんだと思う次第です。

 と書かれても何か納得できないという人、財政支出とその効果を区別するとよいと思います。ものすごい田舎に100億円で1日に50人しか使わないトンネルを作るのと築地に環状2号線のトンネルを100億円でトンネルを作るのでは、財政支出額とその国民所得への効果はとりあえず同じです。しかし、より多くの国民に喜ばれ、「投資の効率性」とか「より有益な使い方」という意味では、明らかに違いがあると思います。ですから、行財政改革は大事ですが、それで浮いた金額で国債や地方債を償還したりすると、国民所得にはマイナスです。不効率な使い方を効率的な使い方に組み替えていけば、経済学的には中立で、その効率性が何らかの形で将来に寄与するということだと思います。

 

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