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2016年10月12日 (水)

税負担の損得

 森信茂樹先生が日経の紙上で配偶者控除の見直しについて解説論考を書かれていて、それのタイトルが「税負担の損得論を越えよ」とあって、単純に「カッコいいなあ」と思いました。
 というのは、税制の検討で個人や法人の直接的な負担軽減だけを考えていたら、減税以外の改正はあり得ません。法人税ゼロ、消費税ゼロ、所得税ゼロ、固定資産税ゼロで国民が幸せになりますか?ということを考えて、みんなでどう負担しようかという議論以外あり得ないうけです。
 自分の可処分所得を削って、つまり直接的利益を削って、国家という自らが帰属するコミュニティの安定や困っている人への扶助(将来、自分も扶助されるかもしれないし、子供時代は教育や予防注射など扶助されてきたし)といった間接的利益にお金を供出するのが税金です。理念としては間接的利益はわかっても、普通は、増税は「損」と考えるかと思います。生活評論家なんかも「配偶者控除がなくなると生活者の負担はこうなる」みたいな話をしますよね。
 でも、それじゃ、直接的利益に偏重し、間接的利益との妥協点を見出す税制の議論にはなりません。だからこそ、「税負担の損得論を越えよ」という見出しなんだと思ったわけです。この発想を全体主義と捉える人を見かけたのは意外でした。国家や地方公共団体の財政がきちんと回るから、必要な福祉など社会保障も維持できる。つまり間接的利益は、国民の利益であって、「国家なるもの」の利益ではないし、国家や地方公共団体は一人一人の国民と切り離された敵対者ではないわけです。我々が所属するコミュニティの中の一番大きいものという位置づけと考えたいわけです。ま、PTAでも町会でも隣近所の付き合いというコミュニティでも敵対関係を認識する場合もないわけではないのが一般の感覚かもしれませんが。
 というコミュニティとの距離感って、福祉のありがたさを国民が実感している北欧諸国などと、かつて戦争に駆り出されて国家に不信感がある日本との違いかもしれません。ま、そういう大きな話はさておいて、税制は、直接的利益と間接的利益の折り合いという観点で考えたいなと思った次第です。

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