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2016年4月 4日 (月)

ウェッジウッドと原価計算

 ジェイコブ・ソール著「帳簿の世界史」(文藝春秋)という本を読んでいる。その中で,興味深かったのが,次の記述。

 「とりわけ事業家が頭を悩ませたのは,注文をいくらで引き受け製品をいくらで売るか,利益を増やすためにどうやって生産コストを抑制するか,あるいはどうやって生産性を高めるか,といった問題である。ウェッジウッドも例外ではなかった。こうして,より正確な原価計算の取り組みが始まる。」(P.208)

 あの高級食器で有名なウェッジウッドも産業革命の初期,工業化を進める中で原価計算の重要性に気づいていたのですね。ちょっと驚きです。ちなみに久々の世界史で,フランスの重農主義という言葉もこの本には載っていたのですが,フランスは,農業国で産業革命とは異なる経済圏だったようで,原価計算以前に会計自体,そして国家の財政の計算も十分ではなく,それが財政危機を招き,ルイ16世の断頭台を招いたという話も紹介されていました。会計が国を左右するのですね。

 その後,「やがてウェッジウッドは会計を習得し,一般管理費,販売費,金利といったものも正確に計算できるようになった。そして,費用を職工・倉庫係・会計係の賃金から偶発事故,賃借料,損耗(おそらく減価償却?,引用者注),臨時費など十四項目に変え,項目別に違う色で記入・集計する方法を考案して,・・・」(P.213)と進歩していき,「会計が機能するためには,こまめに集計し,監査することが必要だった。こうしてウェッジウッドは厳密な原価計算に基づいて生産コストを管理し,適切な価格設定ができるように」なり(P.214),「1700年代後半にヨーロッパで物価が下落基調になり多くの消費財が影響を被った時も,ウェッジウッドは製造原価の切り詰めにより戦略的な価格設定を行い,生産を拡大して国際市場でのシェアを伸ばした」のだそうです(P.215)。

 これだったんです,私が原価計算の本を書いた理由は。
「ゼロからはじめる原価計算 個別原価計算編」
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4502459801/sakumakaikei-22

「ゼロからはじめる原価計算 総合原価計算編」
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4502459704/sakumakaikei-22
 この本がしっかり売れれば,原価計算を規模相応にでも実施する中小企業が増えて,中小企業の決算ももう少し精緻なものになり,また,経営管理が行われるようになるんじゃないかと思うのです。

 ということで,最後は営業モードになりましたが,会計というものが会社や国家の帰趨に影響を与えるものだということが書かれている「帳簿の世界史」という本。会計を仕事としている者にとって勇気を与えてくれる本です。

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