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2015年4月25日 (土)

輸出免税で輸出企業は儲かる?

 統一地方選挙のシーズンです。昨日,街中で「大企業と富裕層にだけ有利な消費税の増税は,やめよう」というプラカードを持っている候補者の集団がいました。大企業というのは,輸出免税のことを言っているのだと思いました。輸出免税とは,消費税の制度で,海外へ輸出する商品やサービスには消費税をかけないという仕組みで,その結果,輸出が多い企業は売上に伴って預かる消費税が少なく,そして材料費などの仕入れ時に支払う消費税は,輸出品の分も含めて払っていますから,こちらは多い。そのため,消費税の申告をすると,輸出企業の場合,還付になることもあります。つまり,消費税が値上がりするとその分だけ還付額が増えるので,大企業優遇だというのです。

 しかし,これは,間違いです。消費税だけでなく,ヨーロッパやオーストラリア,カナダなど付加価値税,GSTと呼ばれる付加価値税は全般に輸出免税の制度を採っています。そして,輸入時には,税関で輸入消費税をかけています。なぜなら,付加価値税は,消費の場で課税するという制度だからです。輸出は,日本で消費されないので日本では課税せず,輸出先で課税するわけです。だから,輸出に関わる仕入れの税額は控除するのです。そうでないと輸出企業は,仕入れの消費税を最終消費者に負担してもらえないわけですから。

 もし,大企業優遇はけしからん,輸出も課税しろとなったらどうなるか,世界中の国にそういう風に直してもらわないといけないです。だって,日本から輸出するときだけ8%の消費税が上乗せされていて,韓国からの輸出品は免税で輸出されていたらトヨタは割高になり,ヒュンダイの方が割安だからそっちを買おうという話になるでしょう。

 もしも,世界中の付加価値税から輸出免税がなくなったらどうなるか。スウェーデンから輸入してくるイケアの家具とかデンマークのレゴは,25%の現地の消費税が乗せられた価格になるわけですね。日本でイケアの家具を買って,25%増しの値段を払う。ということは,日本人が日本で家具を買って,スウェーデンに納税することになるわけです。フランスのブランド品,シャンパン・ワインも19.6%の消費税。だけど,フランス製トリュフ,フォアグラは,軽減税率で5.5%で済むわけですが,いずれにせよ,海外に実質的な納税をしながら,消費をするということになってしまいます。そういう税制を昨日の政党の方々は考えていらっしゃるのでしょうか? 皆さんも,一見体裁のよい主張に騙されないようにしてください。

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2015年4月 3日 (金)

養育費税という発想

 川崎の河原での中学生殺人事件の背景には、母子家庭という問題がありました。今、データによると日本の子供の約8~12%は母子世帯で育っているとのこと( 阿部彩、東洋経済2015.4.4、9ページ)。そして、母子世帯の貧困率が50%を超えているのだそうです。
 なんでこうなるのかといえば、母子世帯だから十分に働けないというのもあるんでしょうけれど、父親からの養育費が十分に受け取れていないからなのだそうです。なんと、2割しか養育費を払っていないそうな。中には、DV夫から逃れてきたため、養育費の交渉自体できない場合も少なくないと思われます。それであれば、子どもを持っていて離婚(ないし別居)した夫で、養育費の支払いの証明ができない人に月額3~5万円とかの税金をかけて、これを世帯所得が低く、かつ養育費をもらえていない母子世帯に給付金として配るというのはどうだろう・・・と思ったりしました。
 母子家庭になったら、生活保護を受ければいいんだよ、という人もいます。しかし、先日、ネット上の東京新聞で見かけた記事では、生活保護を受けている父に高校の修学旅行代を出してほしいと言い出せない娘がアルバイトをして、そのお金で修学旅行に行き、大学の受験料に充てたという麗しい話に対して、川崎市の生活保護担当は、娘のアルバイト収入分だけ生活保護費を返還しろという処分をしたらしい。これが不正受給ですか? こんなことをやっていたら、生活保護を受給している人とその家族は、働く意欲を失います。
 ちなみにこの事件、父親が娘のアルバイトのことをきちんと市に申告していれば控除も適用されるほか、修学旅行費やクラブ活動費に充てることができるのだそうですが、ケースワーカーの説明不足だったと判決は認めたようです。しかし、事後的に判明した場合だって、このケースなら不正受給だという処分をすることはないのではないかと。すなわち、生活保護の制度におかしな硬直性があるのだと思いました。
 であれば、税の登場かな?と思った次第。子供を持っていながら、その養育をしていない父親には担税力があると思いませんか? 離婚後、他の女性と結婚して、子どもができてしまっているとそちらの養育義務で担税力がなくなるともいえるのですが。まあ、ジャストアイデアの範疇であり、現実的な運用は難しそうなので、税制には乗せようがないだろうとは思うのですが、生活保護以外の福祉の方策の拡充があってもよいのかなと思った次第です。

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2015年4月 1日 (水)

渋谷区の同性婚に制度について

 同性カップルを結婚に相当する関係と認め、「パートナー」として証明書を発行する東京都渋谷区の条例が31日の区議会本会議で、賛成多数で可決、成立した。4月1日施行。同様の条例は全国に例がなく、性的少数者の権利を保障する動きとして注目されている(日本経済新聞)という話が世間では話題になっています。

 この記事の中でもパートナーシップ証明書を発行することで、不動産業者や病院に対して、証明書を持つ同性カップルを夫婦と同様に扱ってくれという話、あるいは家族向け区営住宅にも入居できるようにするよという話に過ぎないということが書かれています。つまり、「同性婚」ではなく、「家族証明」みたいなものですね。あ、携帯電話の家族割が適用になるかな?みたいな。

 なので、婚姻制度に関わる大仰な話ではないような気がしますが、「家族制度、婚姻制度が破壊される」とか反対する人もいらっしゃるようです。ただ、実務的な利便性としては、これはうまいアイデアだと思いました。同性カップルがいて、片方が盲腸になって手術をしなければならない。「家族の同意書をお願いします」と言われて、同居している相方では同意書に捺印ができないわけです、従来の流れでは。万一のことがあった時に家族として悲しむような立場の人が手術に同意すればいいんだよね、なので区役所がそれを認定してあげるよ・・・というだけの話なんでしょう。

 で、税理士としては、ちょっと考える。所得税の申告において、配偶者控除は取れるのでありましょうか? これはダメなのでしょうね。辞書的には、「法律的には、配偶者たる身分は婚姻によって取得し、婚姻の解消によって失う。」(国語大辞典(新装版)小学館 1988)みたいに書いてあるので、配偶者ではない。では、扶養控除はどうか。所得税法の中では、扶養親族とは、「扶養親族 居住者の親族(その居住者の配偶者を除く。) 並びに児童福祉法第27条第1項第3号 (都道府県の採るべき措置) の規定により同法第6条の4第1項に規定する里親に委託された児童及び老人福祉法第11条第1項第3号 (市町村の採るべき措置) の規定により同号 に規定する養護受託者に委託された老人でその居住者と生計を1にするもの(第57条第1項に規定する青色事業専従者に該当するもので同項に規定する給与の支払を受けるもの及び同条第3項に規定する事業専従者に該当するものを除く。) のうち、合計所得金額が38万円以下である者をいう。」と書いてあって、今回の渋谷区の条例は、上記には当てはまらないので、ダメなのだと思います。ただ、同性カップルの片方がボケてきて、市町村からもう一方の人が養護受託者として任命されれば、大丈夫なのかな?などと考えたりします。

 というようにいろいろな制度でこの同性婚を考えていくと、いろいろ考えさせられることが出てくるのではないでしょうか。同性婚とシェアハウスの違いは何か?とか、結婚に相当する関係というのはなんなのだ?ということですね。婚姻関係でも心が離れている夫婦もあれば、内縁関係とか事実婚のような家族もある。そこに同性婚という新しい概念が加わるということになると、さらに難しくなるのだろうなぁと。

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