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2013年8月 3日 (土)

ソーシャルビジネスで働くということ

 この「働く」は従業員の側の話です。NPO法人などの認証を受ける際には、常設の事務局があって、そこに専従の事務局員がいて給与が支払われていることが要件に入っていると思います。ところが、NPO法人を立ち上げようとする側からすれば、余分や家賃は払いたくないし、法人格を取る前から専従の事務局員がいるほど組織がしっかりしていたら、苦労はしません。で、あれこれ工夫しながら法人格を取るのが実態なのかなと。

 で、そうすると、他の仕事で生活できていたり、結婚しているから旦那の給与で暮らせる奥様がNPOの理念に協賛して、事務局員やっていることにします・・・みたいな工夫でNPO法人が動き出したりします。これはこれで、生活の知恵みたいなもので、悪くはないかなと思います。一般の営利目的の株式会社だって、社長やその家族の無給無休の活躍で一定の形ができるまではやっていくわけですから、NPOは、その社長に近い気持ちを持ったスタッフがたくさんいるのは悪いことではないでしょう。

 しかし、ずっとそれでよいのか?ということが今回の問題意識です。NPOにしろ会社形態でのソーシャルビジネスであろうと、その組織があることで、救われる何かやより良くなる何かがある。同時にその組織自体がきちんと動いているならば、労働力が必要です。すなわち、ソーシャルビジネスの活動のプロセスで雇用を創出することになります。そのためには、労働を生活費を得るための手段として提供する従業員がソーシャルビジネスには不可欠なんだと思います。いつまでも「いいですよ、協力できる範囲で、お手伝いしているんですから、お給料なんて」という人たちばかりでは、そういう人たちとの出会いの縁に組織の成長が制約されます。

 逆に言えば、活動に見合った給与を払えるだけの収益を確保する必要があるということです。極端なことを言えば、給与をもらっている従業員の側は、自分の労働が社会を変えているかどうかに関心などなくてもよい。たまたまハローワークで仕事を探した時に自分の求める職種(経理とか営業とか)の求人先がソーシャルビジネスの会社だったに過ぎないみたいな思い入れのない従業員がいるくらいの方が成功したソーシャルビジネスといえるんじゃないかな?なんて逆説的かもしれませんが、思ったりしました。

 「ソーシャルビジネスにそんな人がいていいの?」と思う人がいるかもしれません。でも、一般の株式会社には、そういう従業員がいます。しかし、すばらしい理念で活躍している企業もたくさんあります。田坂広志さんが「日本の企業は、欧米のような収奪型のビジネスではなく、三方よしの理念を持った組織です」と言われていました。たとえば、武田製薬のビジョンは、「優れた医薬品の創出を通じて人々の健康と医療の未来に貢献する」とか書いてありますが、たしかにこれって社会貢献です。でも、武田製薬の従業員が「人々の健康と医療の未来に貢献できるなら、会社の苦しい時には給料なんかいらないです」言うことはあり得ない。

 ソーシャルビジネスを立ち上げた人の第一目標は、「理念のない従業員を雇えること」なのかな?などと思ってしまったのでありました。

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