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2013年8月27日 (火)

3号被保険者の制度はこのままでよいか

 「国民年金の3号被保険者」ってご存じでしょうか。これは、会社員や公務員など国民年金の第2号被保険者(夫など)に扶養される配偶者が対象で、国民年金保険料を納付することなく、老後は、基礎年金が受給できるという制度です。

 一般に主婦(3号被保険者)は、社会保険に入りたがりません。なぜなら、今でも夫の健康保険の被保険者になっていて、年金も3号被保険者なので、なにも払わずに将来の年金が保障されています。なのに、パートやアルバイトで月額10万円ちょっと稼いだら、2万円近い社会保険の天引きをされ、夫の給与から扶養手当が削られるわけです。百数十万円稼いでも、社会保険で20万円以上、夫の給与の減少が12万円ないし24万円で、かつ38万円の配偶者控除が消えることで所得税・住民税が7万円くらいは増えるなんていったら、誰が仕事しようと思うでしょう。これらの控除後で時給計算したら500円?みたいな世界です。

 女性にもっと社会で活躍してもらおうということなら、この障壁をなくさないといけないような気がします。以前、ある飲食店で、パート従業員が「私はどうして社会保険に加入できていないのか?」と訴え、社会保険事務所だか労働組合に駆け込むか何かして、その飲食店はパート従業員全員を社会保険に加入させざるを得ない状況に追い込まれました。ところが、その結果、訴えた従業員以外の他のパートは全員「社会保険に加入させられるなら、そのお店では働きません」と退職してしまったという話があります。

 こんなことが起きる原因は、3号被保険者にあるような気がします。国民年金の1,2号被保険者の保険料を下げつつ、3号被保険者の保険料を毎年1万円くらいから徐々に増やして、1~3号被保険者の保険料を均一にするのが1つの対処ではないでしょうか。そして、厚生労働省が企業に働きかけて、給与制度の中から、配偶者手当を無くすようにして、その分、子どもがいる場合の扶養手当を増額するようにしてもらう。

 これくらいのことをしないと、女性の労働力を引き出すことはできないのではないかと思うのです。もちろん、こうなると、雇用する企業の方でも、必ず社会保険に加入しないといけないわけですが、これは、もう、社会の趨勢ということで、その分は製品やサービスの値上げで対処しかないのでしょう。アベノミクスの2%の物価上昇って、そういうことも可能にするマジックであることを期待したいです。

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2013年8月23日 (金)

「公」という概念について

神野直彦著「税金 常識のウソ」という本を読んでいます。

 その中で、印象的だったのが、日本には「公」(パブリック)という思想がないということ。「公園」という言葉にあるように「誰でも使える園庭」だから「公園」です。中国語でも「公用電話」と言えば、誰でも使える公衆電話なのだそうです。しかし、日本語で「公用車」と言えば、官僚が使用する車の意味になります。つまり「お上」が「公」で「庶民」が「民」という意味に捉えられているのが、日本。しかし、海外では、公租というのは、マンションの管理費(マンションというコミュニティの維持費)と同じように公というコミュニティ、すなわちパブリックへの拠出金という意味合いがあるようです。だから、そういう認識がない日本の方が租税に対する抵抗が強いのだと書かれています。(P.85~87を私が勝手に要約)。

 「新しい公共」とか「公助・共助・自助」みたいな発想の部分って、実は、日本の「公=官」の誤ったイメージを前提に作られていないかな?なんて思ったもので、少し考えちゃいました。

 ま、神野先生は、「共同社会の管理費としての租税」と書きつつも、租税には、強制性、無償性、収入性の3つの要件があると書いているから、やはり何かの利益を期待して自発的に拠出するものとは違うからマンションの管理費とは性質が違うのでしょうけれど、国という規模でのコミュニティというか助け合いみたいなイメージがある「公」という概念は大事だなと思った次第です。

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2013年8月13日 (火)

心遣い

 うちの事務所に毎週火曜日に来て、1時間半ほどのお掃除をする人を頼んでいます。おかげで、事務所のスタッフは、トイレ清掃とかしないで済むわけです。で、その掃除のおばさま、先週の火曜日は夏休みということで、清掃は1週空いたのですが、今朝、「先週はお休みをいただきまして。これ、少しですが、旅行のお土産です。」ってお土産をいただいちゃいました。

 時給でいくらもらっているんだろうか。お土産持ってきたら、うち1回分の給与の半分がなくなっちゃうんじゃないだろうか。恐縮しちゃいます。でも、こんなブログ書いているくらいだから、この方が担当している限り、このお掃除会社との契約を切ることはないと思います。

 もしかして、休暇を取る人に「お土産手当」なんて支給している会社だったらすごいけど、まさかね。60歳はとうに過ぎている、いや70歳前後の人だから持っている日本的な良さなのかな?と思ったりしますが、「損して得取れ」とか「情けは人のためならず」ってこういうことかなと思ったりします。

 ご本人には、私からもお礼を言いましたが、こういう方を雇っている会社の名前を、ここで出しておくことにしましょう。株式会社ベアーズさん。たぶん、御社が素晴らしいのではなく、このおばさまがすばらしいのだと思いますが、そういう人を雇用できている縁を持っていることを称賛してあげようかと。念のために添えておきますが、うちの顧問先ではありません(笑)。

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2013年8月 3日 (土)

ソーシャルビジネスで働くということ

 この「働く」は従業員の側の話です。NPO法人などの認証を受ける際には、常設の事務局があって、そこに専従の事務局員がいて給与が支払われていることが要件に入っていると思います。ところが、NPO法人を立ち上げようとする側からすれば、余分や家賃は払いたくないし、法人格を取る前から専従の事務局員がいるほど組織がしっかりしていたら、苦労はしません。で、あれこれ工夫しながら法人格を取るのが実態なのかなと。

 で、そうすると、他の仕事で生活できていたり、結婚しているから旦那の給与で暮らせる奥様がNPOの理念に協賛して、事務局員やっていることにします・・・みたいな工夫でNPO法人が動き出したりします。これはこれで、生活の知恵みたいなもので、悪くはないかなと思います。一般の営利目的の株式会社だって、社長やその家族の無給無休の活躍で一定の形ができるまではやっていくわけですから、NPOは、その社長に近い気持ちを持ったスタッフがたくさんいるのは悪いことではないでしょう。

 しかし、ずっとそれでよいのか?ということが今回の問題意識です。NPOにしろ会社形態でのソーシャルビジネスであろうと、その組織があることで、救われる何かやより良くなる何かがある。同時にその組織自体がきちんと動いているならば、労働力が必要です。すなわち、ソーシャルビジネスの活動のプロセスで雇用を創出することになります。そのためには、労働を生活費を得るための手段として提供する従業員がソーシャルビジネスには不可欠なんだと思います。いつまでも「いいですよ、協力できる範囲で、お手伝いしているんですから、お給料なんて」という人たちばかりでは、そういう人たちとの出会いの縁に組織の成長が制約されます。

 逆に言えば、活動に見合った給与を払えるだけの収益を確保する必要があるということです。極端なことを言えば、給与をもらっている従業員の側は、自分の労働が社会を変えているかどうかに関心などなくてもよい。たまたまハローワークで仕事を探した時に自分の求める職種(経理とか営業とか)の求人先がソーシャルビジネスの会社だったに過ぎないみたいな思い入れのない従業員がいるくらいの方が成功したソーシャルビジネスといえるんじゃないかな?なんて逆説的かもしれませんが、思ったりしました。

 「ソーシャルビジネスにそんな人がいていいの?」と思う人がいるかもしれません。でも、一般の株式会社には、そういう従業員がいます。しかし、すばらしい理念で活躍している企業もたくさんあります。田坂広志さんが「日本の企業は、欧米のような収奪型のビジネスではなく、三方よしの理念を持った組織です」と言われていました。たとえば、武田製薬のビジョンは、「優れた医薬品の創出を通じて人々の健康と医療の未来に貢献する」とか書いてありますが、たしかにこれって社会貢献です。でも、武田製薬の従業員が「人々の健康と医療の未来に貢献できるなら、会社の苦しい時には給料なんかいらないです」言うことはあり得ない。

 ソーシャルビジネスを立ち上げた人の第一目標は、「理念のない従業員を雇えること」なのかな?などと思ってしまったのでありました。

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