« 社長の報酬はいくらにすべきか | トップページ | 藤井聡 著「維新・改革の正体」(産経新聞出版) »

2013年1月 8日 (火)

消費税の軽減税率について

 1月6日の日本経済新聞朝刊の2面に公明党が消費税の増税に関して軽減税率を求める方針だという記事が出ています。それによれば、8%になる2014年の段階で、一部の食料品や新聞に限定して導入し、15年10月の10%になる時点で拡大するというものです。「軽減税率の対象品目を8%段階ではコメや味噌、野菜など一部の食料品や日刊紙に絞る案を示す」とされています。
 
 一部の食料品に絞れば簡単なのでしょうか? 一般にはインボイスを導入しないと複数の税率は対応できないと言われており、ヨーロッパでも入っているのに、それなしに導入できるのでしょうか。コメとは何か。おそらくコシヒカリやササニシキは軽減税率でしょう。では、餅や煎餅は軽減税率でしょうか。米粉パンはどうなりますか。日本酒は生活必需品でしょうか? 日本酒は、嗜好品だけど「みりん」はどうでしょう?「蒸したもち米に米麹を混ぜ、焼酎または醸造用アルコールを加えて・・・」作るんですよね、みりんって。
 
 さらにコメの農家は、耕運機や脱穀機を買う際に10%の消費税を払うのにコメの代金には8%しか乗せてもらえないので、農家が免税業者だった場合、利益が減ってしまいます。じゃ、米農家が買う農業機械だけは8%の軽減税率にして、普通の野菜農家は10%にしますか?・・・などなど、消費税の影響は多段階に及ぶので、実に難しい。そんな難しい制度をあと1年3か月後の8%時点で導入しようというのでしょうか。政権政党としてあまりに無責任だと思います。
 
 さらに、なぜ日刊紙も軽減税率なのでしょうか。本来、年間所得1000万円以上の人が日本経済新聞や業界の新聞を読んでいても、それは必需品ではあっても消費税アップで困る人たちではない。年間所得が低い人たちは、とっくの昔に新聞の購読は止めているのではないでしょうか? そんなことを考えると、公明党のバックに創価学会があり、そこの新聞が聖教新聞だから?などと勘繰ったりしてしまいます。別に創価学会を批判する気もないし、聖教新聞も結構ですが、それを公明党が言い出したら、政教分離とかそういった観点から不安になります。政権政党はそういうことを自ら言い出してはいけないです。
 
 食料品の軽減税率と言っても、安いコメを買う人もいれば、魚沼産コシヒカリを倍の値段で買う人もいる。100g200円の合挽き肉を買う人もいれば、100g1000円のフィレ肉を買う人もいる。軽減税率を適用するということは、ぜいたくな食品を購入する人にまで軽減の恩典を与えるという意味では、バラマキ税制なのです。そして、これをすることで何兆円もの税収が減るから、本則税率をもっと高くしなければならなくなる。まさに麻薬のような逆進性対応策が軽減税率だと思います。だから、ヨーロッパ諸国の財政学者や税制専門家は、軽減税率を入れるべきではなかったと反省しているのが、現状です。そして、単一税率で非課税品目も極力限定した形でスタートしたニュージーランドやカナダのGSTと呼ばれる付加価値税が理想だと言われているのです。日本もこれに近づいた方が良いと思う次第。
 
 今、0%の軽減税率を適用されているともいえる医師会(医療費は非課税ですから)は、医療費を課税品目にしてくれ、あるいは非課税ではなく0税率にしてくれと要望しています。なぜなら、収入は消費税無し、支出は消費税ありで、そのしわ寄せに耐えられないからです。軽減税率を導入するということは、この医師会が感じている矛盾点をあらゆる業界にばらまくということでもあります。
 
 みなさんもよく考えてほしいと思います。

|

« 社長の報酬はいくらにすべきか | トップページ | 藤井聡 著「維新・改革の正体」(産経新聞出版) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/181294/56497267

この記事へのトラックバック一覧です: 消費税の軽減税率について:

« 社長の報酬はいくらにすべきか | トップページ | 藤井聡 著「維新・改革の正体」(産経新聞出版) »