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2012年11月20日 (火)

労働市場への素朴な疑問

 日本の賃金市場は歪んでいるような気がします。一流企業の初任給って、いくらくらいでしょうか。大卒で20万円ちょっと? でも、中小企業では、そこまでいかないことが多いでしょう。一流企業のほうが一生安泰で、かつ、給与が高くて、さらに社宅その他福利厚生が充実していたら、みんな一流企業に入りたいと思います。なんか変じゃないですか?

 みんなが就職したいという希望が多ければ、給与を下げても人が集まるはず。だから、イメージ形成のため、あえて社名を出しますが、日立製作所だったら、初任給12万円でも入社したいという人が集まりそうな気が。で、そこより規模が落ちるけど上場している岩崎通信機なら14万円くらい、で、中小企業は、18万円出さないと来てくれないかなぁ・・・というのであれば、社会のインフラを作りたいという理想に燃えた人が「最初は12万円の月給でも将来的には中小企業よりずっともらえるようになるだろう」と考えて、入社するかもしれません。そして、日立に入るほど優秀じゃないけど、安定した会社に入りたい人が14万円の初任給で我慢する。そして、いや、生活が大事なので将来はともかく今すぐに月給18万円がほしいという人が中堅企業に入社する。優秀な人でなくてもよいけど人を募集している中小企業は12万円かもしれませんが。そうなると、3か月で仕事が打ち切られるかもしれない派遣業の会社は、月給20万円くらい出さないと登録者が集まらず、中堅企業へ行ってしまうような気がします。しかし、そしたら企業への派遣料は20万円を明らかに超えることになります。そうなると、日立製作所は派遣会社に依頼するより、自分で14万円で雇用しちゃえばいいやという判断になりそうな気がします。もし、能力が伸びなかったら、昇給しなければいいのですから、終身雇用が半ば義務付けられているとはいえ企業への負担はそれほど大きくないような気がします。これで非正規雇用の問題は解決です。

 おそらく大企業の給与が高いのは、優秀な人材が採れないと困るからです。でも、それは、中小企業に行っちゃうのが困るからではなく、例えば日立なら、優秀な人材がソニーやパナソニックに行かれたら困るから、あるいは業種を超えて、新日鉄や三井化学に行かれると困るからということではないでしょうか。カルテルや談合はよくないことではありますが、優良企業が一斉に最低賃金レベルまで初任給を引き下げたら、上記の不安は杞憂に過ぎなくなります。

 なぜ、そういう労働市場になっていないのか?と言えば、おそらく労働組合が待遇改善を要求し、その要求にこたえられる大企業だけが給与水準を引き上げていったからだと思います。こういう市場の歪みを改善すれば、日本はよくなるような気がします。そんなラジカルな・・・と思われるかもしれませんが、例えば、あなたの息子さんが初任給12万円の三菱商事の内定と従業員数8名の零細会計事務所の初任給18万円の内定を取ってきたら、どちらへの就職を親として勧めますか? ね、優秀な人材は、給与を下げても大企業に集まるんだと思うのですよ。

 と書いたところで、大きな問題が。もし、日立が給与を12万円にしたら、優秀な新卒者は、アメリカでアップルや台湾の鴻海精密工業に行ってしまうのかもしれません。となると、上記のような話は、あまりにドメスティックに過ぎるのかな?と。海外の労働市場って、どうなっているのでしょうね。

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