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2012年11月11日 (日)

ベリファイ

 「ベリファイ」という言葉は、ご存知でしょうか? ITの世界では、複製したり、書き込んだりしたデータが元のデータと違っていないかどうかを検証するような行為をさします。しかし、経理の世界では、伝票から会計ソフトに入力した後で、入力ミスがないかどうかを確かめる行為をさします。うちの事務所で使っている会計ソフトでは、Aさんが入力した後で、Bさんが日付、借方コード、貸方コード、金額だけを入力するとシステム的に入力済みの元データとチェックして、違っていた時に知らせるという機能があり、これをベリファイと言っています。

 経理の作業としては、ベリファイをしなくても、勘定明細などを作成することで、異常点が出てくれば、結果として入力誤りに気付いて、訂正することも可能です。しかし、実際に入力しているスタッフに聞いてみると、入れた科目と金額に誤りがないことが先に確認できていると安心だし、結果として仕事が早いと言います。私自身は、大量の入力処理はしないので、そんなもんかなぁ?くらい思っていました。

 しかし、2~3か月前の日経Top Leader誌で堀場雅夫さんが書かれていたのだと思うのですが、堀場製作所では、伝票は、3人の経理職員に並行的に入力させて、違いがないかを確かめていると書かれていました。昔、経理作業が遅いので原因を調べたら、おかしな結果が出たときにどのデータを入力誤りしたのかを探すのに時間がかかっていたのだそうです。「そんなに入力ミスするものか?」と思って、堀場さん自身がやってみたら、やはりミスが出る。これはミスが出るものだと決めたうえで、対処を考えたのが、3人での並行入力なのでしょう。3人のうち、2人があっていれば、そちらが正しいとわかるわけですから。

 ベリファイというのは、人間の不完全性を前提とした優れた事務方法だと言えるわけです。ところが、ベリファイ機能は、一般に普及している会計ソフトにはありません。プロが使う税理士事務所のソフトには、必須なんだろうと思いますが、必ずしもすべてのソフトに用意されている機能ではないかもしれません。ITのプログラムのように基本的には誤動作がないはずの世界でもベリファイがあるのに、どうして人間の作業の結果にベリファイをしないのか、不思議でもありますね。

 ちなみに最近は、出納帳や証憑類から直接に会計への入力をする場合が増えています。この場合、「これが入力原票」といえる原票が不明確になるため、ベリファイはやりにくい、もしくは不可能です。「ミスの検証時間及び成果物の精度」と「伝票起票に要する時間及びベリファイの時間」を比較して、作業方法を選択していかないといけないのでしょうね。

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