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2012年10月 9日 (火)

株式会社の社会保険への加入

 従来、中小企業の中には、雇用する従業員が社会保険に加入することを望まないため、社長など役員も含めて、社会保険に加入していない事例がしばしば見られました。こんな状況において、どこかで社会保険の強制加入が行われるのではないか?という危惧をこのブログでも書いてきましたが、いよいよその第一歩が始まりそうです。ちなみに「危惧」というのは誤解を招きそうですが、社会保険に加入すると給与の3割近い保険料を払わなければいけなくなり、会社の損益構造が変わります。そして、それを元請けに対して請求できない場合、会社は黒字を出すことが困難になってしまうという危惧です。また、そうなると、「社会保険に入るから、会社負担分だけ給与を引き下げさせてもらうよ」みたいな対応も取らざるを得ないのかもしれません。
 
 今朝(10月9日)の日経によれば、11月に建設業の許可・更新時や抜き打ち検査で保険加入状況を確認する制度を導入するとのこと。国交省の調査によると、建設労働者の2割が雇用保険、4割が社会保険に加入していないそうです。そして、発注主からの価格引き下げ圧力に応じるために、下請け業者の間では、社会保険料を削る傾向が強まっていると書かれています。まさに、その通り。
 
 だから、加入を強制するのは良いけれども、発注主が社会保険料分だけ見積もりを甘くして発注してくれないといけないわけです。そこで、記事によれば、「元請けのゼネコンに対する指導も強化する。下請けや孫請け企業の加入状況を確認し、発注額の見積もり段階から社会保険料を必要経費として盛り込むよう求める」とのこと。盛り込んだ見積書から減額査定されたらどうするんでしょうね。公正取引委員会が動いてくれるんでしょうか。今まで100で見積もり、「80にしてよ。そしたら発注するからね。」と言われていたものが、社会保険料込みの120で見積もり、「80にしてよ。そしたら発注するからね。」と言われたのなら、何も変わりません。もし、見積書から2割以上引き下げる処理をしたら、優越的地位の濫用だとすると公取が宣言すれば、事前に「稼働時間はこれくらいで押さえてね。見積もりは社保込みで100くらいで出るはずだよね」とか言われて、80に減額されるような実務がスタートするだけだという気もします。
 
 社会保険料をすべての株式会社から取ることは本来通りの措置なので、良いことです。しかし、それを元請けのゼネコンの粗利の中から取るのか、零細建設業者の粗利の中から取るのか、そこが問題なんだと思います。

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