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2012年9月13日 (木)

原価計算の本を書いた理由

 下記のように原価計算の本を書きました。

 「ゼロからはじめる原価計算」総合原価計算編と個別原価計算編

 昨年の11月だと思いますが、日本政策金融公庫の「調査月報」2011/12が手元にありました。その中で「管理会計システム導入の促進要因と阻害要因」という論文がありました。
 この論文は、企業再生のコンサルをしている稲垣靖という人が4例の企業再生に関わった中で、この4社がいずれも「原価計算」「月次損益計算」「キャッシュフロー計算書及び計画書」の作成が行われていなかったと指摘し、それら管理会計をどうやって導入して、再生をした結果、再生計画が達成されたのかを述べた文章です。

 この管理会計3点セットを実施した結果、自社の問題点を認識した2社はスムーズに業績の改善を図ることができ、業績悪化の原因は市場の縮小やライバル企業の過度な値引き販売など外部にあるとした2社は再生計画が達成できなかったというものです。

 その中で見捨てておけなかったのが次の記述です。「事例企業の4社においても、顧問税理士事務所に管理会計導入の支援を打診したところ、税務面での知識やノウハウはあるが、導入の指導や助言はできないという理由で支援を得ることができなかった。そのため、4社ともに、支援が可能な税理士事務所への変更が行われたのである。」というのです。

 それなら、税理士が使える原価計算の本を書けば、こうした企業で税理士が捨てられることも減るかもしれないと思いました。あるいは、原価計算の指導ができず、かつ原価計算の本を読んで原価計算を身に着けようとも思わない税理士がいるなら、原価計算の本を書けば同じ税理士として差別化ができると思いました。努力しない人は、捨てられても仕方ないですから。

 今の顧問料の水準は、全般に安くなっていますから、今の顧問料のままで原価計算の指導をしてくれと言われたら私だってお断りするしかないですが、「このままでは潰れる、無事に事業再生できたら顧問料を増やします」といった願いがあれば、いくらでも協力したいと思います。

 その直後だったんですね、中央経済社の方が事務所にお越しになって、「何か著書を書かれる企画はないんですか?」と尋ねられたのは。そんなところから、トントンと話が進んで、無事、原価計算の本が出来上がりました。実務家向けに、実務で使うところに絞り込んだ本にしたつもりです。

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2012年9月12日 (水)

大企業でも原価計算は重要です

 原価計算の本を書きましたと知人などにも話している中で、上場企業にお勤めの方から「うちの会社でも原価計算は課題になっているんですが、従業員の中での理解ができていない」という声が寄せられました。

 そうなんですね、原価計算は、原価計算基準が昭和38年に中間報告として出された以降、日本の中では制度面としてあまり議論されたことがありません。逆に言えば、戦後の復興期から高度成長期の間に仕組みとしてはできあがり、企業にコンピュータが導入された時に原価計算もシステム化されて、それ以降は、ブラックボックスになってしまっている会社が少なくないと思われます。

 なので、9月8日のブログ(http://hsakuma.cocolog-nifty.com/blog/2012/09/post-60b2.html)では、売上が3~10億円になってきて、そろそろきちんと仕掛品残高や製品残高を出さないといけないという会社のために書いたと書きましたが、もっと大きな会社の人にとっても、原価計算は重要な知識です。その基礎を実務ベースで議論している本は、そういう方々にも役立つのだろうと思いました。

 「ゼロからはじめる原価計算」総合原価計算編と個別原価計算編

 業種によって異なる総合原価計算と個別原価計算に切り分けて書かれた上記の本がお役にたてば幸いです。

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2012年9月 8日 (土)

そろそろ原価計算を始めないと

 製造業やソフト開発会社や建設業の会社が売上高3~10億円(業種によって規模感が違うので一概には言えませんが)になってくると、そろそろ原価計算が必要かな?期末の仕掛品評価が大雑把すぎるかな?などと考えるようになると思います。

 しかし、原価計算といってもどうやったらいいんだ? ざっとはわかる、だって見積書を作ったりしているから。しかし、経理につながるちゃんとした原価計算というのは?という企業を想定して、本を書きました。

 「ゼロからはじめる原価計算」総合原価計算編と個別原価計算編

 この本は、自分の業種・業態に合わせて、総合原価計算と個別原価計算に切り分けて書いてありますから、わかりやすいと思います。そんな気持ちを込めて書きました。ぜひ、売上高が3~10億円になった会社の社長さん、経理担当者やそうした会社を顧問先に持つ税理士の先生に読んでいただきたいと思います。

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2012年9月 7日 (金)

原価計算の本が9月15日発売!

 実務家のための原価計算の本がほしいと思っていました。原価計算の本って、日商簿記検定や大学での授業のための原価計算の本がほとんど、あとは高度な経営管理に結び付いた制度会計としての原価計算とは少し色合いの違った本ばかり。株式を上場しようとすれば、必ず求められるのですが、反面それは、期末の仕掛品がきちんと計算できていますか?というレベル+α程度のもの。そこに絞り込んだ書籍は意外とないです。簿記検定では重要な階梯式配賦法なんて、私は実務で見たことがありません。

 そもそも規格品を大量生産をする会社は総合原価計算を行い、建築や造船やソフト開発では個別原価計算を行います。これらをごっちゃに1つの本で書くからわかりずらい。ということで、総合原価計算と個別原価計算を2分冊にして書いてみたのです。

 「ゼロからはじめる原価計算」総合原価計算編と個別原価計算編

 
 ぜひ、会社の社長さん、経理マン、工場の管理部門の方、これらの方に原価計算を指導する公認会計士・税理士の方々に手に取っていただければと思います。

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2012年9月 4日 (火)

サントリー胡麻麦茶の広告への疑問

 サントリーの胡麻麦茶の広告が東京メトロの車内に出ておりまして、グラフが出ていたので、眺めてしまいました。http://www.suntory.co.jp/softdrink/gomamugicha/ です。
 
 まず、このグラフで「そうか、胡麻麦茶を飲むと血圧が130を切るんだ」と思った方は、それでよいのでしょうけど、私は人が悪いのか、素直じゃないのか、対照飲料(ブレンド茶)の方にも目が行きました。こちらも下がってますよね。ブレンド茶も効果があるんだ!という仮説もあり。つまり、お茶も胡麻も血圧降下効果があるという仮説。
 
 でも、私は違うと思います。12週間にわたって被験者として胡麻麦茶やブレンド茶を飲み続け、2週間に1度血圧を測るって、けっこう日常生活の中で健康を意識させられる行動だと思います。その結果、被験者たちは、「とんかつ食べよかな? いや、蕎麦にしよう」とか「ラーメンの汁、全部飲んじゃおうかな? いや、止めておこう」とか行動に改善がなされたのではないかと。
 
 つまり、お茶や胡麻の効果ではなく、生活改善の効果がグラフに出ているのではないかと思うわけです。本来、薬の効果を測定するには、プラセボ(偽薬)効果を避けるために本人には試験対象の薬を飲ませているか、偽薬を飲ませているかをわからないようにしています(ダブルブラインドテスト))。しかし、胡麻麦茶とブレンド茶では、飲めばわかるので、この本来的な効果測定ができないわけです。さらに1週間程度なら、ホテルなどに缶詰めにして同じものを食べさせて、まったく同じ環境を作れますが、12週間ではそれは無理。そうすると、生活環境の影響を受けてしまう。さらに、被験者数が72人と少ない。これで棄却域5%とかでの仮説の検定ができるかな?という疑問が。
 
 こんな疑問を持てるのは、高校の時に「経済学部や商学部に進むなら、数学Ⅲも受けておくといいよ」と指導してくれた学校のおかげ。統計学って、より多くの国民に学んでもらうと良いと思うのですが、そうするとマスコミや広告制作会社は困るんだろうなぁと思ったりしました。でも、確実に国民が怪しいデータに騙されなくなると思うんですね。

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2012年9月 3日 (月)

通勤交通費と原価計算

 通勤交通費は、原価計算において直接賃率に織り込むべきか?という論点では、多くの人が「織り込まない」と答えるでしょう。なぜなら、個人の生産性に影響を与える項目ではないからです。ただ、私は、工場が郊外に移転して、多くの従業員の通勤時間が増えてしまったというような場合には、そういう負担を会社がしていることも含めて、工場のコストだと考えるなら、賃率計算にも織り込んで良いのではないか?などと思ったりしています。原価計算って、ある程度は、会社の裁量が許される制度だと思います。
 
 でも、本来は、原価に入れるべきではない。その根拠を社労士さんがある雑誌の中で書かれている文章の中に発見しました。「通勤費は本来社員が負担すべきもので、会社が負担すれば報酬となる。」です。そうか、本来は従業員が負担するべきものだったんだ。だから、社会保険の計算では、通勤交通費まで社会保険料の計算に含めるんですね。税法では、月額10万円までの通勤交通費は非課税なので、私の頭の中では会社が負担するべき費用だと思い込んでいました。
 
 でも、昔のように小さな地縁の中で仕事をするのと違い、首都圏では平均通勤時間が1時間半だったりします。こうした事情の中では、通勤交通費を雇われる側が負担するのには違和感があるのではないでしょうか。サラリーマンの皆さん、自分がもらって、そのまま定期券の購入に充てている通勤交通費にも健康保険料や厚生年金保険料が課されていて、もらった交通費は14%以上も目減りさせられているんだってこと、ご存知でしたか?

 ということは、同期入社でまったく同じ給与をもらって一緒に定年退職した同僚の通勤交通費があなたより毎月2万円以上多かったら、彼の年金の方が少しだけ多く支給されるって、変だと思いませんか? それとも通勤時間が長かった代償として納得しちゃいますか? 彼の方が郊外の安い土地に住宅を建てて、ローン返済も楽だったんですよ(笑)。

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