« 消費税の原価計算その2 | トップページ | 明治時代の原価計算 »

2012年8月18日 (土)

消費税の原価計算その3(軽減税率を斬る。)

 消費税の「原価」として、もう1つ、軽減税率を導入するのか?という論点があります。各種論文(たとえば http://www.nta.go.jp/ntc/kenkyu/ronsou/46/takada/ronsou.pdf )によれば、消費税の税収のうち食料品のウェイトが2割強あるようで、税率を3ポイント引き上げて8%にした時に、食料品の税率を0%(いわゆるゼロ税率)にした場合、5000億円×8ポイント=4兆円の減収が生じます。

 消費税1ポイントの引き上げで2兆円の税収増と言われていますから、3ポイント引き上げて食料品をゼロ税率にしたら、6兆円の税収増と4兆円の税収減で、社会保障に行く部分はほとんどなくなってしまいます。

 なんでこうなるのか? それは、軽減税率制度は、バラマキ税制だからです。もっと言うならば、高所得者に手厚い逆進性バラマキ税制だからです。軽減税率は、エンゲル係数が高い低所得者にとってありがたい制度ですが、高所得者が食料品を購入する場合にも軽減税率が適用されるので高所得者にもありがたい制度になってしまいます。しかも、低所得者が自主流通米を2500円で買うところ、高所得者は魚沼産コシヒカリを5000円で買います。低所得者が100g300円の合挽き肉を買う横で、高所得者は、100g1200円のフィレ肉を買うわけです。つまり、消費税の減免額は、高所得者の方が大きいのです。だから、大きな税収減が生じてしまいます。

 民主党の子ども手当、農家の個別補償などは、バラマキだと批判されましたが、本当にそこに給付をすべきであるのならば、対象を絞り込んでの給付なので、バラマキとはいえません。このブログでも、散々書いてきたように子ども手当は、見返りに所得税の扶養控除を切られていますので、プラスマイナスゼロ。なので、バラマキではありません。こういうのと比較すると自民党が強く主張する軽減税率制度は、バラマキどころか、高所得者により厚くバラ撒く制度なのです。(と書くと私が民主党支持者のように見えますが、とんでもない。前回は投票したものの、本当にがっかりさせられました。)

 これを入れちゃったら、早期に12%、15%といった水準への再増税をしないとどうにもならなくなりそうに思います。軽減税率は、制度が複雑になるだけでなく、税収に対する大きな「原価」が伴います。消費税にこういう「原価」は願い下げです。

|

« 消費税の原価計算その2 | トップページ | 明治時代の原価計算 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/181294/55453959

この記事へのトラックバック一覧です: 消費税の原価計算その3(軽減税率を斬る。):

« 消費税の原価計算その2 | トップページ | 明治時代の原価計算 »