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2012年8月 4日 (土)

学生向け協奏曲の作曲家たち

 フリードリヒ・ザイツ(1848年~1918年)、ジョヴァンニ・バッティスタ・ヴィオッティ(1755年~1824年)、シャルル=オーギュスト・ド・ベリオ(1802年~1870年)という作曲家をご存知でしょうか。おそらくヴァイオリンを学んだ人は100%知っていると思います。しかし、クラシック音楽鑑賞が趣味で、オタクの領域に達しているという人でも、聴くだけの人、ピアノは学んだがヴァイオリンは習ったことがないという人だとまったく知られていないと思います。

 この人たちは、すべて当時の有名なヴァイオリン奏者であり、ヴァイオリン教師。教師として指導する過程の中で、ベートーヴェンやメンデルスゾーンの協奏曲を弾く前段階での協奏曲の必要性を感じて自ら作曲したものではないかと思われます。ザイツのト長調や4番ニ長調の協奏曲は、ヴァイオリンの発表会では必ず誰かが弾く曲です。小学生中学年くらいの子供がやると非常にかわいらしいです。ヴィオッティの22番の協奏曲は、ザイツよりもう少し上の生徒が弾き、ベリオの「バレエの情景」や協奏曲も同じようなレベルの曲です。小学校高学年から中学生くらいでしょうか。

 続いて、次の作曲家はいかがでしょうか。ゲオルグ・ゴルターマン(1825年~1876年)、カール・ダヴィドフ(1838年~1889年)、ダヴィート・ポッパー (1843年~1913年)。彼らは、チェリストであり、チェロ協奏曲を作っています。また、ダヴィドフは、サポジニーコフというエチュードの中にも何曲か登場してきますので、エチュードも作っていたのかもしれません。
 ゴルターマンのチェロ協奏曲第4番ト長調は、中学生くらい?、ポッパーは高校生くらいが弾く感じでしょうか。また、小学生は、ザイツのニ長調の協奏曲を5度低くして、ト長調にした版を必ず弾きます。

 何で、こういう曲がそれぞれの楽器にあるのだろう?といったことを考えるとき、彼らの年代がそれを求めたのかな?と思います。6人のうちヴィオッティ以外が1800年代の中頃に活躍しています。パリ音楽院が1795年創立、ウィーン国立音楽大学の前身が1812年創立、上述のザイツは、ザクセン州のマクデブルク初の音楽学校の創立者と考えられているなど、まさにヨーロッパで音楽を学校で体系的に教えようという時期に活躍した人だったわけです。そして、創設された音楽学校の教授となったり、そういうところの教授から委嘱されたり、相談されて、作曲をしたのかな?などと思います。

 ピアノでいうとツェルニーとかクレマーとかシャルル=ルイ・アノン(1819年~1900年・・・日本では「ハノン」として有名)といったピアニストしか知らない作曲家がいますが、彼らが書いたのは練習曲集。ピアノの学生協奏曲というのはないですね。2台のピアノを並べて、協奏曲を弾くというのはまず見たことがない。このあたり、旋律から和声まですべて一人で出せるピアノと弦楽器の違いかもしれません。ということは、金管楽器や木管楽器にも私たち一般人が知らないその業界人だけに知られる作曲家がいるのかもしれませんね。たとえば、トランペット奏者にとってのフンメル、フルート奏者にとってのイベールが重要なレパートリーであるけれど、一般ファンには認知されていないように。

 私は、ザイツなどのヴァイオリンの作曲家は、自分の子供たちがヴァイオリンを習ったことで知ることができました。ほかにもヘンデルが素敵なヴァイオリンソナタを書いていることやバッハのヴァイオリン協奏曲が3曲(二重協奏曲を含む)あることや、ヴィヴァルディが「四季」以外にもヴァイオリン学習者にとって貴重なヴァイオリン協奏曲を書いていることも教えられました。じゃ、チェロの方は・・・? 実は、本日、上述のゴルターマンの4番の協奏曲第1楽章を発表会で弾いてきました。 四十の手習いですから、なんとかかんとか通ったというところですけど。でも、演奏技術はともかく、上述のような蘊蓄を知ることができただけでも音楽ファンとしては、本当に良い経験ができたと思っています。

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