« 2012年4月 | トップページ | 2012年6月 »

2012年5月22日 (火)

テレビに出損なった件

 本日の8時からのテレビ朝日「モーニングバード」にインタビュー映像を出してもらいそこなった話をご報告します。

 昨日の午前中、5月12日に書かれた消費税の軽減税率についてのブログを拝見しまして・・・とテレビ朝日から電話が入りました。お話を伺いたいということで、番組作りの参考になるように、そして軽減税率を導入しちゃいかんという持論を吹き込むために受けることにしました。午後になって、質問内容をファックスさせていただきます、という電話と一緒にカメラも持ち込んで映像を撮らせてもらっていいですか?と切り出す。その時点では話す内容をパワーポイント7枚ほどにまとめていたので、なんでもいいやとokを出す。送られてきたファックスに基づいてパワーポイントを10枚くらいに膨らませて、15時の到着を迎える。

 カメラのセッティングをしている間に、ディレクターに10枚のパワーポイントの説明をして、軽減税率なんか入れたらろくでもないことになるよ、と解説する。そして、ファックスの内容について、カメラを前にインタビューを受ける。と、ドタバタして約1時間が経過して、取材陣は帰っていきました。後で携帯電話に追加質問とか入れていいですか?というからokする。朝7時くらいでもいいかというから、これもok。明日の朝、スタジオに来てもらって、場合によっては説明してもらうとかはいいですか?というから、それは勘弁してよ、と答えました。だって、番組に放り込まれたら、出来上がっている台本から外れたことは言えないから、台本の出来によっては自分の信念と違ったことを言わされるリスクがありますので。

 夜、8時くらいに携帯電話に電話が入って、補足の説明を求められて説明。翌朝は、発信履歴の操作ミスで間違い電話でディレクターから電話が来たというアクシデントはあったものの、特に仕事はなく本番へ。昨日のうちから最初の30分はスカイツリーで、8時半くらいからですとは聞いていたんですが、いよいよニュースのコーナー。が、最初は、渋谷での殺傷事件の話。その後、ようやく税と社会保障の一体改革の話へ。

 軽減税率ってどんなものですか?みたいな話が出て、ヨーロッパでは、これで結構混乱があったりするんですよ、みたいな話に。うんうん、私の筋書き通り。フランスでは、三大珍味のキャビア、フォアグラ、トリュフのうち、19%台の普通税率のものと5%の軽減税率のものがあります。それはどれ?という質問形式で、キャビアが普通税率。フォアグラとトリュフは、国内産業でキャビアは輸入品だから、地場産業の保護の観点でフォアグラ・トリュフは軽減税率なんですね、みたいな解説。これ、私がインタビューで答えていたところでした。その後も、ドイツではドーナツを5個まで買う場合、店内で食べるとみなして普通税率、6個以上は家で食べるとみなして軽減税率とか、食品など必需品に軽減税率が適用されるとはいえ、適用対象が政治力で決まったり、どこかに「みなし」で強引に線引きしないとだめなのよ、というネタをクイズ形式で。

 出演者の発言には、「軽減税率の対象をあんまり広げると税収が確保できないよね」とか「うちの業界も軽減税率にしてとか出てくるね」的なものがありましたが、これは私が用意して発言したネタ。ということで、今後の展開を注目しましょう的なまとめで終了! 字幕で「監修 税理士佐久間裕幸」と入れてくれるくらいでもしてくれればまだしも、まったくスカで終わりました。ま、渋谷の殺傷事件がすべての原因だろうなぁと。

 今の世の中、物騒だから変に外で人と絡んじゃいけないよ、というのは東京では当然の常識で、その常識通りの殺傷事件よりも、万一導入されたら今後数十年単位で国民に皺寄せが起きる消費税のどっちが大事なのよ?みたいな気持ちもあります。が、家内曰く「あの時間の番組は、ニュースではなくワイドショーだから、そんなこと期待できないよ」ですって。確かにそうだ。期待してはいけなかったですね。

 そこで、どんなことをパワポで解説していたかを概略まとめておきます。
◎軽減税率とは、給付付き税額控除とは。
 
◎軽減税率のメリット・デメリット
メリット・・・
日常必需品にかかる税率が低いため生活へのダメージが減る。
デメリット・・・
①税収が伸びないので、本則税率を一層引き上げることになる。
②財・サービス価格の相対価格を攪乱
③課税・非課税の取り扱いで納税企業が混乱。

◎財・サービス価格の相対価格を攪乱って何?
たとえば、食品は消費税5%、ペットフードは10%になれば、猫の缶入りペットフードを止めて、ツナ缶を買って猫に与える人が出てくるかもしれない。そうすると、ペットフードの消費が減り、価格が落ち、ツナ缶の需要が増え、値上がりするようなことが起こります。さらに・・・

◎食料品を軽減税率にしても食品価格は上がります。
種の仕入価格、肥料代、ビニールハウスの建築代、ビニールハウスの暖房費などに消費税がかかっていれば、農家だって出荷の価格を引き上げないと所得が減ってしまいます。だから、値上がりという形でお財布を直撃します。

◎農家や食品産業への販売も非課税にすればいいじゃないか。
ビニールハウス内の暖房用の灯油は軽減税率で、農家自身の家の暖房用灯油は通常課税? 農家に売る軽トラックは軽減税率かな?でも、その軽トラックで息子が会社に通勤していたりして。

◎食品とそうじゃないものの区別ってできるんですか?
イギリスのジャファケーキ事件。
イギリスは、アフタヌーンティーの慣習があるからか、ビスケットやケーキは食品として軽減税率(0税率)。でも、チョコレートは贅沢品で課税。チョコレートをかけたジャファケーキは食品かどうかで裁判に。

◎日本だって区別ができないものあるでしょう。
食玩って、知っていますよね? 素敵なフィギィアと小さなガムがセットのお菓子。おまけが欲しくてガムを買うという商品です。あれも軽減税率適用ですか?ハンバーガー屋さんの子供向けセットにもおもちゃが付いていましたね。

◎でも、食料品は必需品だから消費税が上がったら大変だ。
所得の階層の下位20%では、年間平均収入177万円、月間15万円ほどのうち、食料品に費やしているのは35,107円だけ。消費税が5ポイント上がっても1,755円しか支出は増えない。

◎食料品の軽減税率の恩恵は金持ちだって受けるんです。
所得の階層の上位20%では、年間平均収入1,116万円、月間93万円ほどのうち、食料品に費やしているのは84,679円で下位層の2.4倍。これも軽減しちゃうのであれば、これこそバラマキ税制!

◎それなら、ほかの逆進性対策があるでしょう。
給付付き税額控除があります。
それだけでなく、所得税や住民税あるいは社会保険料を年間2万円だけ引き下げてあげれば、食品の消費税アップ分を還元することができ、高い食品を買う高所得者には引き下げを適用しないような手法も講じられるのでは?
→それこそが税と社会保障の一体改革のはず。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2012年5月12日 (土)

消費税の軽減税率

 夕刊を見ていたら、消費税の審議に当たっては軽減税率の導入が焦点になるという記事がありました。そんなの入れちゃ駄目だと思うんですが。たとえば、消費税率を8%にした際、食品は、5%のままにするといった仕組みです。低所得者層のダメージを軽減するために大事だとかいう人がいるんですが、それは別途対処すればよいと思いますというお話です。

 消費税は、付加価値税の1つですが、一番早く付加価値税を導入したヨーロッパでは、軽減税率が入っています。もちろん20%とか税率が高いこともありますが。それに対して、後発で導入したカナダやニュージーランドでは軽減税率はありません。ニュージーランドの税率は12.5%でスタートしていますが、それでも軽減税率なし。で、世界の税制の専門家の間では、高く評価されています。

 実は、ヨーロッパの付加価値税の軽減税率の対象を見ていると、なぜか書籍や新聞が軽減税率の対象になっています。ヨーロッパ人は教養を重んじるから食品同様に書籍は必需品なのね・・・なんて美しい話ではなく、おそらくメディアを黙らせる方策で書籍・新聞に軽減税率が適用されたのだと思います。結局、軽減税率なんてそんな風に決まるのです。だから、消費税の増税を決めるためには、軽減税率を飲んででも・・・みたいな血迷い方をしてはいけないのだと思います。法案が通らなかったら、「自民党は日本の将来を考えていません。それでも自民党を信じますか?」くらいの国会答弁を野田首相はしてでも軽減税率を入れてはいけないのだと思うのですが。

 イギリスのジャファケーキなるものが、クッキーなのかチョコレートなのかで税率が違ってくるということで、裁判で何年も争ったみたいなバカなことを日本でもやろうというのでしょうか。ハンバーガーを店舗の中で食べれば外食なので普通税率、テイクアウトすれば食材の購入ということで軽減税率とか変なことをやっている国もあります。

 日本だって、軽減税率を入れたら、竹材で工作するときは普通税率、おにぎりを包む皮にする目的なら食品として軽減税率とか境界領域が出てきて、お店のレジで「何に使いますか?」とか聞かれて、嘘でも「食材にします」と答えれば消費税が安くなるとか、変なノウハウが流行ったりして、それってロクでもないことだと思うんですが。

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2012年5月 4日 (金)

長距離バスの原価計算

 長距離の夜行バスが日本中を走っています。その結果、寝台特急が駆逐されてしまいました。本当にそんなに安くてよいのか?と思って、原価計算をしてみようかと思いました。

 観光バスの値段をいすゞで見ると、3000万円から4000万円といった値段のようです。このバスを6年乗るとすると、年間500万円の償却費となります。3000万円で購入して6年後の中古下取り価格を0円とみてもよいし、3500万円で購入して6年後の下取り価格が500万円でもよいです。ま、概算としてはこんなもの。バスが年間250日稼働できるとすれば、1日当たりの償却費は、2万円ということになります。ディーゼル燃料代は、リッター4キロ台と出てきます。高速道路が中心なら6キロで計算してもよいかもしれません。先般の事故の金沢~東京だと670キロだかの運転手2名の基準には該当しないというニュースがあったので、600キロとして、100リットルの燃料を使います。このディーゼル燃料は、最近ではガソリンとあまり変わらない値段だそうで、1リットル120円としましょうか。そうすると金沢~東京で12,000円かかるということになります。運転手の日給が15,000円だと月間20日働いて30万円。夜間手当も込みだと考えると、こんなもんでしょうか。高速代がわからないのですが、自家用車なら10,850円という検索の答えが出てきたので、バスなら2万円といったところでしょうか。

 以上をすべて足しこむと償却費+燃料代+給与+高速代=67,000円となります。これに対して売り上げはどれくらい得られるでしょうか。楽天トラベルで東京~金沢間5月6日発の夜行で調べると3,900円というのが最も安い。20人乗れば、78,000円ですから、1万円ほどの利益が出ます。しかし、楽天などツアーの販売事業者への手数料、バス会社の利益、ツアーの主催会社の利益の総額が1万円ほどということでは、実質利益は出ません。当然、運転手を2名にしろといった規制が出てくれば、3900円の料金自体が不可能なものとなります。逆に言えば、危険と隣り合わせの3900円なのだということを理解すべきです。

 ユニクロや牛丼屋のような価格破壊は、理由があり、品質が確保されているからこそ許されているのだと思います。バスの場合、この料金は許される価格破壊ではないのではないか?という気がします。事故で亡くなった方を責めるような文章に感じられる方がいれば、たいへん申し訳ないのですが、個人で上記のような計算をして、「3900円の夜行バスは止めて、8000円の会社のにしよう」という判断はできないと思います。なので責める気はありません。おそらくは、「楽天トラベルのような上場会社が売っているツアーだからちゃんとしたものだろう」くらいの判断で購入されているのではないでしょうか。ということであれば、楽天トラベルその他大手の旅行代理店は、本当に自社が扱ってよいものか?という原価計算をしたうえで、取次を開始してもらいたいものだと思います。それが上場企業への信頼というものではないでしょうか。

 また、我々もとにかく安ければよいという発想の前に「安物買いの銭失い」といった諺も思い起こす必要があるのかもしれません。企業に理念とか自負とかがなくなり、ここを超えてはいけないだろうといったブレーキがかからない時代ですので。

| | コメント (5) | トラックバック (0)

2012年5月 3日 (木)

こんな時こそ買いたくなる

 決算の打ち合わせでお客さんのところに行っていた時に出た話です。輸入靴を扱う会社だったのですが、大震災のあった昨年3月以降、売上はそれほど落ちない、というかどちらかといえば好調だったといいます。「なんでなんでしょうね。自粛ムードもあったじゃないですか」と聞いてみたら、「こういう雰囲気だからこそ、自分の好きなものは買いたくなるってあるんですよ」という社長の返事。なるほどぉ!

 靴が好きなお客さんは、服はユニクロ、小物は100円ショップで買ってでも靴だけは自分の好きなブランドを買うし、そういう支出をしたくなるのかもしれません、こういう行き詰った経済環境、市場環境だと。「佐久間さんは、そういう買い物してないですか?」と聞かれて、振り返ってみると、昨年7月に車買ってました。9年も乗ってきたから、もう1年乗って、10年目で買い換えてもよかったし、ちょうど今年にモデルチェンジの予定だったから1年待つつもりでいたんです。が、後部座席の下のモールが外れてドアが閉まりにくくなることがたまに起きるようになったら、「こんな部品ももろくなっているんだから、ほかの部品だって壊れやすくなっているかも」と思い、急に買い換えたくなりました。モデルチェンジ直前の末期モデルだったので思いっきり値引きしてもらいましたが、とにかく買ったことは確か。ハチロクの記事も読んじゃうし、RX-8が生産中止目前に人気が集まり生産延長とかも記憶に残っていたり。私は、意外と車が好きなのかもしれません。「ベンツやBMWに乗って、ユニクロ着て、ダイソーへ行く」という人種がいるという話も納得しちゃいます。

 みなさんにとっての「これだけはうるさい」という凝りたいモノってなんでしょうか。この1年間、そういう買い物、していませんか?

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2012年4月 | トップページ | 2012年6月 »