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2011年8月29日 (月)

消費税増税を負担するのは誰か?

 1つの制度が変更される場合には、周辺の施策も変更が加えられる場合があります。しかし、その結果として、本来の制度自体の意図するものが変化してしまう場合もあります。そんなことに気付いたので、ブログにしてみました。
 
 所得税の増税は、主として勤労世帯に負担が及びます。年金をもらっている老人世帯は年金にかかる所得税は限定的であるため、ほとんど影響を受けないといってよいかもしれません。これに対して、消費税は、消費に対して課税されるため、すべての世代に平等であるといった言い方がされます。しかし、そうなのか?という話をこれから書きます。
 
 消費税は、目に見えて支払うのは、消費者です。しかし、消費税の引き上げと同時に賃金を同じパーセントだけ引き上げたらどうなるでしょうか。消費者は消費税増税の影響を免れることになります。では、誰が負担するか。消費税は、付加価値税の1つであり、企業の付加価値(人件費や減価償却費や支払利息などの合計)に課税されます。もし、消費税増税の影響を消費者に負担させないように、賃金を引き上げる圧力(政策)が打ち出されると、賃金引き上げの結果、企業の利益が減って、法人税は減るけれども消費税の納税額は増えることになります。本来、消費税の導入の結果、物価が上昇して、売上高も増えて、だから昇給もして・・・ということであれば、消費税の増税の効果は、消費者と企業が負担することになるのでしょう。しかし、無理に賃金を引き上げる圧力がある場合、企業が消費税を負担して、かつ法人税の減収から国が負担の一部をすることになります。
 
 消費者の一部に年金生活者がいます。過去の消費税の引き上げ時の対応を見る限り、消費税の引き上げに対応して年金の支給額が引き上げられるようです。年金は、物価スライド制になっているので、消費税引き上げの結果物価が上昇したなら年金支給額が増えても良いのですが、そうでないなら、年金生活の方々は消費税の引き上げの影響を年金額の範囲までは受けないことになります。消費税の引き上げにより物価が上がるなら年金が増えるのだから、あえて年金支給額を増やすべきではないのに、そうされるのであれば、消費税の増税は、結果として勤労世帯と企業と国が負担することになります。
 
 生活保護手当などは引き上げざるを得ないとは思いますが、年金は引き上げるべきではないと思います。あくまで物価スライドの結果の引き上げを待つべきであり、消費税増税時点で引き上げるべきではない。このタイミングを誤ると消費税の増税が所得税と同様に勤労世帯にだけ及んでしまいます。
 
 消費税の増税、という1つの制度の変更にしても、その周辺でどんな施策が動くのかによって効果がぜんぜん違ってくるということを我々は認識しないといけないと思います。子ども手当にしても同じです。子ども手当が縮小されて、年少扶養控除が復活しないならば、子ども手当が導入される2009年までと比較して、子育て世代の負担は増えてしまいます。なぜ、高齢世帯に何ら変化がないまま、子育て世代の負担が増えるべきなのか。同じ年代でも独身世帯の方が可処分所得に余裕がありそうなのに、なぜ、一番お金がかかる世帯に負担をさせるのか。明確な説明は誰もできないのではないでしょうか。
 
 増税するなら消費税、所得税、いや、国債発行をするべきだ、などなど単体の制度を議論する話は、世の中に氾濫していますが、その影響は周辺の施策がどのように行われるのかによってもぜんぜん違ってくるのだということを意識しないといけないように思います。海江田だ、馬淵だと語っている人も、彼らがそういう周辺施策までは語っていないことを認識してほしいなぁと思います。彼らの政見演説を聞いても周辺施策次第でどうにでもなるわけで、けっきょく将来は見えていないということになるからです。

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