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2011年5月14日 (土)

枝野さんの発言を好意的に解釈するとすれば

 昨日の枝野さんの発言、すなわち「銀行に任意で債権放棄を求める」という発言ですが、世間全般、なに言ってんだ?状態だったと思います。弁護士なのに、なんでああいう発言ができるのか?という意見も。

 私もそれが謎だったんですが、Twitterでやり取りしている中で、思ったことをメモしてみます。一般的な議論としては、会社がおかしくなったら、株主が有限責任で出資額を限度に負担して、それでも債務超過なら債権者が損失を被る。こういう順番です。しかし、東電の場合はどうか? ボーナスごとに東電株を買うのが健全な蓄財方法だといった社会の常識があり、東電の有価証券報告書には、「原発にもしものことがあったら債務超過に陥って、非常に厳しいことになる」みたいなまでのリスク情報は書かれていません。しかも東電株は100株単位、20万円程度で買えた。

 それに対して、金融機関は、貸し出しのプロ、リスク管理のプロであり、そのプロが数百億円、数千億円という単位でお金を貸し出す際に原発のリスクから何から検討しているだろう。それであれば、プロとしての責任、貸し出す金額の大きさに応じた慎重さというものがあっても当然だろう・・・と枝野氏が考えたとすれば、それもそうだろうなぁと。

 このブログで前から書いているように上場株式というのは、会社の継続性について証券取引所が審査をした上で上場させていますから、粉飾などは監査法人が発見できないほど巧妙にやられれば仕方ないとして、天災その他の事故1発で会社が消えちゃうようなことがあっては投資家保護が図れません。であれば、金融商品取引法の精神から言えば、原発事故1発で東電が上場廃止ではよろしくない。

 こんな対比で言えば、東電の株式は、有価証券報告書すら読まずに買われるのが社会常識であり、20万円を支出する際の慎重さと数千億円を貸し出す際の慎重さでは、たとえそれが株式と融資で制度が違っていても、比較均衡としては銀行の責任のほうが重いといえばそうかもしれません。枝野さんは、あるいは、政府は、東電に会社更生法を出させたらどうなる、政府が連帯債務を負うみたいな宣言をしたらどうなる?などといろいろなシミュレーションを重ねた中で、損失負担責任の重いところに負担させながら、庶民(一般国民だけでなく、それと重なる東電株主)の負担をできるだけ軽くしようと思ったのではないか。そのように考えると、枝野発言は、極めて私の意見に近いものだったのであり、私は彼の意見に納得するべきところだったのかもしれません。

 物事、いろいろな視野から考えると、いろいろな結論が導き出しうるものだという事例の1つなのでしょうね。

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