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2011年4月 5日 (火)

子ども手当を無くしてよいのか?

 つなぎ法案が通ったことで、子ども手当が半年間継続することになりました。これに対して、自民党などは「ばらまきだ」と批判し続けており、子ども手当はばらまきだと言われ続けている印象があります。本当にそうなのでしょうか。
 
 子ども手当が導入された時、同時に児童手当が廃止されて、子ども手当になっています。そして、同時に税制においては、子ども手当が支給される15歳未満の子どもの扶養控除38万円が廃止になり、これが平成23年1月から動いています。財政側で見ると、子ども手当の必要財源2.2兆円、対する児童手当の廃止で▲0.8兆円、扶養控除の縮小で▲0.8兆円のようであり、差引6000億円だけ支出超過となっています。
 
 これを受け取る側で考えると、児童手当は、1~2人目の子どもに1人当たり5000円、3人目から1万円で、500万円前後の所得までの親にしか支給しないという所得制限が付いています。かつ、この所得制限額を1円でも超えると支給されないため、可処分所得ベースでみると、所得制限をギリギリ超えていなかった人よりわずかに超えた人の方が児童手当が削られる分可処分所得が減ってしまうという矛盾を抱えた制度になっていました。また、扶養控除の方も所得控除制度であるため、低所得者は、そもそも所得税がかからないため、扶養控除の恩典を受けることができず、逆に最高税率(所得税、住民税合わせて50%)がかかる高所得者は、38万円×50%で19万円の所得税が減る効果があるという矛盾を抱えていました。
 
 これを解消するために月々、第1段階13,000円、最終的には26,000円の子ども手当という制度が考えられたのだと思っています。現状は、年額で156,000円です。所得が500万円前後より低い世帯では、子ども1人当たり、5,000円だったものが13,000円もらえるようになり、所得が800万円程度の世帯では、児童手当はもともと関係なく、年額156,000円もらえるけれども、扶養控除が消える結果、所得税・住民税合わせて380,000×33%=125,400円増えるため、年間3万円ほど可処分所得が増え、所得2000万円の世帯では、税率50%なので、年額156,000円の子ども手当に対して、扶養控除が消えた影響が190,000円で4万円弱の増税になっています。所得額1000万円超の世帯では、効果はゼロないし増税なのです。
 
 所得格差が拡がってしまったという問題が意識される日本の中で、この改正は悪くないと思うし、ばらまきというほどの問題でしょうか。また、ばらまきだと批判して、子ども手当制度の廃止を主張する人は、低所得世帯の手当を年額で10万円近く奪い取り、800万円の世帯で156,000円の負担増を意図して主張していたのでしょうか。それとも、扶養控除の復活を想定して、3万円だけ負担増を意図して主張していたのでしょうか。もし、扶養控除の復活を想定していないのであれば、なぜ、2009年までとの比較で子育て世帯だけが「子どもの数×38万円×税率」分だけの負担増を受け入れ、子どもがいない高所得世帯や多額の預貯金を持つ高齢者に負担が出ない制度改正を求めたのでしょうか。
 
 消費税の税率を1%引き上げると2兆円の財源になります。5%で10兆円。そういう規模感に比べて、児童手当と扶養控除から子ども手当に変化する財源は0.6兆円。子ども手当なんかより復興財源になどというレベルの話ではないように思うのです。むしろ、子育て世帯より集票マシンとして魅力がある高齢者に媚びた主張が「子ども手当はばらまきだ」説なのではないかと疑ったりするのです。みなさん、政局としてのあるいは特定の年齢層に媚びた政党の主張に騙されていませんか? 野党に落ちてからの自民党の言動には、与党の民主党と同じ程度に幻滅しています。私たちは、どの政党を応援したらよいのでしょうか。

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