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2010年10月11日 (月)

法廷会計学vs粉飾決算

 タイトルは、キャッツ事件の細野会計士の本ですが、2008年6月初版の本を今頃ですが読みました。

 日興コーディアル証券の粉飾について財務分析から明らかにして、みすず監査法人の業務廃止のきっかけを作ったレポートを元にした本です。財務分析からの推測も含まれたレポートですが、途中から断定になってしまうなど強引なところもあるものの、結論は正しかったということで許されちゃう本です。

 切れ者の会計士が検察の特捜部によって強引に犯罪者にされ、監査の仕事から強引に切り離して、暇にさせるとこんなに鋭いレポートを書かかれちゃうのだぞ、というところでしょうか。有能な人は大きな組織の一員として飼い殺しにしておかないと、社会(ないし財界や官僚)が必要悪として封じ込めておこうと思った部分まで世の中に開示されちゃうということが言えるかと。

 一番、印象に残ったのは、財務分析ではなく、下記のくだり。
□公認会計士の指導的機能(P.233~)
 (P.244~)それでも、監査業務に創造性と自主性があればまだ救われる。監査には批判的機能と指導的機能があるが、昨今の社会風潮は公認会計士の指導的機能を否定する方向に著しく偏りすぎている。会社の作成した財務諸表に対して限定意見をつけたり、不適正意見を付してその財務諸表を批判する機能を公認会計士の批判的機能と言うのであるが、それでは公認会計士が限定意見や不適正意見をバンバン出せば社会は満足するのか? 間違った財務諸表を出されるよりも、そのような誤った財務諸表を修正させ、適正な財務諸表の作成を指導して適正意見を出してもらったほうが、その社会的効用ははるかに高い。これを公認会計士の指導的機能という。しかし現在の社会の論調は、公認会計士の批判的機能の欠如を問題とするばかりで、その指導的機能の重要性を指摘する論調など見たことがない。
 上場会社の中で、公認会計士の指導的機能がなければ適正な財務諸表を作成する能力がない会社はかなり多い。・・・・(以下、略)

 日本航空の機材の購入時のリベートを購入時の収益とする会計処理は粉飾だと論じ、それに適正としてきた新日本監査法人にバツを出し、NOVAの売上計上処理にOKを出してきたあずさ監査法人にバツを出し、この本によれば、中央青山監査法人以外の大手も軒並み駄目だしされちゃいます。監査の指導的機能が欠けているだけでなく、大手監査法人の会計士といえども、能力自体が不足している場合もあり、監査法人の組織的な運営がそれをカバーしきれていないことの証左ともいえるかもしれません。

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