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2009年7月28日 (火)

民主党のマニフェスト

 いよいよ選挙で、民主党のマニフェストが出ました。自民党の閣僚からは、酷評されているようですが、とりあえず税理士及び3児の父としての感想を書いてみます。

 補助金の削減等で6.1兆円というのは、既得権益を侵すのでたいへんだろうなぁと。国家公務員の給与総額を2割減らしますというのは、独立行政法人を増やすみたいな帳尻合わせではなく、民間に比べて圧倒的に高い退職金を大きく減らしたり、東京はともかく地方においては、平均給与より数割は高いと思われる給与水準を下げられるならやってもらいたいものの、無理なんじゃないかな?という印象。

 「子ども手当」が年間21万2千円というのは、驚き。扶養控除38万円なんか喜んで返上しちゃいますが、財源は大丈夫なのでしょうか。それから、不正受給への対処がたいへんでしょうね。月間2万6千円もらえるんだから、「あの子は俺が扶養しているんだ」「いや、私こそが扶養しているんだ」と父やら祖父やら叔父やら登場しちゃったりして。最近、一部の学者さんが「給付つき税額控除」といった制度を導入しようと提言が出てきていますが、こういう部分でたいへんですね。また、サラリーマンなら、年末に扶養異動等申告書を出すだけで扶養控除が取れていましたが、「子ども手当」では、どういう手続でお金をもらえるのでしょうか。先般の定額給付金の手続で「面倒だ」と感じた人は、もらったほうも払ったお役所も少なくないのでは?

 ヘルパーなどの給与を4万円増やすというのも、具体性の面でどうなんでしょうか。グループホームの保母さんのように夜中も含めて面倒を見る人と、お出かけの際の介助のような短時間の作業のヘルパーさん、どういう人を想定して、4万円増えるのか、見えないですね。また、増えるのはよいのですが、それって介護保険の給付額が増えるので、その分、介護保険料が増えるのでは、我々の懐を直撃します。財源としてどのような対処になるのか見えないのが不安です。消費税が上がらない代わりに介護保険が上がる?

 ガソリン税等の廃止は、道路特別会計がなくなるということなので、よいのですが、環境保護への対応はどうなんでしょうか。自動車産業の保護政策として機能することにもなるんですが、それでよいのかどうか。

 中小企業の法人税率を18%から11%に引き下げと書いているのは、おそらく年間所得800万円以下の部分に限定ですが、これは、インパクトあります、税理士的には。これが実施されると、法人住民税、事業税を含めた実効税率は、所得800万円以下で18%くらいになります。今まで、法人税が所得税より高いから、会社の所得をゼロにすることを目指して、役員の給与を増やす方向でやってきましたが、実効税率18%というと、個人の所得税+住民税なら、課税総所得金額330万円未満に適用される税率より安い。ということは、会社を成長させたい社長は、会社の利益が800万円に達するまでは、自分の給与を生活に必要な最低限な額に絞り込むようなことをするかもしれません。稼いだ利益の82%が会社に残るというのは、インパクトあります。中小企業の成長力がアップしそうな予感。もしかすると、法人税減少のインパクトはないけど、(役員報酬減少による)所得税減少のインパクトで「財源はどうする?」という話になるかもしれません。あとは、法人税法35条だけでなく、第34条の改正もしてもらわないといけないのですが。

 それに対して変なのが、時給1000円の最低賃金を目指すというもの。そんなことしたら、日本の製造業は、みんな工場を海外移転しちゃうと思うのですが。「私は、労基署に駆け込まないので、時給800円でも雇ってください」なんていう覚書を書かせるような採用が行われるようなことが起きないとよいのですが。

 それから、租税特別措置法の見直しというのが謳われていますが、これはとても良いことだと思います。「税制の既得権益を一掃する」という書き方をしていますが、まさに「この業界の数社」にしか使えないような特別償却や税額控除制度がけっこうあります。わけのわからない条文が大量にあって、公平・中立・簡素という税制の三原則に反していますので、こういうのは見直さないといけないと思っていました。

 さて、選挙の結果で民主党が仮に勝利したとして、マニフェストの実行はどれくらいできるのでしょうか? 官僚を敵に回したら、こういう抜本改革はできないように思うのですが。

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2009年7月24日 (金)

これが中国の力だ。

 先日、顧問先の創立50周年記念の式典があったので、お祝いをもって出掛けたのですが、その内祝いをいただきました。バカラのクリスタルの器。こうした場合、バカラの由来などを書いた小さな説明書きが入っていたりするわけで、世界中に売っているメーカーでは、1ページごとに書かれている言語が変わります。

 バカラは、フランスのメーカーでしょうから、最初のページにフランス語。次のページが英語、そして日本語、次のページをめくったら、なんと中国語。家内に「で、日本語の次は何語の解説でしょう?」と質問したら、「どっちかなぁ」と言いながら、「イタリア語!」

 ドイツ語と迷った?と聞いたら、「うん」。「正解は、中国語」と言ったら、やはり驚いていた。高級品の買い手として、中国がものすごく力をつけてきていることを実感しました。

 そういえば、ヨーロッパのオークションハウスのページも英語、ドイツ語、フランス語と中国語の言語が選べるようになっていたりします。日本人の購買力は、お呼びではないということか。これが世界における中国の力、まもなくGNPで日本を抜くと言われる中国の力なんだなぁと感じました。

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いまどき、元本保証で4.5%で運用

 7月15日が期限でしたので、もう過ぎてしまったのですが、所得税の予定納税は、減額申請を出すことができます。つまり、前年が大きな所得が出ていたので多額の所得税を納め、7月15日までの段階で業績が急激に悪化して、多額の予定納税をする余裕がない(ということは、予定納税をしても確定申告で大きな還付になる)という場合には、予定納税の減額申請をして、予定納税額を下げることができます。

 しかし、あえて多額の予定納税を納めてしまうという手もあります。その結果、来年の3月15日の確定申告では、実際の確定納税額と予定納税額の差額が還付になります。その還付金額に対して、還付加算金が上乗せされることになります。この還付加算金の金利が4.5%です。どんなネットバンクの定期預金より金利が高い。プロが運用する年金の予定利回りより高い。

 ちなみに計算は、前年の11月30日から還付加算金の計算がスタートします(万一、何らかの事情でまったく赤字になるようであれば、7月31日の第1期の予定納税の納期限からの計算となります。)。還付が3月31日に行われれば、11月からの4ヶ月について、4.5%の資金運用です。もちろん、確定納税額に相当する予定納税額は、7月、11月と早めに納めるので、その分の資金効率は落ちますが、銀行から借金してでも予定納税したほうがお得な場合もあるかもしれません。還付額が100万円なら、15,000円の還付加算金。もし、この加算金相当額を0.5%の金利で4ヶ月で稼ごうとするなら、900万円も預金しなければなりません。

 ただし、この還付加算金、もらった年の雑所得として扱われますので、お忘れなく。

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2009年7月 6日 (月)

国税ダイレクト納付

 9月より、「ダイレクト納付」と呼ばれる手続が国税庁でスタートします。これは、電子申告で申告書や源泉税の徴収高計算書を送信した後、ワンクリックで届出をした預貯金の口座から即時ないし期日指定で引き落としができる手続きです。

 この手続をしておけば、毎月10日までの源泉税の納付手続(は、同時に徴収だけ計算書の提出を兼ねています)をする際、混雑する銀行窓口に行かなくてもよいわけです。また、すでに電子申告にして、ネットバンキングで納付していた場合、経理担当者にネットバンキングの暗証番号を教えないといけないといったセキュリティ上の問題がありました。

 これに対して、ダイレクト納付であれば、毎月数千円の手数料がかかるネットバンキングの契約をしていなくても、従業員等にネットバンキングの暗証番号を教えなくても、あるいは教えたくないから社長自身が納付作業をしたりしなくても、自動引き落としのように納税が済みます。電子申告の利便性を大きく高める措置ではないかと思います。

 ところが、この手続は、金融機関側も対応していないと実行できません。そこで、下記にもURLを掲げた利用可能金融機関一覧を見てみると、都市銀行では、三菱東京UFJ銀行とみずほ銀行だけが対応、三井住友とりそな銀行は、対応の予定が記載されていません。

 こんな馬鹿な話があるでしょうか。かつて、1998年頃のバブル崩壊後の金融危機のときに、銀行はインフラだから救済するのだということで、公的資金を投入したわけです。その結果、体力をつけて、三菱はモルガンスタンレーに資本を注入したり、三井住友は日興コーディアルを買収するほどになったのです。それなのにダイレクト納付への協力はしないというのはどういう認識なのでしょう。インフラとしての自覚の欠如といわざるを得ません。りそな銀行には、そんなに期待していないんですが、三井住友銀行は、日本の財閥の名前2つを並べた「ザ・にっぽん」とも言うべき銀行です。それが、ちょっとしたシステム投資をしないのでは情けないと思うのです。

ダイレクト納付手続のページ
https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/nozei-shomei/annai/24100030/index.htm
利用可能金融機関一覧
https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/nozei-shomei/annai/24100030/kinyu.htm

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