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2009年5月30日 (土)

経営者の給与

 今週は、3月決算の会社の決算内容のご説明、申告書への署名押印をいただきに顧問先各社を回るような仕事が多く、いろいろな社長さんとお話をして帰ってきました。その中で、印象的な話を1つ。

 会長さんと社長さん(そろそろ引退の親御さんと息子さん)いわく、「給与を下げて会社の利益を確保するくらいなら、本来は、商売やめちまったほうがいいんじゃないかと思ったりするんですよ。」

 一般的には、会社が赤字だと銀行がお金を貸しにくくなるので、できるだけ会社にも利益が出て、そういう範囲で役員報酬が決まるという側面があります。月に50万円で年間600万円(中小企業の社長に、賞与はありません。税務上、経費にできず不利なので。)を自分の報酬としようかなと思っていても、今年は不況で会社の利益が心配になると、今年は40万円にしちゃおうか・・・というのが一般的な中小企業の社長さんです。が、そうやって40万円にしてみると、「朝から晩まで仕事して、それでたった40万円かよ。年収480万円か?」と思っちゃう瞬間があるんだと思います。

 私もそれを受けて、「そうですよね、中小企業と言うのは、全員が成功するわけではなく、失敗して破産する人もいるわけです。だから、破産しないで済んだ人は、リスクを回避しているサラリーマンより高い報酬を得て当然なんです。例えば、絶対に倒産しない区役所や都庁の課長さんが1千万円もらっているなら、そこそこ無難に経営できている会社の社長が1500万円とかもらって当たり前なんです。」

 会長さんも「そうそう」と頷いておりました。虎穴にいらずんば虎児を得ず。倒産リスクを負わねば、年収1500万円を得ず、なのが正しい社会。虎穴に入らずに虎子を得ようとするから、大分県の教員採用試験で不正が行なわれたりするわけで、リスクのない公務員の給与は安く、社会インフラを担っているため倒産リスクが比較的低い企業、例えば、東京電力、フジテレビ、NTTなどの給与も低くて当然で、それ以外のサラリーマンがそれよりは高く、そしてちゃんと経営できている中小企業経営者が一番稼ぐ。これが美しい社会です。今は、逆ですね。

 この逆状態が、税制にももろに反映しています。法人税法第34条の規定が、役員報酬は毎月定額で、その改定は株主総会の直後でないとダメだと定めています。これでは、「どうやら儲かりそうだから、年収360万円ベースみたいな金額から、本来ほしい1千万円ベースへ報酬引き上げをしよう」というような報酬改訂は期の途中ではできません。また、例年200万円利益を出しているのに、今年は100万円を割り込みそうだから、社長の給与を10万円減俸して、5ヶ月で50万円をひねり出して、150万円程度の利益に落ち着かせようか・・・なんてのもダメ。

 さらに、収益性が高くて、年収1600万円以上を稼ぎ出している社長が100%株式をもっているような会社の場合、普通の法人税・住民税40%ではなく、業務主宰者税制といった特別な税制で実効税率がアップしてしまうような税制(法人税法第35条)もあります。「3000万円以上は、稼ぎすぎだから、会社にもっと利益を残してよ」というのなら、まだわかりますが、1600万円と言ったら、役所の課長さんはそれくらい取っているんじゃないですかね。それが取りすぎと言わんばかりの税制になっているのが現状です。しかも彼らには数千万円の退職金がありますが、中小企業の社長は自分の退職金も稼がない限り、取ることができません。

 この業務主宰者税制の1600万円の限度額を3000万円以上にしたり、社長の年収が2000万円になるまでは、賞与を経費にできるようにしたり、年収2000万円以下の社長の給与は、期の途中で自在に変更できるといった税制にしないといけないような気がします。リスクを取った人のベネフィットにそれくらいの魅力を与えないと、起業なんてする人いなくなっちゃうのではないでしょうか。雇用対策なんか懸命にやっても雇う人がいなかったら、失業者は減りません。日本の雇用は、中小企業が支えているんです。
 そんなことを強く思った1週間でありました。

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2009年5月22日 (金)

新型インフルエンザ騒ぎの中で

 洗足学園の高校生がニューヨークへ行ってインフルエンザを拾って帰ってきました。「こんな時期にいくなんて」という声もあったり、主催者側から参加を取りやめる理由は存在しないというメールをもらったのでと言う説明を校長がしていたが責任転嫁だといった声もあるような。「挙句の果てに涙を出したそうな」とか。

 でも、難しい判断ですね。マスクをきちんとして参加すれば、罹患の可能性が3~5%あったとしたら、逆に95%大丈夫だろうと踏んで行かせたなら、それはそれで判断だったと思います。だって、5%って統計学的には棄却域と呼ばれる無視しても良い範囲だから。また、他国の参加者がまったく参加取り止めをしていないのであれば、参加するのがグローバルスタンダードだとも言えます。

 しかし、記者会見の際にそういうスタンスで校長が語ったら、きっとブーイング。以下、仮想の記者会見のやり取り。
校長「本人たちも模擬国連に向けて周到な準備を重ねてきて、参加した場合に本人達が得る体験は何にも替えがたいものがあります。それに比べてインフルエンザは、行けば100%かかるというものではないため、その可能性を5%程度だろうと踏み、弱毒性で命にかかわる可能性は低いと専門家が判断し、また、他国からの不参加がないという情報があったため、参加をさせました。しかし、結果として、皆様にご迷惑、ご心配をお掛けしたことはたいへん申し訳なく思います。」
記者「参加させたことは判断ミスだったということですか?」
校長「いいえ、参加させた判断は、間違いではないと思いますが、裏目の方が出たということだと認識しています。」
記者「現にインフルエンザに罹ってしまっているわけですから」
校長「行った人の半分が罹患するといった状況なのに、それを把握できずに参加させたのであれば、判断ミスですが、それほどの罹患率ではないという点では、判断材料自体にミスはなかった。よって、裏目の方が出ただけだという認識です。ただ、結果として、皆様にご迷惑、ご心配をお掛けしたことはたいへん申し訳なく思います。」
記者「つまり判断ミスではないですか。」
校長「ありません。物事には、必ずメリットとデメリットがあり、予想通りの結果が出る可能性が100%というものはありません。例えば、100万回に1度くらいの確率で飛行機が落ちるとしても、そのリスクの期待値よりも海外へ行くことの収穫の期待値の方が大きいから、海外への修学旅行や行事参加をするわけです。で、たまたま飛行機が落ちたから、その学校の判断が誤りだったかと言えば、そうではないと思います。今回も同じように、参加した場合の収穫の期待値とインフルエンザに罹ることのデメリットの期待値を比較して、十分に前者が大きいという判断でありました。」
記者「飛行機の墜落と国内にウィルスを持ち込むことを一緒にしてよいのですか」
校長「今回の生徒の場合も発熱を訴えていながら、検疫は通過してしまいました。発熱すらないままに潜伏期のまま日本に入国している人はたくさんいるはずです。それが2名増えたか増えないか?というだけのことであり、それよりも2名の生徒の将来の収穫の方がはるかに大きいとはお考えになりませんか?」

 なんて、やり取りをしたら、きっとメディアでの取り扱いは、洗足学園叩きになるんじゃないかと思ったりします。企業の経営者のリスク管理として、メディア対応と言うのがありますが、「メディアは、感情的なバカだから、そのバカが理解できるレベルにまで自分が降りていかないと叩かれる。正論を言っても感情的な人には理解できない」というのがあるんだと思います、メディアの記事には載りませんが。ただ、ひたすら謝って、「判断に至った経緯を洗いなおすだけでなく、専門家を招聘して第三者委員会を作って、判断のプロセスを評価していただくことも検討していますので、その経過は、逐次お知らせしたいと思います。」ってなことを言っておくのがよいのでしょうか。第三者に評価していただくことも検討した結果、それはやめたでもよいのですから、ほとぼり冷めちゃえば。

 もし、うちの子供がニューヨークに行くという状況があったら、親として、つまり私ははどう判断するべきだったろうか?と思ったのでありました。

 P.S.ところで、洗足学園の校長の記者会見を見ていないんですが、実際はどうだったのでしょうか。

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2009年5月 9日 (土)

時間稼ぎ

 「時間稼ぎ」というのは、今朝の舛添さんの記者会見を見ていて、これがキーワードだと思った一言。テレビで生中継を見てしまいましたが、やはり生で直接の語りを全部聞くとよくわかると思いました。

 会見の途中で「水際作戦というのは、一種の時間稼ぎなんです。検疫では、感染したが発症する前の潜伏期の人は通り抜けてしまうなど、完全ではないんです。でも、これで1週間でも2週間でも上陸や流行を遅らせることができれば、その間に自治体での対応準備なども間に合います。現に、この1週間程度の間にすべての都道府県に発熱外来を設置して、保健所に問い合わせればよいような体制ができました」というような趣旨の話をしていました。

 なので、今のような厳重な検疫をいつまで続けるかも随時、状況に応じて検討して変化しますというようなことを言っており、ほぼ新型インフルエンザに対する問題点を把握しきった上での会見だと思いました。「人によっては、検疫なんかしないで、早いうちに国民に免疫を作らせて冬を迎えたほうが良い、といった意見すらあるのも知っていますが・・・」という発言もあり、年金問題は不安ですが、インフルエンザ問題は厚生労働省に任せておけば大丈夫な気がしました。

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2009年5月 6日 (水)

落ちた!

 5月5日に「熱狂の日」でバッハを聴いてきました。子供たちにモダンバイオリンで弾くバッハを聴かせたくて、カントロフが振るポーランドの室内オケでのバッハの1番2番とドッペルコンチェルト。

 で、ドッペルコンチェルト、第3楽章が終わったところで、娘が「2度も落ちた」と。家内もうなづく。小学校3年の息子まで、「僕も分かった」。私はチェロが気になったりしてよくわからなかったものの、「あれ?」と思った瞬間があり、そこで落ちていたのでしょう。落ちていたのは、ファーストヴァイオリンのソロ。

(音楽に詳しくない方のため、「落ちる」とは、自分のパートが休みがあった時など、あるいは同じ音形が続いているとき、楽譜を数え損なって、入るべき場所で他の楽器と合わせられなくなり、弾けなくなることです。)

 娘は、この曲は、実際に弾いているので詳しい。「ここで戻れ!って念じたんだけど、戻らず、けっこう空白があった」とのこと。奏者は、落ちた瞬間、ブワァーーーっと汗が噴き出したのでしょう、弾き終ってから思いっきり汗ふいてました。

 で、アンコールで、再度第3楽章にチャレンジ。今度は、楽譜にかじりつくように演奏しながら、無事、通りました。

 ファ・フォル・ジュルネは、きっと十分なリハーサルができないので、こういう事故もあるのでしょうね。観客は、温かい心で聞いてあげないといけないのだと思いましたが、気付いた人は、ドキドキしちゃいますね。

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