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2009年2月25日 (水)

個人事業主の保護

2007年6月にこんなブログを書きました。
http://hsakuma.cocolog-nifty.com/blog/2007/06/post_055f.html
NHKの番組収録中に大けがを負ったとして、出演者の女性が渋谷労働基準監督署に労災申請したというニュースを読んだが、おそらく労災申請は通らないに違いない。そもそも、労災で2~3割負担が無償になるより、普通の健康保険・国保のままで、本人負担分が払えない人に救済措置があるほうが良いのでは?という記事でした。

 ところが、本日の産経新聞の記事によると、
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090224-00000618-san-soci
 「平成18年に元体操選手らによる人気ショー「マッスルミュージカル」の出演者の20代女性がNHKの番組収録中に重傷を負った事故で、中央労働基準監督署(東京都文京区)が女性を労働者として認め、労災認定していたことが24日、分かった。女性の代理人弁護士などによると、舞台出演者が労災認定されるのは全国的にも珍しいという。」というのですね。「女性はショーの運営会社「デジタルナイン」(東京)と出演契約を結んでいたが、会社側は雇用契約ではなく労災対象とは認めなかった。女性側は、公演などを含め年間2000時間近い拘束を受けるなどして、「労働者性の判断基準」に該当し、実態は労働契約で労災対象とすべきだと主張していた。」のが認められたわけですが、この結果、治療費は、無償になったのでしょうけど、平成18年から今までの3年間、彼女は、どうやって生活していたのだろうか?と、再び疑問に感じました。

 故障した野球選手は、契約の更新時に戦力外通告されたりするわけで、おそらく彼女も怪我で働けなくなった結果、仕事のアサインがなくなり、報酬がなくなったと思います。労災認定を受けて、治療費が無料になっても、意味がないのだと思います。会社に雇用されていて、社会保険に入っていれば、休業補償の給付(給与の60%)が健康保険から受けられます。しかし、これは政府管掌健康保険などの話であり、国民健康保険ではそんな話はありません。雇用契約とされていなかった彼女が社会保険に加入できているわけもなく、おそらく単に収入の途を失っていたはずです。いや、労災が認められると同時に失業保険の給付も出てくるのでしょうか? だとすると、なんでもかんでも、労働者に認められさえすれば、メリットは非常に大きいことになります。

 逆に言えば、今の社会は、労働者(雇用契約の人)には非常に手厚い保護がある反面、個人事業主には非常に冷たいということができます。舞台女優を労働者扱いするように労働者の範囲を拡げたとしても、個人で八百屋をやっている人、板金屋をやっている人、設計事務所をやっている人の業務上の災害による休業を補償する制度は、生活保護以外にはないと思います。生活保護は、車を保有していると出ないとか。八百屋さんが車を手放したら、仕入ができません。つまり、所得200万円の八百屋さんが怪我をして、働けなくなって、代わりに月給20万円を払って、代わりに仕入とお店での販売をしてくれるアルバイトを雇ったとすると、所得は、マイナス40万円になります。しかし、生活保護は受けられないのでしょう。収入から経費を引いてマイナス40万円。普通に生活するには月15万円は必要で、その12ヶ月で180万円。所得のマイナスと合わせて220万円は、どうやって補填するのかと言えば、貯金を取り崩すか、サラ金から借りるか?

 「商売やっている人は儲かるよね。それに比べてサラリーマンは搾取されるだけだ」という発想から転換しないと、商売始める人がいなくなり、雇用する器が増えなくなるということになると思います。リスクを取っているから儲かる。なので外したときにはリスクが顕在化する。同じ人が儲けとリスクと両方を享受するのではなく、儲けちゃうだけの人とリスクに直面するだけの人がいる。後者への救済があまりに貧弱だと、リスクテイクする人がいなくなると思います。

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2009年2月24日 (火)

生活厳しいのでしょうか?

 そろそろ月末なので、いろいろな顧問先で決算の内容説明、申告書への押印の作業に回っています。今日の最後は、虎ノ門でした。そこを失礼して、虎ノ門交差点で信号を待っていたら、中年の女性に「東京駅へ行きたいのですが、どっちでしょう」と聞かれました。「電車でですか?」と聞いたら、「いえ、歩きで。1時間かかりますか? 30分くらい?」と。

 30分以上はかかりますよね。10度ない気温の夕方、雨も降っているというのに、30分なら歩きで東京駅までいこうと考えているようでした。「100m歩くと千代田線の霞ヶ関駅があり、2駅で二重橋前なので、東京駅のすぐそばです」と答えましたが、果たして乗ったのかどうか? 「2駅なら歩けるわ」と思ったかもしれません。

 160円と30分。お金ないのかなぁ・・・などと考えてしまいました。景気、悪いですものね。

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2009年2月 3日 (火)

取り付け騒ぎ?

 ビックカメラが粉飾決算の疑いで東証の監理銘柄に指定されたということで、倒産の危機ではないか?ということで、ビックカメラのポイントを使い切るべくお店へ行こうとか、すでに行ったという話が私の知人の間で語られていました。

 銀行以外での取り付け騒ぎの第1号が起きるんでしょうか? ということで、ビックカメラの20年8月期の有価証券報告書を見てみました。ポイント引当金が129億円。この金額は、失効することが見込まれる統計的なデータを織り込んで実際のポイント発行額より少ない額になっているでしょうから、150~200億円が発行総額かな?という感じ。これに対して、営業キャッシュフローは、62億円。つまり、ポイント引当金が一気に全額使われたりすると、年間の営業によって稼いだキャッシュの2~3倍の資金流出が起きるのかな? 期末の現金等価物は194億円ですから、ポイント全部が売れて200億円とか売上が発生しても収入ゼロ。それで減った在庫を購入するのに原価率76%だから152億円かかる。よって、キャッシュは、42億円まで激減することになります。

 でも、キャッシュが底を突くわけではないので、倒産は、なさそうです。むしろ、値引やポイントの付与を抑え気味にしても、「余所より高くてもビックのポイントを使わねば」ということで、粗利率も高まったりして。

 ということで、財務諸表分析的には、取り付け騒ぎで潰れちゃうことはないのではないかと思いますが、これを機にポイントやマイルについての安全性確保に向けての施策が動き出すのかもしれません。ポイントの格付け機関とか誕生したりして。

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2009年2月 2日 (月)

未経験者は、ずっと未経験者のままになってしまう

 文京区に鴎外記念図書館というのがありまして、建物が老朽化してきて建て替えが必要になっています。そこで、設計の応募をしているんですが、参加資格を見ると下記のようになっています。
 
 3 プロポーザルの参加資格
プロポーザルの参加資格は、以下の要件をすべて満たすものとする。
(1)建築士法(昭和25年法律第202号)第23条の規定に基づく、一級建築士事務所の登録をしていること。
(2)平成11年4月以降に文学館、美術館、博物館又は資(史)料館の新築(延床面積1,000㎡以上)に関する設計業務実績があること。
なお、プロポーザル参加者が、契約締結までの間に参加資格を有しなくなった場合は、その時点で失格とする。

 平成11年4月以降に延床面積1000平米以上の美術館等を設計したことがある一級建築士事務所って、いくつくらいあるのでしょうか。「こういう分野に進出してみたい!」とかいう設計士さんがいても、これじゃ参入できませんね。経験者と一緒にジョイントベンチャー的に参加して、参加実績を積まないといけないのですね。無償で参加させていただくという感じ? ただ働きする余裕がなければ、一生、公共施設の設計はできないのでしょう。

 もちろん、美術館や博物館の場合、資料の保存のため、湿度や温度の維持など空調面での配慮やお客さんの移動の経路と館員の資料の出し入れの経路や展示室と保管室の区分など経験が必要な面もあると思います。しかし、発注側にそういった要件をチェックする資質があるならば、あるいは資質がなければ設計をチェックしてくれる経験者をコンサルタントとして依頼すれば、設計士のほうに経験を求める必要性もないのかもしれません。なにか考えてくれないと、初心者は、ずっと初心者になってしまいます。また、経験はある設計士が、その経験を生かしていない設計したとしても、通過してしまうことになります。

 実は、お役所の仕事にはこれと似たことがたくさんあります。建設業における業者登録もそう。建設業者は、建設業法に基づいて業者登録をしなければいけません。しかし、この登録申請の要件の中に、経営者が建設業の経験5年といった要件が入っています。例えば、建設機械の開発会社の中で試作品のテストオペレータをしていた人が、その経験をもとに機械作業の請負会社を起こしても、建設業に従事した経験が0年なので、たぶん業者登録できないと思います。で、そうすると起業を諦めるか、建設業の経験が5年以上の人に形式だけ取締役に入ってもらうとか、形式作りに走らないといけなくなります。あるいは、業者登録を出さずにモグリになるか。業者登録というのは、どんな建設業者かわかるようにして、発注者に安心して発注してもらえるように・・・という制度なのだとすれば、社長の経歴書があれば、「建設業の経歴はないけど、テストオペレータを10年もしていた人だから、安心だ」とか、「それでも実際の経験はないので、ちょっと不安だから、発注をやめよう」とか判断できるわけです。それで良いのではないかな?と私は思うのですが。

 そういえば、正社員問題にも似たところがありますね。30歳過ぎて、パートやアルバイトの経験しかないと普通の会社での正社員募集では相手にされない。だから、ずっとパート・アルバイトの仕事を探さざるを得ない・・・みたいな。これに対しては、トライアル雇用助成金なんて制度があって、事業主には、トライアル雇用を実施する対象労働者1人につき、月額50,000円が最大3か月間支給されます。つまり、トライアル雇用する正社員未体験者に月給15万円払うとしたら、そのうち1/3をハローワークが負担してくれるので、「まずは実質10万円の負担で試してみてね」というわけです。
 ま、話は飛んでしまいましたが、「やったことがない人にチャンスを与える」って、社会の活性化にとって重要だと思います。

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2009年2月 1日 (日)

オッフェンバック「天国と地獄」序曲

 久々に音楽の話。

 娘が、「天国と地獄」序曲の第1ヴァイオリンのパートを練習しています。最初の時には、「最初のあたりがぜんぜん想像がつかない」とか言っていました。運動会の定番のこの曲ですが、後半のフレンチカンカン部分しか流されないため、全曲通してこの曲を聴いたことがある人はまずいないという稀有な名曲なのかもしれません。

 一般に、序曲とか間奏曲など一部だけが有名な曲というのはたくさんあります。そこだけは演奏され、CDでも収録されるのに、全曲が演奏されることはないという。マスカーニのカヴァレリア・ルスティカーナの間奏曲、ロッシーニのウィリアムテル序曲、マスネのタイスの瞑想曲などなど。ロッシーニはセビリアの理髪師他たくさんの名曲を書いていますが、マスネ、マスカーニは、この1曲で後世に名を残している作曲家とも言えるかもしれません。歌謡曲でも一発屋というのがあり、「飛んで飛んで・・・」の円広志「夢想花」、庄野真代「飛んでイスタンブール」とか。スッペの軽騎兵序曲そして、このオッフェンバック「天国と地獄」序曲もこの系列ですね。

 でも、よくできた曲だと思います。賑やかにスタートして、曲想が落ち着いたところでソロ楽器で美しい旋律が流れ、そしてフレンチカンカンへと。ラスト部分だけ聴くのはもったいないです。どんな曲だか、序曲の全曲を聴いてみたいという方は、3月29日に娘が所属する東京ジュニアオーケストラソサエティのチャリティーコンサートで取り上げられますので、行ってみてください。入場料のうち100円がユニセフに寄付されます。

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