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2008年12月31日 (水)

明けましておめでとうございます

 昨年末は、子供達もだいぶ大きくなってきたためか、紅白歌合戦を久しぶりにほとんど全部見ながら大晦日を過ごしました。普段、歌番組などは見ないため、知らない歌がかなりありましたが、それでも「陽はまた昇る」(Pabo)、「GIFT」(Mr.Children)など、日本に元気をといったテーマの曲が目につきました。ちょうど、大晦日で終わった12月の「私の履歴書」の小宮隆太郎教授が「日本に衰退の兆しを感じた今、ここで対処しないと」といった旨の文章にも感じるものがありました。「イギリスでは、28年間を3人の首相で乗り切って危機を超えた。それに比して日本では・・・」といったことも書かれていました。

 例年、20行ほどの文章にしている年賀状もこの数年やや暗めの内容になっていましたが、小宮教授のように危機の兆しを危機感として明文化するのも手ですが、紅白歌合戦のように「がんばろうよ、元気出そうよ」というメッセージを発信するのもエンターテイメントとしては大事なことだと思った次第。ま、私は、エンターテイメントではなく実務家なので、小宮教授パターンでいいやと思っているのですが、年賀状の中では、「中小企業の復活がなしに日本経済の浮上はないと思っている」といったことを書いております。

 10年来思っていることですが、高度成長期の日本の企業は、人口が増える分だけ、何の努力もしなくても人口増加率分だけの売上増加が約束されていました。なので、小売店なら、店を構えれば、それなりになり、出店費用が借金でも物価も毎年上がっていくため、相対的に借入金の負担感は低減していったはずです。それに比べて、1991年以降の日本では、人口も増えず(増えていますが、若年人口は減り始めています)、物価も上昇せず、その結果、借入金に貸借対照表を圧迫され続けてきました。小売店なら、「この場所で店を続けていて良いのか?」(出店・退店政策)、「どうやったら顧客を増やせるか、来店頻度を高められるか?」(広告・宣伝政策)、「ネットでも販売できるか?」(販路の拡大)など考えないといけないし、製造業なら、「得意先からの注文を待っているだけでよいのか?」「もっと製造原価を低減できないか?」といった工夫が求められるようになりました。

 中小企業よりもいろいろ考える能力を持つ大企業が行った原価低減政策が「正社員から派遣社員への切り替え」であったなら、あまりにも工夫がないというか、知恵がない対応策です。もちろん、馬鹿社員でも首を切れない今の労働法にも問題があるのですが、そういう根幹を直さずに派遣法を拡大しようと動いた大手企業の馬鹿さ加減は許しがたいものがある反面、従業員を守ればよいという観念だけにしがみつく労働法学者も同様に問題があるのかもしれません。アメリカでは「同じ事象(たとえば遅刻)について3回注意を受けたら、3回目には解雇を言い渡しても経営側は悪くない」というルールがあると聞きました。日本には、そういう明文化されたルールはないですね。これは、労働法学者が現場を見ていないということではないのでしょうか。あるいは、見ても見ないふりをしたい背景があるのか?

 これからは、すべての人が自分の能力を100%生かして、知恵のある活動の成果として、明るい日本を作らないといけないのではないかと思いました。御手洗経団連会長、読んでますか(読んでるわけないですが)? あなたのキヤノンも偽装請負をやり、「それがダメなら派遣契約へ」とやっていたわけです。外注しているソフトウェア会社にまで「請負契約はまかりならん」みたいな指示が出ていたそうですが、本当に表面だけを取り繕った会社になり果ててしまっている印象です。もっと本質を見て、仕事をしましょう。「労働者は搾取される存在だ」という観念に凝り固まった労働法も異常です。就業時間を1秒でも過ぎて仕事が終わったなら、残業手当を出さねばならないといった発想も疑問です。確かに理論上、法律上はそうですが、従業員のサービス精神や職場へのロイヤリティといったものとは相容れない発想です。法律はそうでも、本当に生きた運用といったものへの工夫があってもよいのでしょう。従業員を数十名以上抱えた会社では、「税務署より労基署の方が怖い」といった話は、中小企業の常識です。このままでよいのでしょうか。もちろん、従業員を不当に酷使している企業があることは、「名ばかり管理職」問題など否定はしないのですが。

 などなど、書きながら、じゃあ、公認会計士は、税理士は、自分の仕事の分野でどんな本質を見つめて、改善を図っていかねばならないのか。そんなことを考えながら新年を迎えようかと思いながら、これを書いています。

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2008年12月17日 (水)

政府税調での議論

 http://www.cao.go.jp/zeicho/gijiroku/kikaku27kaia.pdf で、11月18日の政府税調の第27回企画会合の議事録が読めます。
 今回の相続税法の抜本改正が葬られるプロセスが良く見える議論が議事録になっています。例えば、
○高山委員
 今年1月11日の閣議決定が「企画27-1」の資料の1ページ目にあるのですけれども、事業承継税制については制度化が既に行われているわけで、遺産取得課税方式に改めることを検討するということなんですが、私の理解では昨年、確かに発端は事業承継税制だったのですけれども、それとは離れて、やはり相続税一般の議論の方でかなりやったと私は理解しているのです。
 基本に関わることで言えば、こんなに相続税収が減ってしまった。あるいは相続税を納めている人がこんなに少ないではないか。他方で、いろいろな理由で相続税の課税強化に対する理屈づけを我々はしたのではないかと思うのです。

 事業承継税制のためには遺産取得課税だと説明されていたわけですが、税調の議論の中では、それは発端に過ぎず、相続税増税を目論んでいたことが明確に告白されているわけです。
 そして、話題の事業承継税制についても
○上月委員
 事業承継税制との絡みなのですが、実は事業承継税制が非常に私も期待していましたけれども、現実に拝見しますと、これは実際に、それを適用できる企業が果たしてどれくらいあるのか。非常に条件が厳しくて、今、特にこういう経営状況の中で、5年間保有する、そして、その後にもしも譲渡したら、その時点で利子税がかかるとか、このままですと、事業承継税制そのものがあまり実効性がないのです。これがもとで、今、遺産取得者課税という話が田近先生からもありましたけれども、もし、そういうことであるならば、今のままの事業承継税制であれば、相続税の課税方式を遺産取得者課税に変える必要はないと私は思っています。それほど事業承継税制が不公平といいますか、公平性に問題があるほど皆さんが活用できる制度ではないのではないかと思います。

などと本質を突いた指摘がなされて、とりあえず、現行方式の中で事業承継税制だけ入れればいいじゃないか、といった意見がでています。
 そうした意見を受けて、もっと良い事業承継税制の改良も必要だろう。税金を取れば良いというものではなく、企業が元気でないと国民みんなが困るのよ・・・というすばらしい意見もあります。
○井上委員
 事業承継税制は決まったことでして、先ほど上月委員からお話がございまして、非常に使いにくいという問題も確かにあろうと思います。しかし、まずはこれはスタートして、この次にどういうふうに改善するかが大事だと思うのです。
 やはり、事業承継というものは何なのか。基本的には企業を継続させて、その中小企業をいかに発展させていくかということの問題から派生しているはずだと思うのです。要するに、相続税でも何でも取ってしまえばいいのだということではなくて、企業を存続・継続させる。今の中小企業の2,800万人の雇用をいかに継続させていくのか。そして、そこで生み出している58兆円からの付加価値があるわけです。大企業に比較してももっと多い付加価値がある。そういうものをどういうふうにして拡大化させていくのかが大事なわけなのであって、その目的を忘れて税を取ればいいということに走ってしまっていいのかと思います。
 どうも笑われて困るのですが、企業があって生活があることをどうも忘れているのではないか。お金は降ってこないのです。企業で働いて、それで稼いで、我々が裕福になる。皆さん、そこをもっと根本的に、この税調でも考えるべきだと思うのです。

 そして、これも本質を突いた指摘として、
○横山委員
 1点だけでございまして、私は社会保障の財源として相続税の位置づけといいますか、意味づけは、吉川委員がおっしゃられているような、やはり社会から受けた給付に対応する負担を死亡時に清算するという考え方が非常にこれからの社会保障を考えているときに私も重要だと思っていますので、そこと、この課税方式を遺産取得課税方式に改めることの整合性をやはりどこかで詰めておいていただかないと、清算という言葉は、やはり支出課税のようなベースの考え方で、これを所得課税、いわゆる遺産取得時に課税するという方式に変えることの意味が、今後、恐らく社会保障財源という位置づけを相続税でやろうとした場合の整合性を考えておいていただきたいという要望です。

というのがありました。少子高齢化の中で、社会保障の恩恵を受けながら財産を残して死んでいるのだから、社会保障分のお礼として相続税を課税強化しようという考え方がでてきているが、それなら遺産を取得した人に課税ではなく、遺産額に課税をして、その残りを相続人が分ければ良いという現行方式の方が妥当ではないか?という意見です。

 ちなみに各委員の経歴は、高山憲之 一橋大学教授(公共経済学、経済政策)、上月英子 税理士、井上裕之 愛知産業(株)代表取締役社長、横山彰 中央大学教授(公共経済学、財政学)ということですが、すばらしい委員の方々だと思いました。最後のところを読むと、会議の予定時間を超過しての熱い議論だったようです。

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2008年12月11日 (木)

相続税法の大規模改正は消えた?

 8月にこのブログで「相続税改正の動向」というという話を書きました。
http://hsakuma.cocolog-nifty.com/blog/2008/08/index.html

 その際、遺産課税方式から遺産取得課税へと変更されることはさておいて、この改正が増税を意図したものではないか?という話を書いておりました。「納税通信」12月15日号を読むと、「相続税の課税方式を変更すると納税者によっては増税になるとの指摘があり、景気が後退する中での改正に慎重論が相次いだためだ」と書かれています。やはり8月時点での私の嗅覚は間違っていなかったようです。

 納税者によっては増税になる、ということは、納税者によっては減税になったはずなんですが、それでも自民税調で政府税調の昨年答申や1月の閣議決定で決まった事項を葬り去るということは、「多くの納税者にとって増税になるような改正」が目論まれていたんだということが推測できます。

 8月のあと、遺産取得課税への変更についての問題点がたくさんあるのだという話を書きたいなと思いながら、10月辺りからこの変更は少なくとも21年度改正ではなされないのかもという気がして、筆が止まっておりました。どうやら、方向性が見えたので、問題点についてちゃんと書いておこうと思います。

 まず第1に、この制度だと特定の相続人が全部相続するより、法定相続割合で相続したほうが相続税額が安くなりがちです。そのため、農家の相続では、土地が細分化するでしょうし、農家をしていない次男が農地を相続したら、その農地は荒れてしまいます。あるいは寝たきりの親の面倒を見た長男夫婦とニューヨーク駐在の次男が均等に相続したら、「ちょっとおかしくない?」と思うのが普通です。民法には寄与分とかそういう規定はありますが、遺産取得課税ではそれを考慮した課税はできないはずです。

 第2に、こうした特性から、本当は、長男が相続しているのに、次男や長女も相続したことにするという「仮想分割」が起きやすくなります。例えば、銀座のラーメン屋をやっている親のお店を跡継ぎの長男が相続するより、3人の兄弟で相続したほうが税額が安くなるからと、不動産を共有で相続するといったことが起きる可能性があります。そこで、税務署は、相続後も3年後も5年後も、跡を継いだ長男が他の兄弟に賃借料を払っているかどうか、そして他の兄弟は不動産所得の申告をしているかどうかの調査をしなければなりません。あるいは、相続の登記などしないで放置しておこう・・・といった行為も行われる動機になるでしょう。このように手数のかかる税制は、合理的でないし、課税の中立性という租税三原則から見ても正しくないということになります。

 今の相続税制は、昭和30年代前半に作られ、それ以前は、遺産取得課税方式によっておりました。で、それではとても制度として厳しいので、わざわざ現行の遺産課税方式に直したのです。その時の改正作業に関わった財務省OBの方(今は、大学の先生)の講演を聴いたのですが、「遺産課税方式にするべきだ」という主張が挙げる現行制度の問題点は、すべて現行制度の中での改正で解消できるものだといいます。そして、その先生は、「自分の古巣を悪く言いたくはないが、増税のためにする味の悪い改正だ」とおっしゃっておりました。

 相続税増税なら、我々税理士の仕事は増えることになったわけですが、税制自体を考えるならば、今回の見送りは、良いことだったとつくづく思います。自民税調の答申は、明日12日に公表されると聞いていますが、どのような答申になっているか、楽しみです。

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2008年12月 2日 (火)

インフルエンザ

 今年もインフルエンザの流行が始まりつつあるようです。国立感染症研究所では、今週中にも全国的な流行開始を宣言する域に達するという見解を示しているようです。予防注射をされた方もいらっしゃると思います。

 佐久間税務会計事務所としては、すでに新型インフルエンザ対策として、感染防止用の高機能マスク10枚を各職員に配布しています。「普通のインフルエンザではなく、新型インフルエンザが発生!なんてニュースが出たら、即日、薬局からマスクが蒸発すると思いますので、備蓄用にしてもらってもよいし、それは各自がやるとして、通勤時に今からしてもらってもよいです」という説明で配りました。本当は、8週間分備蓄するべきなのだそうですが。

 花粉症歴が20年を超えますので、それなりにマスクにはうるさいんですが、今のところのお気に入りは、大三という会社の「快適ガードプロ 立体タイプ レギュラーサイズ 5枚入」やそのブリーツタイプ。家内や子供向けには、興和の「クリーンラインコーワ 三次元マスク女性用」。これらは、形も比較的普通で、無難なところでありながら、鼻の周りに隙間ができにくく、マスクの脇からウィルス入りの空気を吸ってしまう心配が低く、メガネが曇りずらいという点で気に入っています。

 強力なところでは、興研の「サカヰ式ハイラック350型」があります。これは、米国NIOSH規格N95と日本の国家検定規格区分DS2の両方に合格した性能を持っているということで、ウィルスなども安心です。これらの基準は、0.3μ(ミクロン)以上の微粒子を、95%以上カットできるという性能だそうで、インフルエンザウィルスもこれならカットできそう。さらに、バンドが耳にかけるのではなく、頭の後ろに回す形態で2本。この結果、見た目は悪いのですが、顔との圧着感はばっちり。マスクの周囲部分には、接顔クッションがついているんです。このページhttp://www.koken-ltd.co.jp/boujinmask.htm の中ほどをご覧ください。これが圧着度を高めるんですね。ちなみに、この興研という会社は、消防庁御用達の会社だそうで、ジャスダック上場企業です。地下鉄サリン事件以来、防毒・防塵・感染症に関する話題が出るたび、株価が跳ねる会社です。

 ということで、私のコートのポケットには、マスクが用意され、インフルエンザ・シーズンにも準備万端です。新型インフルエンザに備えて、みなさんも多少のマスクの備蓄をしてみてはいかがでしょうか。3月まで使わないですんだら、花粉症の人にプレゼントすればよいわけですから。

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