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2008年11月27日 (木)

株主総会見学記

 本日、株式会社USENの株主総会があり、月末で忙しくはあったのですが、出席してきました。顧客に株主総会の運営の話など話す機会がありながら、自分がまったく現場を見ていないのもなんだなと思っており、そういえば監査法人にいた当時のクライアントの事務局や控室で間接的に参加して以来、現場を見ておりませんでした。

 1000人以上入るホールを使っていることもあり、かなり工夫のされた総会になっておりました。まず、事業報告については社長が細々と説明するのではなく、映像と音声を流してわかりやく簡略にしていました。また、4つの議案を一括して上程して、質問も一括して受けるという形にして、どうやらシナリオとしては、11時半くらいまで会場に自由に質問をさせ、11時半を過ぎた時点で「あと3名さまほどで打ち切ります」と宣言して、12時直前に4つの議案の承認を一気に取るという段取りのようでした。なるほど、うまいなぁと思った次第。

 株主さんは、総会まで来るだけあって、それなりに会社に思い入れがある人が多いようで、質問者は、ほとんど毎回出席しているような雰囲気を感じました。私としては、一番関心があったのは、優先株式の発行を可能とするような定款改正を入れる第1号議案だったのですが、これについても一応の水準の質問が出ておりました。本当は、「こんなものを発行するより無担保社債は無理としても、担保付社債などで代用できないのか? 残余財産分配にも優先権がついているので、普通株主の権利はその分希薄化してしまうし、優先株式の発行総額や取締役会で決定される配当上限額によっては、分配可能額がほとんど優先株式に食いつぶされてしまうかもしれないが、それでは普通株主にとって不利にならないか?」という点だと思いますが、そこまでの質問は来ませんでした。

 でも、「どこに発行するのか?」という質問も出ていましたが、それも発行規模も未定とのこと。発行するとすれば、大株主で大口借り入れ先のゴールドマン・サックス以外にないだろうと私は思いますが・・・。

 ちなみに1時半からは出席株主のみ観られる「チェ28歳の革命」という映画の試写会があったのですが、仕事があるので、それはパスしました。終わって、後楽園のメトロ・エムの中でお昼を食べていたら、周りはサピックス(中学受験の塾)のパンフレットを持ったお母さん方ばっかり。そうかぁ、今日は、サピックス主催の五嶋節さんの講演会がシビックホールで開かれていたんだなぁと思い出しました。五嶋みどりと五嶋龍、二人のヴァイオリニストを育てた母親の教育論の講演会です。USENの株主総会より、そっちの方が面白かったかなぁ・・・。

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2008年11月13日 (木)

消費税の総額表示を義務付けたのはどうだったのか

 麻生総理が消費税率の引き上げに言及したことで、消費税のアップについて考えることも増えたかもしれません。そんな中からネタを1つ。

 消費税の総額表示の義務化って、ご存知でしたか?
http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/siryou/sougakuhyoji/sougakuhyoji.htm

 上記のページにもありますが、商品価格の比較性を確保する上では、重要だったかもしれません。しかし、2年後あるいは3年後に消費税率のアップがあるかも?という状況下で、これって、税込みの総額表示を徹底していると便乗値上げを誘発したり、逆に企業が消費税の価格転嫁ができなくて利益減少に苦しむといった問題が生じるかもしれません。

 消費税率が5%から10%になったとき、5,600円で売っていたものが、5,900円になったとき、これは便乗値上げかそうでないかの判断が非常に難しいですね。ちなみに5,600円の税抜価格は、5,333円。10%消費税を載せると、5,866円。5,900円とすることで34円の便乗値上げが実現します。もちろん、他の商品では100円未満を切り捨てることで便乗値下げ(!)が行われる結果、全体としては便乗行為は生じないということもあるかもしれません。また、特売やチラシで価格に敏感な主婦相手のスーパーで210円の飲料を翌日から220円にできるのでしょうか?

 商品の本体価格と税額が明確に分離して把握できるようにすることが、実は、公正な取引につながるのではないかと思ったりもします。

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2008年11月 9日 (日)

税制改革論議

 今朝の日経に税制改革に関して自民党の柳沢伯夫さんのインタビューに基づく記事が1面に出ていました。大雑把にいえば、所得税の最高税率は引き上げ、消費税も経済状況を見ながら引き上げ、法人税は引き下げというまっとうな話が出ていました。所得税については、最高税率は所得税と住民税を合わせて50%なので、十分なのではないか?と思うのですが、過去には70%を超える時期もあったはずなので、引き上げたい欲求は理解できないでもありません。しかし、あまり所得税を引き上げると頭脳流出が起きるのは確かです。イギリスの税率が高いからビートルズはアメリカに行き、例の小室哲也もロスアンジェルスに住んだ時期がありました。小室哲也が「頭脳」か?と言えば、異論もあるとは思いますが、ノーベル賞の受賞者もアメリカ在住の人がいましたね。要するに100億稼げる人間が日本に住んでいれば、日本国に50億円の税金を払ってくれる。しかし、欲張って70億円もらえるような税制にしてしまうと、彼らは香港やアメリカに住み、30億円とかの税負担で済むようにして、日本国は70億円どころか50億円の収入も失ってしまうのです。堺屋太一さんの知価革命という言葉通りならば、知識活動こそが価値を生むのであり、そういう人間に日本に住んでもらうことこそが日本の将来につながるのかもしれません。

 同じ観点から評価できるのが、法人税の引き下げ。今や、25~30%位の法人税率が世界の潮流。アメリカが法人税率を引き下げれば、実効税率38%超の日本は世界で唯一の法人酷税国になってしまいます。かつて、マイクロソフトのアジア統括会社は、マイクロソフト・ジャパンでしたが、今はシンガポールの子会社がアジア統括になっているはずです。つまり日本の高税率を嫌って、利益がシンガポールに計上できるように変更してしまったのだと考えられます。トヨタもソニーも日本の会社だ、彼らは日本の会社なんだから、彼らがたくさん税金を払ってくれればそれでいいじゃないか、という発想もあるかもしれませんが、それで彼らの体力が失われて、国際競争に負けたら金の卵を産む鶏を殺すことになります。また、おそらくそうなる前にトヨタもソニーも本社機能を海外に移してしまうと思います。つまり、子会社からの受取配当金を受け取る金融会社を日本ではなく、香港やシンガポールやニューヨークやケイマン島などに置き、ウクライナに新工場を造るから、ウクライナの子会社に1000億円の増資を・・・という時にはその金融会社から出資したりすると、日本の親会社は、日本国内からの収益分の所得しか上がらなくなります。

 そして、消費税引き上げ。これも法人税の地位を下げるものではないかと思っています。なぜなら、消費税が5%から10%になれば、企業が支払う消費税額が倍になるというだけのことではないと思うからです。消費税が倍になれば、時給1050円のパートさんの給与は1100円にならないと生活に困る、月額21万円の給与の人は22万円にならないと生活に困るという発想になると思います。もちろん、住宅家賃は非課税ですから、そのままではないですが、おそらく最低給与水準の引き上げなどの施策は行われるに違いありません。

 その結果、企業の売上の消費税の預かりが増え、仕入れ代金や旅費交通費など支払う消費税も増え、差し引きの消費税額が増えるのと同時に給与額も増えることになり、最終利益を圧迫することになります。すると、法人税の課税所得が減るので、法人税収が減る。また、中小企業の中で消費税の増税分を価格転嫁できない会社が出てくるなら、そこも減収となるので、法人税を減らすことになります。

 消費税を引き上げるということは、法人税の財源を圧迫することになると思います。さらに法人税の税率を引き下げるのですから、法人税は国税の基幹税としての地位を失いつつあると考えます。ちなみに100円の税収を得るために係る徴税コストの観点では、消費税は圧倒的に効率がよい税収です。小さな政府を目指す上では、消費税の地位を高めることは必須かもしれません。

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ジュリアン・ラクリン

 数週間前のNHK「芸術劇場」は、ヴァイオリンの諏訪内晶子さんのリサイタルだったので、予約録画をして後日、観てみた。そのときに諏訪内さんの後に収録されていたのが、ジュリアン・ラクリンというヴァイオリニストのリサイタル。そのまま観てしまったが、結果として「諏訪内さんよりこっちの方がいいじゃない!」という感想。

 ジュリアン・ラクリンは、グリーグのソナタやドヴォルザークの「4つのロマンティックな小品」などを弾いていたが、緩急自在のテンポの変化、伸びやかに歌い、畳み込むように駆けまわるパッセージ、朗々とした音色(たぶんグァルネリ・デル・ジェスの音色)が本当に魅力的。その後、我が家ではちょっとしたジュリアン・ブームで何枚かのCDを聞くに至っています(と言っても、文京区の図書館から借りたんですが)。

 とりあえず、騙されたと思ってソニーから出ている「プロコフィエフヴァイオリン協奏曲第1番、チャイコフスキーヴァイオリン協奏曲 ジュリアン・ラクリン(Vn)、ウラディーミル・フェドセーエフ指揮、モスクワ放送交響楽団」(SRCR9800)を聴いてみてください。庄司紗矢香も諏訪内晶子もいいけれど、ラクリン節のようなアクはないし、楽譜を最高のテクニックで再現できているだけにように思えてしまったりする。五嶋龍くんが、20年後に到達してほしいヴァイオリン奏者の形態をみたような気がします。とりあえず、今年一番のお勧め盤です(というほど、CDを聴いていないんですが)。

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