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2008年6月27日 (金)

市場価格のない株式の減損処理

 私自身が今、疑問に思っていて、なかなか普段の仕事に追われて、解決できないことをメモ代わりに書いておきます。

 金融商品に係る会計基準第三、二、6には、財政状態の悪化により実質価額が著しく低下したときは、相当の減額をしなければならないと書いてあります。そして、この会計基準の実務指針92には、減損処理という言葉が使われ、「実質価額」とは時価評価をした上での一株当たり純資産によるとされ、「著しく低下したとき」とは50%程度以上低下したときだと書かれています。

 ところが、これらの実務上の疑問点をQ&Aにまとめた「金融商品会計に関するQ&A」Q34では、「昨今の企業買収においては、会社の超過収益力や経営権等を反映して、財務諸表から得られる一株当たり純資産額に比べて相当高い価額で当該会社の株式を取得することがあります。この場合、売買価額が、第三者による鑑定額又は一般に認められた株価算定方式による評価額に基づいて、両者の合意のもとに決定されたとしても、その後、超過収益力が減少したために実質価額が大幅に低下することがあり得ます。したがって、このような場合には、たとえ発行会社の財政状態の悪化がないとしても、将来の期間にわたってその状態が続くと予想され、超過収益力が見込めなくなった場合には、実質価額が取得原価の50%程度を下回っている限り、減損処理をしなければなりません。」と書かれています。

 このQ&Aは、日本公認会計士協会の委員会報告なので、公認会計士の実務を拘束します。しかし、会社法、企業会計原則、金融商品に係る会計基準といったレベルの会計原則にはまったく触れられていない部分にQ&Aが突然踏み込んできたという印象です。そして、実務上の解釈を明確にするためのQ&Aであるにも関わらず、運用上の詳細がまったく書かれていません。本来、Q&Aというのは、会計原則で書かれているものの解釈や運用上の詳細を書くものだと思うのですが。

 疑問1
 通常の「相当の減額」は、財政状態の悪化により・・・ということで、赤字を出していたり、簿価ベースでの一株当たり純資産が一株当たり取得価額より低下したかどうかで、減損の兆候が把握できますので、減損の認識、測定へスムーズに進むことができます。しかし、企業買収株式については、何をベンチマークにするのでしょうか。黒字を出していても将来の超過収益力が減少したと思えば、減損処理するのであれば、固定資産の減損同様に減損の兆候の把握のプロセスをおかないと、四半期ごとにチェックをするのは非常に負荷がかかります。「買収時の収益計画よりも実際の利益が大幅に下回ったとき」とか、「買収時の収益計画よりも1円でも下回ったとき」とか、何らかの基準がほしいところです。

 疑問2
 買収時の企業評価は、通常は、年度単位の収益見込みから計算しますので、四半期単位でのチェックはどうやったらよいのでしょうか。ということは、企業買収株式の減損は、期末にのみ行う作業であると考えても良いのかもしれません。それで良いのでしょうか?

 疑問3
 当初の見込みでは、5年で回収できると踏んで買収をしたが、近年の状況では、5年では無理、しかし10年なら回収できるという場合に、減損は認識されるのでしょうか。収益性がちょっと落ちただけであり、Q&Aがいう「実質価額が大幅に低下する」というニュアンスとは違うかな?と思います。黒字を続けてはいるが、当初の回収予定期間では回収しきれないという場合に、どういう判断で減損するのでしょうか。

 実は、こういう部分が曖昧なままに「減損しなければ適正意見は出せません」と監査法人に脅迫されて、合点が行かぬままに減損処理をしている上場企業もあるのではないかと思うのです。どなたか、明確の答えをお持ちの方はいませんか?
 

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