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2007年3月 9日 (金)

厚生年金に関する記事

 3月7日の日経朝刊に「厚生労働省の諮問機関である社会保障審議会の年金部会がパート労働者の厚生年金の適用拡大に関する報告書をまとめた」という記事が出ていた。6日に年金部会が開催されているのだが、その議事録やまとめたはずの報告書は、厚生労働省のホームページにはまだ掲載されていない。そのため、日経の記事だけを参考に思ったことを書く。

 まず、適用条件となる労働時間を現在の週に30時間から20時間以上に広げると同時に月収の条件を98,000円以上にすることで、対象者が300万人になってしまう部分を40万人に抑えようということのようだ。そして、中小企業の場合に免除すると適用されるのは16万人にまで減ることになる。そうすると、こんな感じになる。

週の労働時間 時間単価 月給
週休×4で計算
適用かどうか
従来
諮問案
18時間 800円 57,600 適用なし 適用なし
18時間 1500円 108,000 適用なし 適用なし
28時間 800円 89,600 適用なし 適用なし
28時間 1000円 112,000 適用なし 適用あり
34時間 700円 95,200 適用あり 適用なし
34時間 900円 122,400 適用あり 適用あり

 ここで最初に気になるのが、28時間働いていた場合。従来は、30時間基準だったので、厚生年金には加入しないでよく、セットで健康保険も加入しないで、夫なり親なりの保険に入っていることができた。ところが、パートの時給が875円以上だと28時間の場合98,000円基準で、諮問案だと適用になってしまう。ということは、パートの時給を引き下げる方向の圧力になるのではないか。

 次に従来、34時間働けば、給与の額に関わらず文句なしに社会保険に加入しなければいけないところ、今回の案では、時給が700円とか安ければ、98,000円基準で加入を免れることになる。これもパートの時給を引き下げる方向の圧力になるはずだ。

 さらに中小企業なら厚生年金に入らなくても良いということになると、大企業はコスト削減のために自社で工場を持ってパートを雇用するのではなく、中小企業に外注したり、あるいは自社工場に従業員300人未満の中小企業の派遣会社から人を雇うようにするかもしれない。パートの時給が下がるだけでなく、雇用環境も悪化しかねないわけで、これって格差社会の是非を問われている昨今の状況と照らしてどうなのだろうか。逆の見方をすれば、30時間以上働かせてもらえなかったり、一杯働いても98,000円未満の給与しかもらっていない労働者が300万人-40万人=260万人もいるということになる。

 そして、記事の気に食わないところが、次のような記述。「厚労省の試算では、パートで月十万円を稼ぐ自営業者の妻が国民年金から厚生年金に移った場合、保険料は月六千七百円減り、給付は同五百円増える。」という部分。その後に、会社員の妻は、新たに厚生年金に加入するため(国民年金は3号被保険者でゼロ)七千円増という大事な話があるのだが、それを後ろに回すか?・・・と思った。月給10万円の人にとって7千円増えるって、天地がひっくり返るほど大きな額のはず。そういうことをサラリと後回しで、記事にして良いのだろうか。また、そこについての年金部会での議論はどうだった・・・というのを論述してこそメディアではないのか? 「(自営業者の妻の場合、)こういう改革をしたほうがよいでしょ」という風に世論を誘導しようとしているように見えてならない。

 厚生年金は、日本で3~5年くらいしか働かず、出身国に帰ることを考えている外国人労働者からも徴収される。セットで加入する健康保険はともかくとして、なんで絶対にもらえない年金の保険料を日本で払っていかねばならないのか?など、厚生年金制度には疑問点が少なくない。やはり、今の年金受給者のためのお金を現役世代から徴収する、税金同様の所得移転の制度なのである、現状の日本の厚生年金は。はっきり年金給付のための目的税と明示したほうが、その性格をきちんと認識できるのではないかと思うが、いかがなものだろうか。

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