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2007年2月10日 (土)

法人税制の困惑

 11月下旬と今月と2件続いて、ソフトウェア開発をやっている会社の税務調査がありました。そのときに、ちょっと論点になったのが研究開発費の処理。自社の販売用ソフトウェアの開発をした場合、企業会計審議会の「研究開発費の会計基準」によって大部分が研究開発費として、発生した期の費用となってしまいます。これが平成12年くらいからの処理。税務もこれを受けて、研究開発費となる部分は、資産計上しなくて良いという通達が出ています。が、案外、これを知らない調査官がいらっしゃる。で、直感的に、「もう、来期に販売が見えているのに、期末で資産計上しないのはおかしい。だって、資産性が認められるじゃないですか」と思われるようだ。

 たしかにその直感は、従来の法人税法の思考法の延長線上にあるため、正しい直感だと思う。なのに通達に反している。つまり、平成12年以降、法人税法が会計ビックバンの影響を受けて、国際会計基準を受けた国内の会計基準の改正を丸呑みする形で、改正されているのです。

 法人税法では、損益アプローチを採ってきたように思います。すなわち、売上が決まったら、それに対応するものが経費。対応しないものは、明らかに将来の収益に寄与しないと判断されるものでない限り、資産計上。つまり、当期の費用にならないもの、いわばゴミを放り込むゴミ箱が資産だったわけです。これに対して、国際会計基準は、資産の定義として、将来の経済的価値であると考え、経済的価値が見込めないもの、明確でないものは費用としてしまえ、という考え方を取っています。いわば資産アプローチ。販売用ソフトウェアは、将来、売れるとは限らないし、開発している間に市場動向の変化で売れ行きが見込めなくなっているかもしれないし、開発中に技術的に開発を断念するかもしれない。つまり将来の経済的価値がないと見ておいたほうが無難だから、経費処理しろとなる。

 法人税法は、従来持ってきた損益アプローチの中に、会計基準との整合性のために部分的に資産アプローチを持ち込んでしまったわけです。なので、思考の一貫性がなくなってきている。そんな気がするのですね。アメリカのFASBも国際会計基準も、そしてわが国の財務会計基準機構も個別基準をいくつも出した後になって、理論的な整合性を取りたくなって、基礎的概念の研究をして、公表する。まず、「取引の概念」とか「資産の概念」です。法人税法でも、そろそろこういった検討をしないと、体系のない法律に成り果ててしまうのではないかと考え始めた次第です。

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