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2006年12月18日 (月)

減損パニック

 最近、うちの顧客の2社で立て続けに監査法人から「減損の処理が必要ではないか?」と決算発表直前になって言われてアタフタしたという事件がありました。それの経緯を傍で相談受けながら見ていて思ったことを綴ってみます。

 固定資産の減損に関する会計基準、有価証券については金融商品に係る会計基準のいずれを読んでみても、どれくらいのタイミングと期間で減損を認識して、計上するということについての議論はないように思われます。が、減損の会計指針76項では「減損の兆候の把握は、対象資産すべてについて減損損失を認識するかどうかの判定を行うことが、実務上、過大な負担となる恐れがあることを考慮したためであることから、企業は、内部管理目的の損益報告や事業の再編等に関する経営計画などの企業内部の情報及び経営環境や資産の市場価格などの企業外部の要因に関する情報など、通常の企業活動において実務的に入手可能なタイミングにおいて利用可能な企業内外の情報に基づき、減損の兆候がある資産又は資産グループを識別することとなる」と書かれています。つまり、いろいろな情報を1年間かけて集めて(だって、路線価も毎年8月の発表だし、投資先企業の決算も年に1回だし)、その結果、兆候の把握、認識、測定へと進むのが会計基準の意図するところではないでしょうか。

 ところがA監査法人は、第一四半期の決算発表の前になって、ソフトウェアの減損の必要性の検討に必要な資料を寄越せ・・・と言ってきました。結果として、中間期末までに検討するとなりましたが、四半期決算で減損ですか?みたいな印象がありました。もう1社は、M監査法人。第四四半期の中で、急に言い出して、決算監査の中で、急にもう1社の子会社株式についても資料がほしいと言い出して、最終的には最初に言い出していた1社の減損を行いました。

 そういえば、USENという会社も決算時期に突如としてT監査法人に減損を迫られて、決算発表時に減損を発表するような目に遭ったのでしたよね。で、宇野社長は、切れたのでありましょう、T監査法人との契約は打ち切り、別の監査法人との契約に切り替えたのでありました。できれば、年間の事業計画の立案時、あるいは本決算の発表時に翌年の業績予想を出すところまでに兆候くらいは把握して、できれば概算額で減損を織り込む。それが無理でも、中間期末の発表時には減損を織り込んだ発表をするくらいのスケジュール感があっても良いのではないでしょうか。

 監査手続というのは、タイミングが重要だったりします。たとえば、棚卸の立会いや現金や有価証券の実査は、決算日ないしその周辺で実施して意味があります。同じように減損に関する監査手続も「いつくらいに兆候のチェックをして、いつくらいに認識をして、測定する」といったタイミングを含めて、監査慣行として形成していく必要があると思うのであります。かつて、監査をやっていた公認会計士として、今の監査法人の業務の混乱度合いは、非常に悲しいものを感じる次第です。減損は、気づいたときに即やるのだ!というのが正しいなら、東証もJASDAQも業績予想なんか開示させるべきではないと思います。投資家がミスリードされますので。

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