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2006年7月26日 (水)

ハリーポッター翻訳者と35億円

 今朝の新聞によれば、ハリーポッターの翻訳を手がけた翻訳者松岡佑子さんが35億円の申告漏れを指摘されて、異議申立てをしたそうです。松岡さんは、スイスに永住許可を取得して、スイスのマンションを購入して、生活し、翻訳料収入の所得もスイスで申告していたそうである。ただ、日本の出版社の代表者としての活動もあり、しばしば日本に帰国しており、その際は、新宿のマンションで暮らしていたといいます。東京国税局では、実質的な住所は、日本であるとして、日本への申告を求めたということで、その所得金額が35億円なんですね。日本の所得税・住民税が50%、事業税を入れるともう少し。スイスだと40%だそうです。つまり、日本に申告するかスイスにするかで3.5億円以上差が出てくるということになります。この事件からいろいろなことを考えました。

 1つには、スイスの永住許可は、実は節税対策として行われたものなのかな?ということ。それであれば、日本の居住者か非居住者かによって、これほど大きな差が出る以上、年間の半数以上は、確実にスイスにいる必要があるわけです。節税対策であれば、誰か有能な税理士やコンサルタントが助言したはずですが、「スイスに別荘を持てばいいんですよ。」くらいのことを言っていたか、あるいは本人が勝手にそう理解していたか。でも、グレーゾーンを突っ走るときには、きちんとコストをかけて(日本でのビジネスに影響があってもスイスに半分以上住む)、日本のマンションは手放して、ホテル住まいにするくらいの覚悟が必要なんだと思います。手品のように所得を来年、再来年に繰り延べたり、税額自体を減らす方法があるんじゃないかと思っている人って結構いますけど、そんなことはないんですね。きちんと節税のための実質を本当に創出しなければならず、そのためのコストというのは、必ずかかるのです。昔、資産家の息子を贈与税がないシンガポールに3年ほど住まわせて、その間に財産を贈与するというスキームがありました(今は、封じられています)。これだって、巨額の財産を引き継ぐものを意味なく3年間日本から離れさせることのマイナスを考慮したうえで実行した人がどれだけいたでしょうか。

 もうひとつは、日本の所得税等が40%程度であったなら、この人は、スイスの永住許可まで取っただろうか?ということ。別に税金のことが関係なければ、スイスに別荘でもよかったわけです。また、35億円も収入があったら、スイスに限定せず、冬はオーストラリア、夏はスイス、春はフロリダでもよいのですね。つまり、日本国は、高額所得者への税率を高めに設定していることで、人材の海外流出の後押しをしている可能性があるのです。そういえば、今は、あまり名前を聞きませんが、小室哲也もアメリカに移住したんでしたっけ。企業でもそうです。日本の法人税は40%、シンガポールは24.5%。そのせいかどうかわかりませんが、マイクロソフトのアジア統括子会社はシンガポールだそうです。日本の税調の検討資料などでは、「日本の法人税率は、欧米各国と比較して、同水準にあるため、もうこれ以上下げる必要はない」と書かれています。正直言って、馬鹿です。欧米と比較してどうするのでしょう。韓国や香港やシンガポールとも比較しないといけないのです。

 国際的な物流がスムーズであれば、製造業はどこに工場を置いてもよいし、知恵やノウハウで生きる人は、世界のどこに住んでもよいのです。それなら、成長著しい中国やインドの税制と比較し、創作活動をする人に魅力があるハリウッド、ニューヨーク、パリの所得税、あるいはハワイ、ニュージーランド、スイスのような観光国の税制と比較する必要があるのです。そんなことで、ふと思ったのが、沖縄に高額所得者税制特区を設けて、沖縄の1億円を超える所得に対する最高税率を40%くらいにしたらどうでしょうか。沖縄に住所を移す高所得者が集まるに違いありません。彼らは、沖縄に大邸宅を建築し、年間の半分以上を暮らし、沖縄用の車を買い、広い庭に庭師を雇い、広い家に家政婦を雇い、友人を招いてパーティをして、多額の消費と大きな雇用を沖縄に作り出すのではないでしょうか。そうすると、米軍基地に頼った経済構造を転換できるのかもしれません。ま、思いつきなので、実際にやることを検討すると想定外の副作用も出てくるのかもしれませんが。

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コメント

佐久間さん、はじめまして。
たまたまこの脱税ニュースをふと、思い出したので、このサイトを通ってみました。

死んでも縁が切れない税金問題は
支払う側にとっては根深い存在なのでございます。

紀元前から存在する制度ではありますが、今もって人類は税の存在に納得してない感があります(あきらめはあるけど・・・・)。

>日本の所得税・住民税が50%
>日本国は、高額所得者への税率を高
>めに設定している
思わずウナっちゃいますね。半分も持ってかれるとは。taxへいぶんの海外に逃げたくなるのはわかります。
確かに、金持ちであればあるほど逃げたくなるでしょう。

しかし!庶民の立場から言わせていただくと、高額所得者は国内で高額所得者になったワケで、そのお返しを国内にしようとは思わないんだろうか??

そして、自分が生まれ育った国に対して、何かしらTakeをしようとは思わないんだろうか??
「税金がムダ使いされてるからヤだ」というのは一理あるけれど。

アメリカなどの金持ちが、災害時や慈善団体に寄付したりするのをみると、
Royal Dutyてあるんだな、と思いますけど、日本人はどうでしょう。

お金はあるところから頂かなければ、格差は広がり、行政は逼迫し、勤労意欲が損なわれると思うのは私だけでしょうか。

消費税より、高級ブランドや宝石、都内不動産などにビシバシ税率アップしろと思うのは、間違っているのでしょうか。

ちなみに、沖縄特区の案は反対派です。これ以上沖縄を開発ブームで荒らしてどうします?
石垣島などは結構、問題になっているようです。。

投稿: まちだ | 2008年6月11日 (水) 18時33分

町田さん、コメントありがとうございます。
アメリカなどで慈善活動に寄附するのが目立つのは、Royal Dutyな面もありますが、寄付金税制が日本よりはるかに有利にできているという側面もあります。
税制がRoyal Dutyを育んでいる可能性もあるわけです。

投稿: 佐久間 | 2008年6月11日 (水) 22時29分

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